主人公はハクの相棒でヨナの護衛。国内でも有名な美人剣士。
金州・斉国
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旅の途中、山の中で私達は酒の樽に囲まれて座っていた。
「…ジジイの秘蔵の酒のが美味いな。」
「これだけ手に入れといて、それ?」
「腕相撲に優勝したら酒が貰えるっていうからよ。」
「痛快通り越して気の毒な腕相撲大会だったよ。」
『うん…瞬殺すぎて。』
ハクが腕相撲大会に乱入して他の相手を瞬殺で倒した結果、優勝賞品の酒を手に入れたのだが実際酒の味はムンドクが持っている秘蔵の酒の方が何倍も美味しい。それは私自身も感じていた事だ。
「めったにない機会だからさ、ハク。勝負しない?」
「どっちが先にツブれるかって?勝ったらどうする?」
「敗者は勝者の言う事を何でも聞く。」
「何でもだな。」
「勝負か。では私も。」
「ゼノも。」
『私も参戦。』
「青龍もやろう。」
「やめときなよ。ハクとジェハに敵うわけないじゃん。」
「やってみなければ分からない。」
「『分かるわ!』」
キジャの言葉に私とユンがツッコむ。
「そーそー、何事もやってみないとね。」
『もう…勝てるって分かってて煽るんだから…』
「リンこそ大丈夫なの?あの2人が相手だよ?」
「ユン、知らねェのか?そいつ結構飲むぞ?」
「え…」
『じいややハクと飲んでたし…城でも兵達と一緒に飲んでたからね。慣れたのかしら。』
「いや…酒に至っては体質でしょ…」
「ユン君も参加する?」
「馬鹿言わないで。俺は…おつまみ作る。」
「「「「「『お母さんいつもありがとう。』」」」」」
「お母さん言うな。」
ユンがおつまみを作ろうと近くで作業を始めると私達は座って酒を飲みながら話し始めた。
「しかし腕相撲…私も参加したかった。」
「白龍が出たら相手の腕ぽっきりだから。」
「そーいえば俺時々思うんだけど、どっちが強いんだろうね。」
『何が?』
「キジャの腕力とジェハの脚力。」
キジャはさっと横に座るジェハを見るがジェハは嫌な予感がして顔を背ける。その様子に私は声を上げて笑った。
『ハハハハハッ』
「なぜ目を逸らす?私の目を見よ、ジェハ。」
「いやあ…ちょっと目眩が…」
「どこかの故事で聞いた事がある。
昔…どんな盾をも破る事が出来る矛と、どんな矛をも防ぐ事が出来る盾を売る者がいて…
その最強の矛と最強の盾をぶつけると双方砕け散ったという…」
『矛盾って言葉の語源ね、ハク。』
「よし!どちらが砕け散るか勝負だ。」
「やめて?」
ジェハは本気の顔でキジャを止める。
「待って止まってキジャ君。僕は君と闘う気はないし、砕け散りたくもないよ?」
「何も殺し合おうとは言っていない。少ーし私の拳を受けてみないかという…」
「君の拳は人殺せるからね!?」
私はジェハの手にそっと酒を差し出した。
それを受け取って私の意図を理解したらしいジェハは微笑むとキジャに酒を差し出した。
「…わかった。じゃあ勝負の前にまず一献。」
「うむ。」
杯に酒を注いでキジャに渡すと彼は飲んですぐに倒れた。
「はい、一丁上がり~」
顔を真っ赤にして倒れたキジャを寝かせるとジェハは次にシンアに歩み寄った。
「さて次はー…お、シンア君。いい飲みっぷりだね。生きてるかな?」
顔色が分からなかったためジェハはかぱっとシンアの面を取った。
「ジェハの心臓…丸見え…」
恐れをなしてジェハはそっと面を戻す。そして私やハクの隣に腰を下ろした。
「シンア君はそっとしておこう。」
「シンアー、こっち来て飲…」
「そっとして!!」
『ふふっ』
「さて後は僕とハクとリンとゼノ君だけど…」
ちびちびと酒を飲むゼノの顔色が変わらないのを見てジェハは目を見開く。
