【番外】アスター大好き!
お城の廊下で向こうから歩いてくる魔王を見つけたスミレは、嬉しくなって犬のように駆け寄りました。
「こら、スミレ、裾!」
ロングドレスに構わず全力で駆けてくるスミレに、魔王は転びはしないかとヒヤッとして注意しました。慌ててドレスをたくしあげるスミレ。しかし足を止めずにたちまち魔王のところにやって来て、勢いよく抱きつきました。
スミレは時々こうしてドレスに構わず走り出してしまい、たまに派手に転ぶので、まわりの皆はいつもスミレに注意していました。しかし本来スミレは決してドジではありません。ドレスに慣れていないので、気が回らないのです。
「魔王!暇なのか?」
「暇じゃない。移動してるだけ」
「なあんだ……」
冷たくかわされてスミレは少ししょんぼりしました。
しかし昼間はなかなか捕獲できない魔王を捕獲したスミレは、今のうちにとしがみついて魔王の胸に顔を擦り付けました。
「やっぱり男っていいなあ」
何か裏がありそうな言い方をするスミレに不信感を抱いた魔王は眉をひそめました。
「……どういう意味だ」
スミレは疑う魔王に気付かず言葉を続けました。
「わたしは、今まで一人でも生きられると思ってきたが、男に抱き締められる幸せを知ったら、もう一人では生きられないよ」
「なぜ今急にそんなことを言う?浮気でもしたのか?」
珍しく女のようなことを言い出すスミレに、魔王の不信感はどんどん膨れ上がります。スミレは思ったことを口にしただけだったので、疑われて驚きました。
「思ったことを言っただけだが?」
「本当に……?」
何か疑われていると気づいたスミレは真意を伝えました。
「魔王は細身だが、やはり身長もあるし、意外と胸が広いから、抱き締められると安心するんだ。妙に男だなって思う。そう思っただけなんだが」
それを聞いて魔王はスミレが羨ましくなりました。どんな感じがするのか気になります。
「スミレはいいなあ!いつも私にだっこされて!」
「何拗ねてるんだ?別にわたしがおまえをだっこしてもいいんだぞ?」
「スミレは小さいから面白くない」
「それは、仕方ないな」
急に子供のように拗ね始める魔王に、スミレは困りました。褒めようと思ったことを羨ましがられたのですから。
魔王はもう我慢ができなくなりスミレを引き剥がしました。
「いいもん!アスターにだっこしてもらうから!」
「こら、スミレ、裾!」
ロングドレスに構わず全力で駆けてくるスミレに、魔王は転びはしないかとヒヤッとして注意しました。慌ててドレスをたくしあげるスミレ。しかし足を止めずにたちまち魔王のところにやって来て、勢いよく抱きつきました。
スミレは時々こうしてドレスに構わず走り出してしまい、たまに派手に転ぶので、まわりの皆はいつもスミレに注意していました。しかし本来スミレは決してドジではありません。ドレスに慣れていないので、気が回らないのです。
「魔王!暇なのか?」
「暇じゃない。移動してるだけ」
「なあんだ……」
冷たくかわされてスミレは少ししょんぼりしました。
しかし昼間はなかなか捕獲できない魔王を捕獲したスミレは、今のうちにとしがみついて魔王の胸に顔を擦り付けました。
「やっぱり男っていいなあ」
何か裏がありそうな言い方をするスミレに不信感を抱いた魔王は眉をひそめました。
「……どういう意味だ」
スミレは疑う魔王に気付かず言葉を続けました。
「わたしは、今まで一人でも生きられると思ってきたが、男に抱き締められる幸せを知ったら、もう一人では生きられないよ」
「なぜ今急にそんなことを言う?浮気でもしたのか?」
珍しく女のようなことを言い出すスミレに、魔王の不信感はどんどん膨れ上がります。スミレは思ったことを口にしただけだったので、疑われて驚きました。
「思ったことを言っただけだが?」
「本当に……?」
何か疑われていると気づいたスミレは真意を伝えました。
「魔王は細身だが、やはり身長もあるし、意外と胸が広いから、抱き締められると安心するんだ。妙に男だなって思う。そう思っただけなんだが」
それを聞いて魔王はスミレが羨ましくなりました。どんな感じがするのか気になります。
「スミレはいいなあ!いつも私にだっこされて!」
「何拗ねてるんだ?別にわたしがおまえをだっこしてもいいんだぞ?」
「スミレは小さいから面白くない」
「それは、仕方ないな」
急に子供のように拗ね始める魔王に、スミレは困りました。褒めようと思ったことを羨ましがられたのですから。
魔王はもう我慢ができなくなりスミレを引き剥がしました。
「いいもん!アスターにだっこしてもらうから!」