第五幕
「サルビア、起きろサルビア!城の様子がおかしい。スミレ様は無事か?」
アリウムが魔王を叩き起こすと、魔王はくらくらする頭と激しい眠気に、寝ぼけてなかなか起きようとしませんでした。
「んー、なんか気持ち悪い。もう少し寝かせろ」
「そんなこと言ってる場合か。麻薬が焚かれている。何か部外者が侵入した可能性がある。スミレ様の身が心配だ。ちょっと様子を見て来い」
魔王はもう一眠りしようと目をつぶりかけ、はっと目を覚ましました。
「なんだと?なぜそんなことが分かった?」
「俺はいつも薬巻煙草を吸うのが趣味だ。知ってるだろ?それに近い匂いがするんだ。俺には耐性がついてるから効かないが、お前たちはまんまと眠らされたみたいだな」
「……スミレが心配だ。よし、お前もついて来い。尖塔まで飛ぶ」
魔王はアリウムの腕をつかみ、瞬間移動しました。
すると、スミレの居室は侍従たちが眠りこけ、サフィニアが血を流して倒れているばかりで、肝心のスミレの姿がありません。
「サフィニア、おい、サフィニア、一体何があった?!」
アリウムがサフィニアのケガを魔法で治療すると、彼女は気が付き、
「た、大変です、魔王様。何者かが数人やってきて、スミレ様が…!スミレ様?まさか、スミレ様!?」
「何があったか詳しくは知らんのか?」
サフィニアはわあわあ泣き喚き、それ以上は何を訊いても言葉になりませんでした。
「な……何ということだ……!」
三人の忍びたちは、本陣のスターチス将軍のもとにスミレを連れ帰ると、物資を運搬するために用意していた馬車にスミレを乗せて、本国へと走り出しました。
スターチス将軍は三人の働きを讃えると、彼等から結界を破る魔法の首飾りを受け取りました。
「この首飾りの魔法を解析させよう。これで何も気にせず本気で城攻めができる。ご苦労だった」
スミレを乗せた馬車が本国へ向かう道中、三人の男たちのうちの一人が、スミレの顔を見て舌なめずりをしました。
「よく見ればいい女じゃねえか。あのぼんくら親父に呉れてやるには惜しいぜ。どれ、俺が一つお先に味見させてもらうぜ」
すると、もう一人の男がそれを諌めました。
「やめろ、彼女は臨月じゃないのか?身重の女に乱暴するもんじゃない。それに、これはヘンルーダ様のものだ」
「構うもんかよ、穴がありゃあ女なんかいつだって大丈夫だろ」
「やめろ!!」
男は、スミレを犯そうとした男と揉み合いました。
「邪魔すんじゃねえ、お前にも回してやるからよ」
「そういう問題じゃない!」
なぜだか、男は、この下衆な男に殺意が湧きました。そして、馬車のドアから下衆な男を蹴落とすと、その男は首の骨を折り、そのまま死んでしまいました。
御者台の男だけは、無表情に無言を決め込んでいました。
アリウムが魔王を叩き起こすと、魔王はくらくらする頭と激しい眠気に、寝ぼけてなかなか起きようとしませんでした。
「んー、なんか気持ち悪い。もう少し寝かせろ」
「そんなこと言ってる場合か。麻薬が焚かれている。何か部外者が侵入した可能性がある。スミレ様の身が心配だ。ちょっと様子を見て来い」
魔王はもう一眠りしようと目をつぶりかけ、はっと目を覚ましました。
「なんだと?なぜそんなことが分かった?」
「俺はいつも薬巻煙草を吸うのが趣味だ。知ってるだろ?それに近い匂いがするんだ。俺には耐性がついてるから効かないが、お前たちはまんまと眠らされたみたいだな」
「……スミレが心配だ。よし、お前もついて来い。尖塔まで飛ぶ」
魔王はアリウムの腕をつかみ、瞬間移動しました。
すると、スミレの居室は侍従たちが眠りこけ、サフィニアが血を流して倒れているばかりで、肝心のスミレの姿がありません。
「サフィニア、おい、サフィニア、一体何があった?!」
アリウムがサフィニアのケガを魔法で治療すると、彼女は気が付き、
「た、大変です、魔王様。何者かが数人やってきて、スミレ様が…!スミレ様?まさか、スミレ様!?」
「何があったか詳しくは知らんのか?」
サフィニアはわあわあ泣き喚き、それ以上は何を訊いても言葉になりませんでした。
「な……何ということだ……!」
三人の忍びたちは、本陣のスターチス将軍のもとにスミレを連れ帰ると、物資を運搬するために用意していた馬車にスミレを乗せて、本国へと走り出しました。
スターチス将軍は三人の働きを讃えると、彼等から結界を破る魔法の首飾りを受け取りました。
「この首飾りの魔法を解析させよう。これで何も気にせず本気で城攻めができる。ご苦労だった」
スミレを乗せた馬車が本国へ向かう道中、三人の男たちのうちの一人が、スミレの顔を見て舌なめずりをしました。
「よく見ればいい女じゃねえか。あのぼんくら親父に呉れてやるには惜しいぜ。どれ、俺が一つお先に味見させてもらうぜ」
すると、もう一人の男がそれを諌めました。
「やめろ、彼女は臨月じゃないのか?身重の女に乱暴するもんじゃない。それに、これはヘンルーダ様のものだ」
「構うもんかよ、穴がありゃあ女なんかいつだって大丈夫だろ」
「やめろ!!」
男は、スミレを犯そうとした男と揉み合いました。
「邪魔すんじゃねえ、お前にも回してやるからよ」
「そういう問題じゃない!」
なぜだか、男は、この下衆な男に殺意が湧きました。そして、馬車のドアから下衆な男を蹴落とすと、その男は首の骨を折り、そのまま死んでしまいました。
御者台の男だけは、無表情に無言を決め込んでいました。