私は初めから予想がついていた為、彼らの表情を見てクスクス笑いながら自分の酒を飲んでいた。
「ハク…僕らは今とんでもない奴に勝負を挑んでいるのかもしれないよ。」
「あ?」
ゼノは酒を飲むとニヤッと笑ってハクやジェハを見た。
「あ、ゼノお前もしや…!」
「ふはっ、その通り~
ゼノの体はどーんなに酒が入ってもしばらくフワフワするだけで酔い潰れたりしないから、永久に。
お嬢は気付いてたみたいだけどな。」
『だって少し考えれば分かるじゃないの。』
「まさかの地上最強酒豪…!」
「敵うわけがねぇ。ゼノはこの勝負無効な。」
「いけず。」
「いいじゃない、ゼノも一緒で。」
「あのな、姫さん。こいつは…」
私は唐突に聞こえたヨナのフワフワした声色にハクを引き留めた。
『ハク…ちょっと待って…』
「ん?」
『今の姫様の声…何かおかしい…』
「…まさか…!」
ばっと彼女の方を見ると見事に酔っ払ったヨナがいた。
「私ももう一杯~」
「ってあんた参加してたのかよ!?」
『シンア並みに喋らないから寝てるのかと思ってた…』
「寝てない。」
ヨナはハクの隣に酒を持ったまま座るとこてっと頭を傾けてハクに凭れたまま眠ってしまう。
「寝たし。」
「寝てないもん。」
「寝ろよ。」
また起きて酒を飲もうとする彼女の手から酒を奪うとそのままハクは飲み始める。
私はその様子が面白かった為、ジェハの隣に座って見守る事にした。
「さて…どうなるかな?」
『面白そうだから見せてもらいましょ。』
「君も意地悪だね。」
「ハク…」
「…はい?」
「ねぇ、ハク。」
「はいはい。」
「私ね…ハクのことがね…」
ただそのまま何も言わずにヨナはハクに凭れかかったまま眠ってしまった。
―何だよ…―
『ハハハッ。残念だったわね、ハク。』
「うるせぇ…ったく。」
彼は私の手に自分が飲んでいた杯を押し付けるとヨナを抱き上げた。
「この場を離れたら勝負は負けだよ。」
「てーめ…」
「君が運ばないなら僕が運ぼうかな。」
「…」
ハクはヨナの寝顔を見ながら心頭滅却と自分に言い聞かせて立ち上がり天幕へ彼女を運び入れるのだった。
「さーて、ハクに何を命令しようかな。」
「…」
「……何笑ってんだい、ゼノ君。」
「兄ちゃんも緑龍も微笑ましいな。」
「うるさいよ。」
「緑龍はお嬢の相手してあげた方がいいんじゃないか。」
「分かってるよ。ね、リン。」
『…』
「リン?」
「お嬢も寝ちゃってるから~」
ジェハがふと隣を見ると自分に寄り掛かって眠る私がいた。
彼はふわっと微笑むと私をそっと倒して自分の膝が枕になるように寝かせ頬を撫でた。
「ゼノ君と僕が残ったわけだけど…」
すっと横を見るとゼノが地面に横になって眠っていた。
「って、えー…なんという自由。酔い潰れなくても眠くなったら寝るのね…」
近くではシンアもアオと共に眠っているし、その場に残されたのはジェハだけの様子。
「みんな寝ちゃったし、僕の一人勝ち?勝者は敗者に何を聞いてもらおうか。」
彼は考えながら私の髪を撫でる。
「……なんだろな…これ以上…望む事なんてないんだけど。」
そんな幸せに満ちた悩みの言葉を微かに聞いた私は嬉しくて小さく笑いながらしがみつくように彼の服をぎゅっと握った。
「リン…?」
『…』
「起きてるんだろう?」
『…うん。』
「盗み聞きとは意地悪だね。」
『そんなつもりはなかったんだけど。』
私は寝転がったまま彼を見上げる。
『それにしても幸せな悩みね。』
「だって…君がいて…面白い仲間がいて…ヨナちゃんが笑ってて…それを見守る事が出来る…
僕が帰って来てもいいと示してくれて…いないと心配してくれるような馬鹿な奴らで…
こんな居場所のいい所なんて阿波くらいだと思ってたよ。」
『そう…私もジェハがここにいてハクや仲間達と一緒にヨナを見守る事が出来るなら…それでいい…
