主人公はハクの相棒でヨナの護衛。国内でも有名な美人剣士。
真国
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森の中で野宿していたある日、ユンが食事の用意をしていた私、ジェハ、ゼノに向けて言った。
「一見素敵な報告と、めんどくさい報告。どっちが聞きたい?」
「なんだい?それは。」
『一見、ってついてる辺りが素敵な報告も恐ろしく感じさせてるんだけど…』
「一見素敵な報告。」
「はい、とある商人さんから美味しい飴を貰いました。」
「へぇ、よかったね。」
『じゃあ、めんどくさい報告は?』
「あちらをご覧下さい。」
ユンが指し示した方には石を掴んだ手を構えたヨナ、龍の手を振りかざすキジャ、剣を抜いたシンアがいた。
『…何アレ。』
「飴を食べた3人が凶暴化しました。」
「うわあ、びっくりする程めんどくさかった。」
キジャやシンアは手や剣を振るうだけなのだが、その後ろでヨナは木を殴り続けている。
「『…』」
『えっと…』
「ちょっと待ってちょっと待って。
キジャ君やシンア君の後ろで一心不乱に木をボコボコにしてるのは…」
「暁のヨナさんです。」
キジャはこちらへ攻撃をしてきて、ヨナは大きな石を投げつけてくる。
私は咄嗟に爪を出して石を砕いた。ユンは巻き込まれないよう物陰に隠れている。
「娘さん、すっかり野生に帰ってるから。」
『いや、ヨナが帰るべき場所って野生じゃないでしょ!?』
「その飴危ない薬じゃないよね?」
「有害なものじゃないと思うんだよ。白龍の里の商人がくれたのど飴だし。」
『それって前に白龍の鱗…』
「という名の惚れ薬ね。アレ売ってた人じゃないの?」
「キジャがちょっとのど痛いって言ってたから…
そしたら商人さんが風のように現れて、それでシンアとヨナも飴貰って…」
「のど飴舐めて元気になりすぎたわけだね。」
『キジャって白龍の里の人に見張られてるの…?
ってそんなことより…よりにもよってハク不在のときに…!!』
ジェハはキジャの手を脚で受け止め、私はシンアの剣を自らの剣で薙ぎ払っていた。
「この2人を止めなきゃいけないなんて…」
『…ん?』
キジャとシンアを見ていた私とジェハだったが、私の視界にもっと衝撃的な様子が映った。
ヨナがジェハの背中をすごい勢いで殴っていたのだ。
「なんか僕すごい殴られてるよ。」
「暁のヨナさん、誰よりも確実にジェハの背後を捉えてるよ。もはやかっこいいよ。」
「意外とイタイ♡」
『照れてる場合じゃないでしょ!』
「しかも振り向くとすごい速さで距離とるし。恐ろしい子…」
『高華の雷獣が毎日稽古してるからね…』
私とジェハが並ぶと、私達の前でヨナ、キジャ、シンアが身体を揺らしながらこちらを威嚇してきた。
『ヨナはハクが帰る前になんとかした方がいいかも…』
「うん…そのうち三人合体しそうだ。」
「ん、じゃあ青龍はゼノがなんとかするから。」
「ゼノ君が?」
「おにぎり食べたい人おすわり。」
「え、そんなやり方じゃ…」
『あ、シンアが座った!しかもちょっぴり抗ってる!!』
「暴れたいけど何を置いても食う優先なんだね。」
彼は剣を置いて正座をするとカタカタ震えていた。
「ボウズ、今のうちにメシ炊いて。」
「お時間頂きます!」
「成程。それなら…キジャ君、足元に虫!」
それを聞いたキジャはジェハにしがみついた。
「出発!!」
「どこに…」
「虫のいない世界へ!!早く!!」
「僕は乗り物じゃないよ…」
『てか、キジャの爪がジェハに突き刺さってる…』
「よし!あとはヨナだけ。」
「いや、こっちは何も解決してないし。」
「うーん、ヨナの弱点って何だろう。」
「女の子の弱点を探るもんじゃないよ。」
ユンは米を研ぎつつ、ジェハはキジャをおぶり、ヨナに殴られながら、私はシンアの顔を覗き込みながら何かいい方法はないか考える。
『ただこのままだとヤバイよ、ヨナが!色んな意味で。』
「僕が殴られて済むならいくらでも殴られるんだけどね。」
「ジェハはヨナに殴られたいだけでしょ。」
『あ…!もしかして…』
私はヨナに歩み寄ると言った。
『姫様、そろそろハクが帰って来ますよ。』
「っ…」
「…今一瞬止まらなかった…?」
「ヨナちゃん、もうすぐハクが戻って来るってさ。」
