第六幕
スミレは夢を見ていました。暗い、暗い世界でした。そこはスミレも何度も訪れたことのある、魔界のサイプレス城に似ていました。
「おかあさま」
足下から女の子の声がしました。
「おかあさま?」
スミレはしゃがみ込んでその幼い……二つか三つほどの女の子と目線を合わせてその顔を覗き込みました。
「わたしはおかあさまのこどもです。わからない?」
よくみれば、その子の額には魔王の面影のある二つの角のような瘤がありました。
「お……おまえ………死んだはずでは……?」
子供は笑いました。
「うん、しんだよ?でも、まだたすかる」
「助かる?」
子供は見た目に反してとても達者な言葉遣いで話しました。
「おかあさまは、おとうさまとけっこんしたから、すこしだけまほうがつかえるんだよ」
「魔法……?わたしが?」
「めをさましたら、わたしがいきかえるって、かみさまにいのって。わたしはきっといきかえるよ。おかあさまをしんじてる」
スミレの目から涙があふれてきました。
「祈るだけでいいの?」
「うん、ねんじるって、いうのかな?とくべつなことばはいらない」
スミレは我が子と名乗るその子供の手を取り強く握りました。
「わかった。お母さんが、必ずお前を助けてみせる」
「うん、さあ、めをさまして!」
それはほんの数分の出来事でした。スミレが夢から覚めると、侍従たちは口々に何かを叫びながら彼女の顔を覗き込んでいました。
「スミレ様、気がつかれましたか?」
「ああ……大丈夫だ……」
「おかあさま」
足下から女の子の声がしました。
「おかあさま?」
スミレはしゃがみ込んでその幼い……二つか三つほどの女の子と目線を合わせてその顔を覗き込みました。
「わたしはおかあさまのこどもです。わからない?」
よくみれば、その子の額には魔王の面影のある二つの角のような瘤がありました。
「お……おまえ………死んだはずでは……?」
子供は笑いました。
「うん、しんだよ?でも、まだたすかる」
「助かる?」
子供は見た目に反してとても達者な言葉遣いで話しました。
「おかあさまは、おとうさまとけっこんしたから、すこしだけまほうがつかえるんだよ」
「魔法……?わたしが?」
「めをさましたら、わたしがいきかえるって、かみさまにいのって。わたしはきっといきかえるよ。おかあさまをしんじてる」
スミレの目から涙があふれてきました。
「祈るだけでいいの?」
「うん、ねんじるって、いうのかな?とくべつなことばはいらない」
スミレは我が子と名乗るその子供の手を取り強く握りました。
「わかった。お母さんが、必ずお前を助けてみせる」
「うん、さあ、めをさまして!」
それはほんの数分の出来事でした。スミレが夢から覚めると、侍従たちは口々に何かを叫びながら彼女の顔を覗き込んでいました。
「スミレ様、気がつかれましたか?」
「ああ……大丈夫だ……」