第二幕
気が付くと、スミレは見慣れない部屋の天蓋付きのベッドの上にいました。
埃っぽい匂いがしますが、綺麗に掃除されていて、古めかしい調度品などが飾られているところをみると、どうやらお金持ちのお屋敷の客室のようでした。
「あ、気が付いたんかぁ?」
スミレが首をめぐらせて室内を見回していると、女中と思しき姿の若い娘が、手に布製の物を抱えて部屋に入ってきました。
「どゆう塩梅や?」
娘がベッドに近付き顔を覗き込みました。短く切り揃えた髪と、人懐こそうな瞳と笑みをたたえた可愛い娘でした。しかし、少し聞き慣れない言葉遣いをするのが気になりました。
どうやら体の具合をきかれているようなので、「大丈夫だ」と答え、身を起こそうとすると、
「ああ、まだ無理したらだしかんよ?」
といって、再びベッドに落ち着かせられました。
と、スミレはハッと我に返り、とんでもないことに気が付きました。なんと、下着以外を全て脱がされて寝かされてたのです。そして体のあちこちに膏薬とおぼしきひんやりした感覚と、包帯が巻かれていました。
スミレは慌てて上掛けを顔まで引き上げて、女中に自分の持ち物はどこか、ここはどこで、自分はなぜここにいるかと問いただしました。
まあまあ落ち着きなれ、そういうと女中は順を追って説明してくれました。
「まず、あたしはあんたのお世話任された、ハルジオンっていうんやわあ。この城で雇われとる。あたしは何度かあんたを見たことあるけど、こうやって話すのは初めてやな」
「城?」
「あー、それもわからんかな…魔王グラジオ様のお城や。あんた、魔王様にやられて気絶してまったで、ここに運んだんよ?」
「ま…魔王の城だと!?」
自分が脱がされていることも気になっているうえに、ここが魔王の城だなんて。
「わたしの服は!?わ、わたしは…」
スミレはパニックに陥りましたが、ハルジオンはにこにことなだめ、
「大丈夫やって。荷物は全部そこのクローゼットに入っとるし、魔王さまはなんも悪さなんかせぇへんよ」
そういって、麻のドレスを広げてみせ、
「体中怪我だらけになってまったやろ、体が治るまでまでこれ、着なれね」
と、スミレに手渡しました。
「じゃ、他に何か要るもんあったらよぉ、何でもいっとくれ?えか?」
そういうと、ハルジオンは「また来るで」と、部屋を出ていきました。
埃っぽい匂いがしますが、綺麗に掃除されていて、古めかしい調度品などが飾られているところをみると、どうやらお金持ちのお屋敷の客室のようでした。
「あ、気が付いたんかぁ?」
スミレが首をめぐらせて室内を見回していると、女中と思しき姿の若い娘が、手に布製の物を抱えて部屋に入ってきました。
「どゆう塩梅や?」
娘がベッドに近付き顔を覗き込みました。短く切り揃えた髪と、人懐こそうな瞳と笑みをたたえた可愛い娘でした。しかし、少し聞き慣れない言葉遣いをするのが気になりました。
どうやら体の具合をきかれているようなので、「大丈夫だ」と答え、身を起こそうとすると、
「ああ、まだ無理したらだしかんよ?」
といって、再びベッドに落ち着かせられました。
と、スミレはハッと我に返り、とんでもないことに気が付きました。なんと、下着以外を全て脱がされて寝かされてたのです。そして体のあちこちに膏薬とおぼしきひんやりした感覚と、包帯が巻かれていました。
スミレは慌てて上掛けを顔まで引き上げて、女中に自分の持ち物はどこか、ここはどこで、自分はなぜここにいるかと問いただしました。
まあまあ落ち着きなれ、そういうと女中は順を追って説明してくれました。
「まず、あたしはあんたのお世話任された、ハルジオンっていうんやわあ。この城で雇われとる。あたしは何度かあんたを見たことあるけど、こうやって話すのは初めてやな」
「城?」
「あー、それもわからんかな…魔王グラジオ様のお城や。あんた、魔王様にやられて気絶してまったで、ここに運んだんよ?」
「ま…魔王の城だと!?」
自分が脱がされていることも気になっているうえに、ここが魔王の城だなんて。
「わたしの服は!?わ、わたしは…」
スミレはパニックに陥りましたが、ハルジオンはにこにことなだめ、
「大丈夫やって。荷物は全部そこのクローゼットに入っとるし、魔王さまはなんも悪さなんかせぇへんよ」
そういって、麻のドレスを広げてみせ、
「体中怪我だらけになってまったやろ、体が治るまでまでこれ、着なれね」
と、スミレに手渡しました。
「じゃ、他に何か要るもんあったらよぉ、何でもいっとくれ?えか?」
そういうと、ハルジオンは「また来るで」と、部屋を出ていきました。