第四幕
ここで少し、スミレのことについてお話ししましょう。
スミレは丘の麓にある村、ヒノキ村の、隣のブナ村の領主の娘でした。スミレの父、パンズィー伯爵は、この村一つだけを領地として賜ったワダン家の当主で、この国では貧乏で立場の悪い貴族でした。
パンズィー伯爵は長男でスミレのお兄さんのアゼトゥナを大変重宝し、とても期待して育てていたので、アゼトゥナは剣の使い手で頭もいい立派な青年になりました。
スミレは幼い頃から兄のアゼトゥナと剣の稽古をし、勉強をし、一緒に遊んでいたので、兄が好きではありましたが、同時に大嫌いでもありました。
それは、スミレは女として、いずれ政略結婚の道具として嫁ぐ運命でしたので、女らしくしつけられ、兄と差を付けられて育てられたからです。
それがスミレは堪らなく嫌で仕方がありませんでした。
だから、スミレは反抗して男のように振る舞ったり、剣の稽古をして近隣では敵うものが居ないほど強くなるよう努力したり、やたらと喧嘩を売って暴れたりしていました。
男のように振る舞えば、兄と同じように愛されると信じていたのです。
しかし、荒れれば荒れるほど、家族の目は冷たくなっていきました。
ですから、スミレは誰よりも強くなりたくて、いつか家を出て、剣士になりたいと夢を見ていました。
そんなときに耳に入ったのが魔王退治の知らせでした。スミレにとってはまたとないチャンスです。絶対に魔王を倒して、家を出て剣士になる夢を叶える為に、家族を説得しようと思いました。
そんな生い立ちでしたから、スミレは魔王のことが好きになっている自分が許せませんでした。
そして、ついには村長から違約金という脅しもかけられ、いよいよ、魔王に負けるわけにはいかなくなりました。
スミレは剣の稽古に集中し、本当に強くなるまで魔王の元に通うのをやめることにしました。
そして、三ヶ月が経ちました。
スミレは丘の麓にある村、ヒノキ村の、隣のブナ村の領主の娘でした。スミレの父、パンズィー伯爵は、この村一つだけを領地として賜ったワダン家の当主で、この国では貧乏で立場の悪い貴族でした。
パンズィー伯爵は長男でスミレのお兄さんのアゼトゥナを大変重宝し、とても期待して育てていたので、アゼトゥナは剣の使い手で頭もいい立派な青年になりました。
スミレは幼い頃から兄のアゼトゥナと剣の稽古をし、勉強をし、一緒に遊んでいたので、兄が好きではありましたが、同時に大嫌いでもありました。
それは、スミレは女として、いずれ政略結婚の道具として嫁ぐ運命でしたので、女らしくしつけられ、兄と差を付けられて育てられたからです。
それがスミレは堪らなく嫌で仕方がありませんでした。
だから、スミレは反抗して男のように振る舞ったり、剣の稽古をして近隣では敵うものが居ないほど強くなるよう努力したり、やたらと喧嘩を売って暴れたりしていました。
男のように振る舞えば、兄と同じように愛されると信じていたのです。
しかし、荒れれば荒れるほど、家族の目は冷たくなっていきました。
ですから、スミレは誰よりも強くなりたくて、いつか家を出て、剣士になりたいと夢を見ていました。
そんなときに耳に入ったのが魔王退治の知らせでした。スミレにとってはまたとないチャンスです。絶対に魔王を倒して、家を出て剣士になる夢を叶える為に、家族を説得しようと思いました。
そんな生い立ちでしたから、スミレは魔王のことが好きになっている自分が許せませんでした。
そして、ついには村長から違約金という脅しもかけられ、いよいよ、魔王に負けるわけにはいかなくなりました。
スミレは剣の稽古に集中し、本当に強くなるまで魔王の元に通うのをやめることにしました。
そして、三ヶ月が経ちました。