でも欲を出せば…大切なヨナとハクが共に笑っていられるように…そう願いたい…』
私の切ない笑みにジェハは心を痛めたが、慰めるように優しい口付けを贈った。
「そんな未来の為にも今出来る事を僕らはやるだけだよ。」
『うん!』
「よし…リン、そんなに酔ってないかな?」
『全く問題はないけど…どうしたの?』
「ちょっと手伝って。」
私はジェハと共にキジャ、シンア、ゼノを抱えて天幕に運び入れた。
そして身体に掛けられる布を持ってくるとジェハと並んで酒を飲み始める。
ただ元々眠たかった私は彼の膝枕で布にくるまって寝息をたて始める。
「おやすみ…」
私に近くにいてほしかったジェハは私を天幕へ運ぶ事はせず、ただ髪や手を撫でながら一人酒をするのだった。
「朝だよー起きてー」
『ふあぁ…おはよう、ユン。』
「お…おはよ、ユン君…」
ジェハは少し飲み過ぎたらしくガンガンする頭を抱え、ハクもヨナと共にいた所為で満足に眠れず眠気から頭に手を当てていた。
ジェハの傍でぐっすり眠っていた私は欠伸をすると2人の様子に呆れたように笑う。
『そういえばユン、昨晩途中から見かけなかったけど…』
「え?あれから食器片付けて、火の番して…
朝から山菜採りに行って、ご飯炊いて、洗濯してた。
あ、縫い物あったら早めに出して。」
彼の言葉に私達は目を輝かせる。ジェハはユンの腕を掴んで挙手させた。
「「優勝!!」」
「え、は?」
『流石ユンだわ…』
「え?どういうこと!?」
「「「異議なし!!」」」
起きて来たヨナ、キジャ、シンア、ゼノもハクとジェハの言葉に賛同して手を挙げる。
「何!?」
「みんな、ユン君の言う事には絶対服従!!」
盛り上がっている仲間達の様子を見守って私は笑いながら器にユンが作った朝食を取り分ける。
―神様…私の願いを聞き入れて下さるなら、こんな笑いの絶えない大切な人達とずっと一緒にいられますように…
彼らがずっと笑っていられますように…―
祈りを込めて見上げた空では綺麗な太陽が輝いていた。
「…ジジイの秘蔵の酒のが美味いな。」
「これだけ手に入れといて、それ?」
「腕相撲に優勝したら酒が貰えるっていうからよ。」
「痛快通り越して気の毒な腕相撲大会だったよ。」
『うん…瞬殺すぎて。』
ハクが腕相撲大会に乱入して他の相手を瞬殺で倒した結果、優勝賞品の酒を手に入れたのだが実際酒の味はムンドクが持っている秘蔵の酒の方が何倍も美味しい。それは私自身も感じていた事だ。
「めったにない機会だからさ、ハク。勝負しない?」
「どっちが先にツブれるかって?勝ったらどうする?」
「敗者は勝者の言う事を何でも聞く。」
「何でもだな。」
「勝負か。では私も。」
「ゼノも。」
『私も参戦。』
「青龍もやろう。」
「やめときなよ。ハクとジェハに敵うわけないじゃん。」
「やってみなければ分からない。」
「『分かるわ!』」
キジャの言葉に私とユンがツッコむ。
「そーそー、何事もやってみないとね。」
『もう…勝てるって分かってて煽るんだから…』
「リンこそ大丈夫なの?あの2人が相手だよ?」
「ユン、知らねェのか?そいつ結構飲むぞ?」
「え…」
『じいややハクと飲んでたし…城でも兵達と一緒に飲んでたからね。慣れたのかしら。』
「いや…酒に至っては体質でしょ…」
「ユン君も参加する?」
「馬鹿言わないで。俺は…おつまみ作る。」
「「「「「『お母さんいつもありがとう。』」」」」」
「お母さん言うな。」
ユンがおつまみを作ろうと近くで作業を始めると私達は座って酒を飲みながら話し始めた。
「しかし腕相撲…私も参加したかった。」
「白龍が出たら相手の腕ぽっきりだから。」
「そーいえば俺時々思うんだけど、どっちが強いんだろうね。」
『何が?』
「キジャの腕力とジェハの脚力。」