ヨナはそわそわと周囲を見回し始めた。
「あ、なんか落ち着きがなくなった。勢いが衰えたよ。
ゼノ!何かヨナの気をそらす言葉を!」
「気をそらすっつってもなー」
「何でもいいから!」
「うーん…娘さんは風の部族を出る時、兄ちゃんと別れるのが嫌で“私にハクをちょうだい”って掴みかかったから。」
『あー…懐かしい。私も一緒にいてくれなきゃダメとか言われたわね。』
「あ、ヨナが…悶えてる…?」
「恥ずかしいんだね…」
ヨナは顔を覆って身体を震わせ始めた。
「他にも“寒い時はハクにくるまって寝るから”とか“側にいなくちゃ駄目”とか…あとは…」
「やめてあげて、ヨナもうしおっしおだよ!!」
『…っていうか、なんでそんなに詳しく知ってるの!?』
「ゼノ、ずっと娘さん見てたからな。四龍の事も知ってるから。例えば緑龍とかは…」
「言わなくていいからね。」
『え、教えてよ…』
「言わなくていいからね…?」
『チッ…』
「リンちゃん…?」
ジェハは私のむすっとした顔を見て出逢った頃のように呼ぶのだった。
そんな私達の前でヨナが森の中へと駆け出す。
「あ、ヨナが逃げた!」
「あのときの私許さない!!」
「捨て台詞が切実だね。」
「シンア、追いかけ…あ、駄目だ。シンアご飯待ちだ。ジェハ、お願い。」
「わかった…ってキジャ君、暴れないでェェェ」
「リン、ゼノ。」
『はーい。』
「あい。」
穴があったら入りたいヨナは近くを手で掘り始めた。
その近くに私とゼノは寄っていって声を掛ける。
「娘さん、ごめんね。もう言わないから。」
『思い出として心の中だけに留めますから、ね?』
「姫さん?」
そこにハクが帰って来て不思議な行動をしているヨナを見つけ声を掛ける。
「何やってるんです?そこで。」
『ハク、おかえり。』
「娘さんは霊長類最強女子目指して修業中だから。」
「最強ねぇ…また手ボロボロにして…」
ハクは荷物を私に押しつけるとヨナの頭を両手でがっと挟むように持った。
「過剰な稽古を強行するならもう教えてあげませんよ。」
するとぴしっとヨナが完全に停止した。
「さ、帰りますよ。」
「いい子いい子。」
『流石ハク!』
その日はヨナ、キジャ、シンアから目を離すことは出来なかったが、後日飴の効力が切れ彼らは穏やかなモードになっていた。
「婆へ
先日貰ったのど飴とても良く効いたぞ。是非またたくさん作ってく…」
「やめなさいね。」
『もう勘弁よ…』
キジャは礼の文をしたためようとし、それを私とジェハで止めた。
シンアはおにぎりが美味しかった事が最後の記憶のようだった。
「一見素敵な報告と、めんどくさい報告。どっちが聞きたい?」
「なんだい?それは。」
『一見、ってついてる辺りが素敵な報告も恐ろしく感じさせてるんだけど…』
「一見素敵な報告。」
「はい、とある商人さんから美味しい飴を貰いました。」
「へぇ、よかったね。」
『じゃあ、めんどくさい報告は?』
「あちらをご覧下さい。」
ユンが指し示した方には石を掴んだ手を構えたヨナ、龍の手を振りかざすキジャ、剣を抜いたシンアがいた。
『…何アレ。』
「飴を食べた3人が凶暴化しました。」
「うわあ、びっくりする程めんどくさかった。」
キジャやシンアは手や剣を振るうだけなのだが、その後ろでヨナは木を殴り続けている。
「『…』」
『えっと…』
「ちょっと待ってちょっと待って。
キジャ君やシンア君の後ろで一心不乱に木をボコボコにしてるのは…」
「暁のヨナさんです。」
キジャはこちらへ攻撃をしてきて、ヨナは大きな石を投げつけてくる。
私は咄嗟に爪を出して石を砕いた。ユンは巻き込まれないよう物陰に隠れている。
「娘さん、すっかり野生に帰ってるから。」
『いや、ヨナが帰るべき場所って野生じゃないでしょ!?』
「その飴危ない薬じゃないよね?」
「有害なものじゃないと思うんだよ。白龍の里の商人がくれたのど飴だし。」
『それって前に白龍の鱗…』
「という名の惚れ薬ね。アレ売ってた人じゃないの?」
「キジャがちょっとのど痛いって言ってたから…
そしたら商人さんが風のように現れて、それでシンアとヨナも飴貰って…」
「のど飴舐めて元気になりすぎたわけだね。」
『キジャって白龍の里の人に見張られてるの…?
