第六幕

夕刻にジギタリスが調査を終えて魔王の元に報告しにきましたが、それでも犯人はわかりませんでした。
「小間使いのハルジオンやヒメジョオンが買い物に降りただけで、村に近づくものはいないようです」
魔王はハルジオンを招集しました。
「貴様村人を食う趣味はあるか?」
スミレはあの親しくしてくれた可愛いハルジオンがそんなことをする様が想像もつかなかったので、そんなばかな、と思いました。そして案の定、ハルジオンは否定しました。
「そんな趣味ないわ。お城のご飯で間に合っとるで」
魔王は念を押して訊いてみました。
「村に降りたのはお前たち小間使いたちだけだと聞いている」
「それは……確かに村に買い物行ったけど……。人間攫ってきたほうがよかったんか?」
「いや、何もしないほうが良い…実は私に嫌疑がかけられているようでな……」
スミレはハルジオンが可愛い人間の姿をしているのに結構凄いことをぽんぽん発言するので驚くばかりでした。
結局ハルジオンの疑いも晴れ、疑惑は村の内部の犯行ではないかという話題に移りました。
「それしか考えられん」
「村の中で殺人事件が起きていると?」
スミレは村人をどうしても疑う気持ちにはなれませんでしたが、魔王城のものたちが皆潔白だというので、魔物たちは村人たちを疑い始めました。
「村人の誰かが自分の犯行を隠す為に魔王様に罪をなすり付けたのだ」
しかしスミレはわかりません。
「しかし、それだけであんなに賞金をかけられるか?五百金だぞ?問題はそんな賞金を出すほど深刻なのだ。ただの殺人事件とは思えない……」
しかし魔族たちは村人たちへの疑惑が否定出来ません。
「これは一度村へ降りて調査したほうが良いでしょうな」
「村か……」
かくして魔族たちは、人間の振りをして村の調査に出ることにしました。
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