キジャはさっと横に座るジェハを見るがジェハは嫌な予感がして顔を背ける。その様子に私は声を上げて笑った。
『ハハハハハッ』
「なぜ目を逸らす?私の目を見よ、ジェハ。」
「いやあ…ちょっと目眩が…」
「どこかの故事で聞いた事がある。
昔…どんな盾をも破る事が出来る矛と、どんな矛をも防ぐ事が出来る盾を売る者がいて…
その最強の矛と最強の盾をぶつけると双方砕け散ったという…」
『矛盾って言葉の語源ね、ハク。』
「よし!どちらが砕け散るか勝負だ。」
「やめて?」
ジェハは本気の顔でキジャを止める。
「待って止まってキジャ君。僕は君と闘う気はないし、砕け散りたくもないよ?」
「何も殺し合おうとは言っていない。少ーし私の拳を受けてみないかという…」
「君の拳は人殺せるからね!?」
私はジェハの手にそっと酒を差し出した。
それを受け取って私の意図を理解したらしいジェハは微笑むとキジャに酒を差し出した。
「…わかった。じゃあ勝負の前にまず一献。」
「うむ。」
杯に酒を注いでキジャに渡すと彼は飲んですぐに倒れた。
「はい、一丁上がり~」
顔を真っ赤にして倒れたキジャを寝かせるとジェハは次にシンアに歩み寄った。
「さて次はー…お、シンア君。いい飲みっぷりだね。生きてるかな?」
顔色が分からなかったためジェハはかぱっとシンアの面を取った。
「ジェハの心臓…丸見え…」
恐れをなしてジェハはそっと面を戻す。そして私やハクの隣に腰を下ろした。
「シンア君はそっとしておこう。」
「シンアー、こっち来て飲…」
「そっとして!!」
『ふふっ』
「さて後は僕とハクとリンとゼノ君だけど…」
ちびちびと酒を飲むゼノの顔色が変わらないのを見てジェハは目を見開く。
私は初めから予想がついていた為、彼らの表情を見てクスクス笑いながら自分の酒を飲んでいた。
「ハク…僕らは今とんでもない奴に勝負を挑んでいるのかもしれないよ。」
「あ?」
ゼノは酒を飲むとニヤッと笑ってハクやジェハを見た。
「あ、ゼノお前もしや…!」
「ふはっ、その通り~
ゼノの体はどーんなに酒が入ってもしばらくフワフワするだけで酔い潰れたりしないから、永久に。
お嬢は気付いてたみたいだけどな。」
『だって少し考えれば分かるじゃないの。』
「まさかの地上最強酒豪…!」
「敵うわけがねぇ。ゼノはこの勝負無効な。」
「いけず。」
「いいじゃない、ゼノも一緒で。」
「あのな、姫さん。こいつは…」
私は唐突に聞こえたヨナのフワフワした声色にハクを引き留めた。
『ハク…ちょっと待って…』
「ん?」
『今の姫様の声…何かおかしい…』
「…まさか…!」
ばっと彼女の方を見ると見事に酔っ払ったヨナがいた。
「私ももう一杯~」
「ってあんた参加してたのかよ!?」
『シンア並みに喋らないから寝てるのかと思ってた…』
「寝てない。」
ヨナはハクの隣に酒を持ったまま座るとこてっと頭を傾けてハクに凭れたまま眠ってしまう。
「寝たし。」
「寝てないもん。」
「寝ろよ。」
また起きて酒を飲もうとする彼女の手から酒を奪うとそのままハクは飲み始める。
私はその様子が面白かった為、ジェハの隣に座って見守る事にした。
「さて…どうなるかな?」
『面白そうだから見せてもらいましょ。』
「君も意地悪だね。」
「ハク…」
「…はい?」
「ねぇ、ハク。」
「はいはい。」
「私ね…ハクのことがね…」
ただそのまま何も言わずにヨナはハクに凭れかかったまま眠ってしまった。
―何だよ…―
『ハハハッ。残念だったわね、ハク。』
「うるせぇ…ったく。」
彼は私の手に自分が飲んでいた杯を押し付けるとヨナを抱き上げた。
「この場を離れたら勝負は負けだよ。」
「てーめ…」
「君が運ばないなら僕が運ぼうかな。」
「…」