ってそんなことより…よりにもよってハク不在のときに…!!』
ジェハはキジャの手を脚で受け止め、私はシンアの剣を自らの剣で薙ぎ払っていた。
「この2人を止めなきゃいけないなんて…」
『…ん?』
キジャとシンアを見ていた私とジェハだったが、私の視界にもっと衝撃的な様子が映った。
ヨナがジェハの背中をすごい勢いで殴っていたのだ。
「なんか僕すごい殴られてるよ。」
「暁のヨナさん、誰よりも確実にジェハの背後を捉えてるよ。もはやかっこいいよ。」
「意外とイタイ♡」
『照れてる場合じゃないでしょ!』
「しかも振り向くとすごい速さで距離とるし。恐ろしい子…」
『高華の雷獣が毎日稽古してるからね…』
私とジェハが並ぶと、私達の前でヨナ、キジャ、シンアが身体を揺らしながらこちらを威嚇してきた。
『ヨナはハクが帰る前になんとかした方がいいかも…』
「うん…そのうち三人合体しそうだ。」
「ん、じゃあ青龍はゼノがなんとかするから。」
「ゼノ君が?」
「おにぎり食べたい人おすわり。」
「え、そんなやり方じゃ…」
『あ、シンアが座った!しかもちょっぴり抗ってる!!』
「暴れたいけど何を置いても食う優先なんだね。」
彼は剣を置いて正座をするとカタカタ震えていた。
「ボウズ、今のうちにメシ炊いて。」
「お時間頂きます!」
「成程。それなら…キジャ君、足元に虫!」
それを聞いたキジャはジェハにしがみついた。
「出発!!」
「どこに…」
「虫のいない世界へ!!早く!!」
「僕は乗り物じゃないよ…」
『てか、キジャの爪がジェハに突き刺さってる…』
「よし!あとはヨナだけ。」
「いや、こっちは何も解決してないし。」
「うーん、ヨナの弱点って何だろう。」
「女の子の弱点を探るもんじゃないよ。」
ユンは米を研ぎつつ、ジェハはキジャをおぶり、ヨナに殴られながら、私はシンアの顔を覗き込みながら何かいい方法はないか考える。
『ただこのままだとヤバイよ、ヨナが!色んな意味で。』
「僕が殴られて済むならいくらでも殴られるんだけどね。」
「ジェハはヨナに殴られたいだけでしょ。」
『あ…!もしかして…』
私はヨナに歩み寄ると言った。
『姫様、そろそろハクが帰って来ますよ。』
「っ…」
「…今一瞬止まらなかった…?」
「ヨナちゃん、もうすぐハクが戻って来るってさ。」
ヨナはそわそわと周囲を見回し始めた。
「あ、なんか落ち着きがなくなった。勢いが衰えたよ。
ゼノ!何かヨナの気をそらす言葉を!」
「気をそらすっつってもなー」
「何でもいいから!」
「うーん…娘さんは風の部族を出る時、兄ちゃんと別れるのが嫌で“私にハクをちょうだい”って掴みかかったから。」
『あー…懐かしい。私も一緒にいてくれなきゃダメとか言われたわね。』
「あ、ヨナが…悶えてる…?」
「恥ずかしいんだね…」
ヨナは顔を覆って身体を震わせ始めた。
「他にも“寒い時はハクにくるまって寝るから”とか“側にいなくちゃ駄目”とか…あとは…」
「やめてあげて、ヨナもうしおっしおだよ!!」
『…っていうか、なんでそんなに詳しく知ってるの!?』
「ゼノ、ずっと娘さん見てたからな。四龍の事も知ってるから。例えば緑龍とかは…」
「言わなくていいからね。」
『え、教えてよ…』
「言わなくていいからね…?」
『チッ…』
「リンちゃん…?」
ジェハは私のむすっとした顔を見て出逢った頃のように呼ぶのだった。
そんな私達の前でヨナが森の中へと駆け出す。
「あ、ヨナが逃げた!」
「あのときの私許さない!!」
「捨て台詞が切実だね。」
「シンア、追いかけ…あ、駄目だ。シンアご飯待ちだ。ジェハ、お願い。」
「わかった…ってキジャ君、暴れないでェェェ」
「リン、ゼノ。」
『はーい。』
「あい。」
穴があったら入りたいヨナは近くを手で掘り始めた。
その近くに私とゼノは寄っていって声を掛ける。
「娘さん、ごめんね。もう言わないから。」
『思い出として心の中だけに留めますから、ね?』
「姫さん?」
そこにハクが帰って来て不思議な行動をしているヨナを見つけ声を掛ける。
「何やってるんです?そこで。」
『ハク、おかえり。』
「娘さんは霊長類最強女子目指して修業中だから。」
「最強ねぇ…また手ボロボロにして…」
ハクは荷物を私に押しつけるとヨナの頭を両手でがっと挟むように持った。
「過剰な稽古を強行するならもう教えてあげませんよ。」
するとぴしっとヨナが完全に停止した。
「さ、帰りますよ。」
「いい子いい子。」
『流石ハク!』
その日はヨナ、キジャ、シンアから目を離すことは出来なかったが、後日飴の効力が切れ彼らは穏やかなモードになっていた。
「婆へ
先日貰ったのど飴とても良く効いたぞ。是非またたくさん作ってく…」
「やめなさいね。」
『もう勘弁よ…』
キジャは礼の文をしたためようとし、それを私とジェハで止めた。
シンアはおにぎりが美味しかった事が最後の記憶のようだった。