第四幕
三人の魔王の親友たちは、将軍として人間たちを率いることになりました。
レンギョウは東の国境にある樹海の入り口の街・ローレルの町を警護することになりました。何か動きがあったときは翼のある魔族が情報を知らせることになっています。
フロックスは交易の重要な拠点・シラカバの街を警護することになりました。
フロックスは商人なので、シラカバの街を的確に守護することでしょう。
アリウムはヒノキ城を警護することになりました。万が一の時、アリウムのような大柄で力自慢の魔族がいると安心です。
三人は魔界と人間界を繋ぐ時空の扉をくぐり、それぞれの持ち場につきました。
魔王は魔界から呪術師を数人招集し、ヒノキ城に結界を張りました。
結界に近づいた人間は見えない壁に阻まれて中に入れないようになるという結界です。
しかし城に出入りする村人は大勢います。そんな村人たちには、結界を打ち消すまじないがかけられた首飾りを渡しました。
首飾りを怪しい人間に譲渡したり、紛失した者には厳罰が下るという念の入れようです。
村人たちは怖々首に掛けました。
ヒノキ城でスミレの母体のケアをするガーベラにもまた、首飾りが授けられました。彼女には家庭があるため、ヒノキ城とヒノキ村を往復していました。
「母さん、ほんとについていかなくて大丈夫かい?」
ガーベラの身を案じる彼女の息子が、彼女の送り迎えを望みました。しかし、
「お城とここは目と鼻の先だよ。もし戦争が始まったらお城に泊まるから、大丈夫さ」
と、断りました。
「首飾り、無くさないでね」
ガーベラの息子が、彼女の首に首飾りを掛けました。
「無くしたら一大事だからね」
ヒノキ城の尖塔に隔離されているスミレの元に、魔王が音もなく現れました。
「スミレ、これをお前に渡しておこう」
魔王はそういうと、長い紐を括り付けた小瓶を差し出しました。小瓶の中には得体の知れない赤いゲル状のものが閉じ込められ、コルクの蓋が蝋でがっちりと固められていました。
「なんだこの怪しい瓶は」
「お守りだ。人間に効くかわからんが、お前の身に万が一のことがあったら、この瓶の封印を解いて戦うのだ。この瓶の中には魔法を閉じ込めてある」
長い紐は輪になっていて、首から下げることができるようでした。
「お前が作ったのか?」
「うむ。急ごしらえだが、私の血液とその他いろいろを閉じ込めた特製のお守りだ」
「け、血液?!」
中の物質の赤い色は、血液の色なのでしょうか。
「あ、ありがとう……お前ってホントに変なものいっぱい作るよな」
「変なものとは失礼な。魔力を見ることができる魔族からしたら、恐ろしくてひれ伏すような代物だぞ」
「ふーん」
スミレは気休めのつもりで持っておこう、と、小瓶を首から下げました。
レンギョウは東の国境にある樹海の入り口の街・ローレルの町を警護することになりました。何か動きがあったときは翼のある魔族が情報を知らせることになっています。
フロックスは交易の重要な拠点・シラカバの街を警護することになりました。
フロックスは商人なので、シラカバの街を的確に守護することでしょう。
アリウムはヒノキ城を警護することになりました。万が一の時、アリウムのような大柄で力自慢の魔族がいると安心です。
三人は魔界と人間界を繋ぐ時空の扉をくぐり、それぞれの持ち場につきました。
魔王は魔界から呪術師を数人招集し、ヒノキ城に結界を張りました。
結界に近づいた人間は見えない壁に阻まれて中に入れないようになるという結界です。
しかし城に出入りする村人は大勢います。そんな村人たちには、結界を打ち消すまじないがかけられた首飾りを渡しました。
首飾りを怪しい人間に譲渡したり、紛失した者には厳罰が下るという念の入れようです。
村人たちは怖々首に掛けました。
ヒノキ城でスミレの母体のケアをするガーベラにもまた、首飾りが授けられました。彼女には家庭があるため、ヒノキ城とヒノキ村を往復していました。
「母さん、ほんとについていかなくて大丈夫かい?」
ガーベラの身を案じる彼女の息子が、彼女の送り迎えを望みました。しかし、
「お城とここは目と鼻の先だよ。もし戦争が始まったらお城に泊まるから、大丈夫さ」
と、断りました。
「首飾り、無くさないでね」
ガーベラの息子が、彼女の首に首飾りを掛けました。
「無くしたら一大事だからね」
ヒノキ城の尖塔に隔離されているスミレの元に、魔王が音もなく現れました。
「スミレ、これをお前に渡しておこう」
魔王はそういうと、長い紐を括り付けた小瓶を差し出しました。小瓶の中には得体の知れない赤いゲル状のものが閉じ込められ、コルクの蓋が蝋でがっちりと固められていました。
「なんだこの怪しい瓶は」
「お守りだ。人間に効くかわからんが、お前の身に万が一のことがあったら、この瓶の封印を解いて戦うのだ。この瓶の中には魔法を閉じ込めてある」
長い紐は輪になっていて、首から下げることができるようでした。
「お前が作ったのか?」
「うむ。急ごしらえだが、私の血液とその他いろいろを閉じ込めた特製のお守りだ」
「け、血液?!」
中の物質の赤い色は、血液の色なのでしょうか。
「あ、ありがとう……お前ってホントに変なものいっぱい作るよな」
「変なものとは失礼な。魔力を見ることができる魔族からしたら、恐ろしくてひれ伏すような代物だぞ」
「ふーん」
スミレは気休めのつもりで持っておこう、と、小瓶を首から下げました。