ハクはヨナの寝顔を見ながら心頭滅却と自分に言い聞かせて立ち上がり天幕へ彼女を運び入れるのだった。
「さーて、ハクに何を命令しようかな。」
「…」
「……何笑ってんだい、ゼノ君。」
「兄ちゃんも緑龍も微笑ましいな。」
「うるさいよ。」
「緑龍はお嬢の相手してあげた方がいいんじゃないか。」
「分かってるよ。ね、リン。」
『…』
「リン?」
「お嬢も寝ちゃってるから~」
ジェハがふと隣を見ると自分に寄り掛かって眠る私がいた。
彼はふわっと微笑むと私をそっと倒して自分の膝が枕になるように寝かせ頬を撫でた。
「ゼノ君と僕が残ったわけだけど…」
すっと横を見るとゼノが地面に横になって眠っていた。
「って、えー…なんという自由。酔い潰れなくても眠くなったら寝るのね…」
近くではシンアもアオと共に眠っているし、その場に残されたのはジェハだけの様子。
「みんな寝ちゃったし、僕の一人勝ち?勝者は敗者に何を聞いてもらおうか。」
彼は考えながら私の髪を撫でる。
「……なんだろな…これ以上…望む事なんてないんだけど。」
そんな幸せに満ちた悩みの言葉を微かに聞いた私は嬉しくて小さく笑いながらしがみつくように彼の服をぎゅっと握った。
「リン…?」
『…』
「起きてるんだろう?」
『…うん。』
「盗み聞きとは意地悪だね。」
『そんなつもりはなかったんだけど。』
私は寝転がったまま彼を見上げる。
『それにしても幸せな悩みね。』
「だって…君がいて…面白い仲間がいて…ヨナちゃんが笑ってて…それを見守る事が出来る…
僕が帰って来てもいいと示してくれて…いないと心配してくれるような馬鹿な奴らで…
こんな居場所のいい所なんて阿波くらいだと思ってたよ。」
『そう…私もジェハがここにいてハクや仲間達と一緒にヨナを見守る事が出来るなら…それでいい…
でも欲を出せば…大切なヨナとハクが共に笑っていられるように…そう願いたい…』
私の切ない笑みにジェハは心を痛めたが、慰めるように優しい口付けを贈った。
「そんな未来の為にも今出来る事を僕らはやるだけだよ。」
『うん!』
「よし…リン、そんなに酔ってないかな?」
『全く問題はないけど…どうしたの?』
「ちょっと手伝って。」
私はジェハと共にキジャ、シンア、ゼノを抱えて天幕に運び入れた。
そして身体に掛けられる布を持ってくるとジェハと並んで酒を飲み始める。
ただ元々眠たかった私は彼の膝枕で布にくるまって寝息をたて始める。
「おやすみ…」
私に近くにいてほしかったジェハは私を天幕へ運ぶ事はせず、ただ髪や手を撫でながら一人酒をするのだった。
「朝だよー起きてー」
『ふあぁ…おはよう、ユン。』
「お…おはよ、ユン君…」
ジェハは少し飲み過ぎたらしくガンガンする頭を抱え、ハクもヨナと共にいた所為で満足に眠れず眠気から頭に手を当てていた。
ジェハの傍でぐっすり眠っていた私は欠伸をすると2人の様子に呆れたように笑う。
『そういえばユン、昨晩途中から見かけなかったけど…』
「え?あれから食器片付けて、火の番して…
朝から山菜採りに行って、ご飯炊いて、洗濯してた。
あ、縫い物あったら早めに出して。」
彼の言葉に私達は目を輝かせる。ジェハはユンの腕を掴んで挙手させた。
「「優勝!!」」
「え、は?」
『流石ユンだわ…』
「え?どういうこと!?」
「「「異議なし!!」」」
起きて来たヨナ、キジャ、シンア、ゼノもハクとジェハの言葉に賛同して手を挙げる。
「何!?」
「みんな、ユン君の言う事には絶対服従!!」
盛り上がっている仲間達の様子を見守って私は笑いながら器にユンが作った朝食を取り分ける。
―神様…私の願いを聞き入れて下さるなら、こんな笑いの絶えない大切な人達とずっと一緒にいられますように…
彼らがずっと笑っていられますように…―
祈りを込めて見上げた空では綺麗な太陽が輝いていた。