【番外】告白合戦
このお話は、エピローグでお話ししたシーンからほんの数日が経ったある日のお話です。
「そういえば魔王。お前、まだわたしにちゃんと話したことが無かったな」
スミレはふと気になって、魔王に尋ねました。
「?何の話だ?」
「お前の気持ちだ。わたしを城に縛り付けるとは言ったが、ちゃんとした気持ちを、わたしはまだ聞いていないぞ。どうなんだ?」
魔王はスミレがそばに居ることが当たり前になっていたので、言っている意味が分かりませんでした。ですが、少し考えて、そういえばちゃんとはっきりスミレへの想いを言葉にしていなかったことを思い出し、きまり悪そうに顔を背けました。
「……」
スミレはなおも問いつめました。
「このままではなんだかわたしがお前に飼われてるだけみたいだ。口づけを交わしたのだから、そろそろはっきりしてもらいたいんだが」
「……言わずとも、分かっているだろう」
魔王がそう誤摩化しましたが、スミレは納得いきません。
「だ、め、だ!はっきりしてくれ」
しかし、魔王も気づきました。スミレだって、魔王のことを好きだとは一言も言っていないのです。
「そういうお前だって、そばに居るとは言っていたが、まだ一言も本音を言っていないではないか!」
スミレは痛いところを突かれましたが、自分からは言いたくありませんでした。少し考えて、反撃に出ました。
「わたしから言うのでは納得いかん。元はと言えば、先に口づけをしてきたのは貴様だ。貴様が先に言うべきだ」
口調がすっかり喧嘩腰です。
「私は、お前に魔力を与えようと思ってしただけだ。別に深い意図は無かった」
「ならば、わたしのせいだと言いたいのか?貴様はいつもいつも……わたしのせいにばかりするな!」
「スミレが先に言ったら、私も言おう」
「嫌だ!貴様との戦いはいつもわたしが負けている。この件だけは絶対負けたくはない」
この二人はこうやって、お互いを好きだと思いながら喧嘩ばかりしています。そしていつもスミレが何事に於いても負けていました。
「それならば私は言わん。私は忙しい。それではな」
魔王も譲りたくなかったので、新しく村役場となった城の執務室へと足を向けました。
「卑怯者!弱虫!」
スミレは思いつく限りの罵詈雑言をぶつけましたが、戦いは一時休戦となりました。
「そういえば魔王。お前、まだわたしにちゃんと話したことが無かったな」
スミレはふと気になって、魔王に尋ねました。
「?何の話だ?」
「お前の気持ちだ。わたしを城に縛り付けるとは言ったが、ちゃんとした気持ちを、わたしはまだ聞いていないぞ。どうなんだ?」
魔王はスミレがそばに居ることが当たり前になっていたので、言っている意味が分かりませんでした。ですが、少し考えて、そういえばちゃんとはっきりスミレへの想いを言葉にしていなかったことを思い出し、きまり悪そうに顔を背けました。
「……」
スミレはなおも問いつめました。
「このままではなんだかわたしがお前に飼われてるだけみたいだ。口づけを交わしたのだから、そろそろはっきりしてもらいたいんだが」
「……言わずとも、分かっているだろう」
魔王がそう誤摩化しましたが、スミレは納得いきません。
「だ、め、だ!はっきりしてくれ」
しかし、魔王も気づきました。スミレだって、魔王のことを好きだとは一言も言っていないのです。
「そういうお前だって、そばに居るとは言っていたが、まだ一言も本音を言っていないではないか!」
スミレは痛いところを突かれましたが、自分からは言いたくありませんでした。少し考えて、反撃に出ました。
「わたしから言うのでは納得いかん。元はと言えば、先に口づけをしてきたのは貴様だ。貴様が先に言うべきだ」
口調がすっかり喧嘩腰です。
「私は、お前に魔力を与えようと思ってしただけだ。別に深い意図は無かった」
「ならば、わたしのせいだと言いたいのか?貴様はいつもいつも……わたしのせいにばかりするな!」
「スミレが先に言ったら、私も言おう」
「嫌だ!貴様との戦いはいつもわたしが負けている。この件だけは絶対負けたくはない」
この二人はこうやって、お互いを好きだと思いながら喧嘩ばかりしています。そしていつもスミレが何事に於いても負けていました。
「それならば私は言わん。私は忙しい。それではな」
魔王も譲りたくなかったので、新しく村役場となった城の執務室へと足を向けました。
「卑怯者!弱虫!」
スミレは思いつく限りの罵詈雑言をぶつけましたが、戦いは一時休戦となりました。