第八幕
マロニエ王国で生活するスミレの敵は、ヘンルーダだけではありませんでした。
ヘンルーダには何人もの寵姫がおり、中でも第一の寵姫・ハイドランジアの虐めが一番陰湿でした。
ハイドランジアはスミレより一つ年下でしたが、寵姫の中では一番の古株で、誰も彼女に逆らうことはできませんでした。
スミレは昼はハイドランジアに虐められ、夜はヘンルーダに虐められるという生活を強いられていました。
ある時はドレスの裾を踏まれて転ばされたり、ある時は食事にゴキブリを入れられたり、またある時はドレスにソースをこぼして汚したりしました。
それでもヘンルーダの相手をするほうがずっと辛かったスミレは、ハイドランジアに何をされても、顔色一つ変えずに無視しつづけました。
しかし、ある日の虐めに、遂にスミレの堪忍袋の緒が切れました。
あろうことか、ハイドランジアはスミレの子に沸騰した紅茶をこぼして火傷させたのです。
火がついたように泣く赤子に、スミレは慌てて侍女から冷たいおしぼりをもぎ取り、お茶のかかった患部を冷やしました。
「あらあら、ごめんねえ、あちゅかったでちゅね~。大変よね、乳飲み子を抱えてお城のお勤めなんて」
「貴様……!」
スミレはまだ泣き続ける赤子を椅子の上に横たえると、ハイドランジアに掴みかかり、馬乗りになって顔を強か殴りました。
「わたしに何しようが手前の勝手だがなあ、この子に手ぇ出したら許さねえ!!!」
今まで人形のように心を閉ざして大人しかったスミレが、急に声を荒げて反撃してきたので、ハイドランジアは面食らいました。周りでハイドランジアの虐めを傍観していた他の寵姫たちも、唖然としています。
「わたしは好きでここの寵姫になったんじゃねえんだよ!誰があんな腐れ×××と喜んで寝るもんか!あいつの関心を引きたくてわたしを虐めてるんだったら、あたしに当たらねーであの腐れの気を引きゃいーじゃねえか!あんな外道喜んで熨斗つけてお前に呉れてやるぜ!」
スミレはボコボコに殴りながら捲し立てました。
ハイドランジアは心の底からスミレが怖くなって、泣き出していました。
ハイドランジアを気が済むまで殴ると、スミレは立ち上がり、傍観している他の寵姫たちに向き直りました。
「てめえらもだ、おら、見てねえで来いよ。今よりもっとブスになるまでボコボコにしてやるぜ」
スミレはそう言うと指の関節をパキパキ鳴らしました。
ヘンルーダには何人もの寵姫がおり、中でも第一の寵姫・ハイドランジアの虐めが一番陰湿でした。
ハイドランジアはスミレより一つ年下でしたが、寵姫の中では一番の古株で、誰も彼女に逆らうことはできませんでした。
スミレは昼はハイドランジアに虐められ、夜はヘンルーダに虐められるという生活を強いられていました。
ある時はドレスの裾を踏まれて転ばされたり、ある時は食事にゴキブリを入れられたり、またある時はドレスにソースをこぼして汚したりしました。
それでもヘンルーダの相手をするほうがずっと辛かったスミレは、ハイドランジアに何をされても、顔色一つ変えずに無視しつづけました。
しかし、ある日の虐めに、遂にスミレの堪忍袋の緒が切れました。
あろうことか、ハイドランジアはスミレの子に沸騰した紅茶をこぼして火傷させたのです。
火がついたように泣く赤子に、スミレは慌てて侍女から冷たいおしぼりをもぎ取り、お茶のかかった患部を冷やしました。
「あらあら、ごめんねえ、あちゅかったでちゅね~。大変よね、乳飲み子を抱えてお城のお勤めなんて」
「貴様……!」
スミレはまだ泣き続ける赤子を椅子の上に横たえると、ハイドランジアに掴みかかり、馬乗りになって顔を強か殴りました。
「わたしに何しようが手前の勝手だがなあ、この子に手ぇ出したら許さねえ!!!」
今まで人形のように心を閉ざして大人しかったスミレが、急に声を荒げて反撃してきたので、ハイドランジアは面食らいました。周りでハイドランジアの虐めを傍観していた他の寵姫たちも、唖然としています。
「わたしは好きでここの寵姫になったんじゃねえんだよ!誰があんな腐れ×××と喜んで寝るもんか!あいつの関心を引きたくてわたしを虐めてるんだったら、あたしに当たらねーであの腐れの気を引きゃいーじゃねえか!あんな外道喜んで熨斗つけてお前に呉れてやるぜ!」
スミレはボコボコに殴りながら捲し立てました。
ハイドランジアは心の底からスミレが怖くなって、泣き出していました。
ハイドランジアを気が済むまで殴ると、スミレは立ち上がり、傍観している他の寵姫たちに向き直りました。
「てめえらもだ、おら、見てねえで来いよ。今よりもっとブスになるまでボコボコにしてやるぜ」
スミレはそう言うと指の関節をパキパキ鳴らしました。