第七幕
ある日の昼下がり、いつものようにスミレが赤子をあやしながら庭を散歩していると、黒い人影が近づいてきました。
「いつもお子様を離しませんね」
「?!貴様は!!!」
スミレはその姿を認めると、子を庇いながら身構えました。それは、あの夜スミレを誘拐した三人の斥候のうちの一人でした。顔を覆い尽くすような仮面をつけ、頭から爪先まで黒い布に覆われた忍びの者。しかし彼は、「ま、待ってください。俺は何もする気はありません!」と、両手を振りました。
「今日は、貴女と少し話をしたくて」
男は言いました。
「貴様と話すことなどないぞ」
スミレは警戒心を解きません。仕方なく男は観念して正直に話しました。
「あの時も、俺はあなたを誘拐することを、正直ためらっていたし、俺は、貴女をどうこうするつもりはなかった。信じてください。信じられないかもしれませんが……。少し、話をしませんか」
スミレは疑り深く睨みましたが、表情が読めないので、その気弱そうな話し方から察して、少しだけ話に応じることにしました。
「俺は、正直貴女を誘拐したことを、後悔しているんです。貴女はここに来るべきではなかった。その子の可愛がりようから見て思ったのですが、貴女はあの魔王を、愛していたんですね?」
スミレは少し間をおいて、目を合わせないで、「ああ」と頷きました。
「このわたしが好きでもない男と大人しく寝るものか。……愛しているよ、あいつを。わたしがあの腐れ×××と大人しく寝るのは、すべてこの子のため。それだけだ」
この子の中に、あいつの血が流れているから。スミレはくすっと微笑み、うとうとする我が子を愛おしそうに見つめました。
男は、その様子を見て、昔のことを思い出していました。あの時、あの人が生きていたら、きっとこんな顔で笑ったんだろう。そう思ったら、いくら詫びても詫びきれないと思いました。
「いつもお子様を離しませんね」
「?!貴様は!!!」
スミレはその姿を認めると、子を庇いながら身構えました。それは、あの夜スミレを誘拐した三人の斥候のうちの一人でした。顔を覆い尽くすような仮面をつけ、頭から爪先まで黒い布に覆われた忍びの者。しかし彼は、「ま、待ってください。俺は何もする気はありません!」と、両手を振りました。
「今日は、貴女と少し話をしたくて」
男は言いました。
「貴様と話すことなどないぞ」
スミレは警戒心を解きません。仕方なく男は観念して正直に話しました。
「あの時も、俺はあなたを誘拐することを、正直ためらっていたし、俺は、貴女をどうこうするつもりはなかった。信じてください。信じられないかもしれませんが……。少し、話をしませんか」
スミレは疑り深く睨みましたが、表情が読めないので、その気弱そうな話し方から察して、少しだけ話に応じることにしました。
「俺は、正直貴女を誘拐したことを、後悔しているんです。貴女はここに来るべきではなかった。その子の可愛がりようから見て思ったのですが、貴女はあの魔王を、愛していたんですね?」
スミレは少し間をおいて、目を合わせないで、「ああ」と頷きました。
「このわたしが好きでもない男と大人しく寝るものか。……愛しているよ、あいつを。わたしがあの腐れ×××と大人しく寝るのは、すべてこの子のため。それだけだ」
この子の中に、あいつの血が流れているから。スミレはくすっと微笑み、うとうとする我が子を愛おしそうに見つめました。
男は、その様子を見て、昔のことを思い出していました。あの時、あの人が生きていたら、きっとこんな顔で笑ったんだろう。そう思ったら、いくら詫びても詫びきれないと思いました。