第三幕
魔王が丘の城・ヒノキ城に戻ると、ジギタリスが魔王に駆け寄りました。
「魔王様、マロニエ王国から書簡です。大変ですぞ!」
「なに?マロニエの豚め、何用だ」
書簡には魔王の背筋に電撃が走るようなことが書かれていました。
「囚われのスミレ姫を人間たちの元へ返せ?…必ずスミレ姫は奪う……馬鹿な、鬼畜ヘンルーダめ!!」
魔王は書簡をビリビリに破り捨てました。
「スミレは身重だ。この大事な時に何を馬鹿なことを!人間ごときがあ!!」
そして、広間に持している家臣たちに命じました。
「サイプレスから、セコイア各地から、兵を集めろ!そして、スミレを尖塔に隔離するのだ。スミレは絶対に渡さぬ!者共!戦争の用意だ!」
まだそんなにお腹が目立つわけではありませんでしたが、スミレは数人の侍従たちに労られながら、ゆっくりと尖塔の階段を上りました。
「なーにがスミレ姫を人間の元へ返せだ。馬鹿め。わたしは魔王のもとから離れるつもりはないわ。下衆が」
尖塔の最上階にたどり着くと、侍従たちはスミレの寝床をきれいに整えました。
「私共も、サフィニアもガーベラも、スミレ様のおそばにおります。ご不自由でしょうが、何かありましたら遠慮なくお申し付けください」
「うん。ありがとう。まあ、わたしも自分の身は自分で守れるしな」
スミレがベッドの枕元に置かれた短剣を軽く振り回して見せると、ガーベラはまたスミレを叱りました。
「またそんなことを!お腹のお子様がびっくりします!ご自愛ください!」
そこへ魔王が瞬間移動して現れました。
「お前はいいなあ、そうやって一瞬でここに来れるもんな。わたしはここまで登るの結構骨だったぞ」
魔王はそれには答えず、スミレを抱きしめました。
「すまん、不便をかける。お前を奪われるわけにはいかんのだ。ここで大人しくしていてくれ」
スミレは魔王の頬を撫で、軽く口づけしました。
「大丈夫だ、魔王。わたしはそうヤワじゃないよ。お腹の子も守ってみせる。お前は戦のことだけ考えていればいいさ」
魔王はスミレの頭を掻き抱き、
「時々はここに来るから」
と、スミレに約束しました。
「魔王様、マロニエ王国から書簡です。大変ですぞ!」
「なに?マロニエの豚め、何用だ」
書簡には魔王の背筋に電撃が走るようなことが書かれていました。
「囚われのスミレ姫を人間たちの元へ返せ?…必ずスミレ姫は奪う……馬鹿な、鬼畜ヘンルーダめ!!」
魔王は書簡をビリビリに破り捨てました。
「スミレは身重だ。この大事な時に何を馬鹿なことを!人間ごときがあ!!」
そして、広間に持している家臣たちに命じました。
「サイプレスから、セコイア各地から、兵を集めろ!そして、スミレを尖塔に隔離するのだ。スミレは絶対に渡さぬ!者共!戦争の用意だ!」
まだそんなにお腹が目立つわけではありませんでしたが、スミレは数人の侍従たちに労られながら、ゆっくりと尖塔の階段を上りました。
「なーにがスミレ姫を人間の元へ返せだ。馬鹿め。わたしは魔王のもとから離れるつもりはないわ。下衆が」
尖塔の最上階にたどり着くと、侍従たちはスミレの寝床をきれいに整えました。
「私共も、サフィニアもガーベラも、スミレ様のおそばにおります。ご不自由でしょうが、何かありましたら遠慮なくお申し付けください」
「うん。ありがとう。まあ、わたしも自分の身は自分で守れるしな」
スミレがベッドの枕元に置かれた短剣を軽く振り回して見せると、ガーベラはまたスミレを叱りました。
「またそんなことを!お腹のお子様がびっくりします!ご自愛ください!」
そこへ魔王が瞬間移動して現れました。
「お前はいいなあ、そうやって一瞬でここに来れるもんな。わたしはここまで登るの結構骨だったぞ」
魔王はそれには答えず、スミレを抱きしめました。
「すまん、不便をかける。お前を奪われるわけにはいかんのだ。ここで大人しくしていてくれ」
スミレは魔王の頬を撫で、軽く口づけしました。
「大丈夫だ、魔王。わたしはそうヤワじゃないよ。お腹の子も守ってみせる。お前は戦のことだけ考えていればいいさ」
魔王はスミレの頭を掻き抱き、
「時々はここに来るから」
と、スミレに約束しました。