主人公はハクの相棒でヨナの護衛。国内でも有名な美人剣士。
旅の始まり
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運命なんて関係ありません
私は貴女への忠誠だけを胸に進むのですから
あの日多くのものを守れなかった後悔は捨てきれない…否、捨ててはいけないのです
貴女が武器を手にするのなら
我が相棒が命を捨ててでも貴女の盾となるのなら
仲間たちが命の限り戦うというのなら
彼が強く地を蹴って私の手を引いて駆けてくれるというのなら…
私はこの剣に誓いましょう
命尽きる最期の刻まで貴女の傍を離れはしないと…
火の部族の廃れた村の片隅で新たな命が芽生えた。
この村は風の部族との境界付近にあり、火の部族からも風の部族からも忘れられた土地だった。
新しく生まれた小さな命は儚く、父親は娘を見て安心したのか元々患っていた病で亡くなった。
母親は生まれたばかりの娘を強く抱いて涙を流す。
「大丈夫よ…貴女を死なせたりしないわ。」
こんな貧しい村で食料を得るのは困難なこと。
病気が蔓延しているため誰もこの村に近づこうとさえしない。
そんな土地で生まれたばかりの赤ん坊がどうやって生き延びられようか。
母親は自らの家にあった僅かな食料をすべて少しずつ娘に与え、彼女自身は衰弱していった。
数週間で彼女は力尽き静かに永遠の眠りに就いたのだった。
「ごめんね…」
それが彼女の最期の言葉だった。
そんな村を通りかかる物好きな男がいた。その名は風の部族長ムンドク。
彼の耳に届いたのは赤ん坊の泣き声、そして風に乗って漂ってくる花のような甘い香りだった。
泣き声と甘い香りに導かれ彼は古びた家までやってきた。
「…赤ん坊がいるのか?」
―それにこの香り…こんな村に花なんて咲いていないはずだが…?―
家の歪んだ扉を大きな音を立てながら開けると既に冷たくなった女性が床に倒れていて、離れた場所には古布で包まれた男が転がっていた。
ムンドクは顔を顰め、それからすぐ女性の近くで何も知らずに泣く赤ん坊を見つけた。
「食料をすべて娘に与えて自らは飢え死んだか…やはり母親とは強いものだな。」
彼は赤ん坊をそっと抱き上げた。
すると彼女は久しぶりのぬくもりに安心したように微笑んだ。
「この場に似合わぬ無垢な笑顔だな。」
そう呟いた彼の声はとても優しかった。
そのとき彼は気付いたのだ、甘い香りは赤ん坊から香っていて彼女の耳には黒い鱗のようなものがあり爪までもが黒いことに。
「この娘…何か秘密があるとでもいうのか?」
彼は赤ん坊を抱くと馬に乗り自身の村へと帰って行った。
彼は赤ん坊を自分の養子とし、リンと名付けたのだった。
ムンドクの養子には私、リン以外に同い年のハクがいて、彼とはまるで兄妹のように育った。
風の部族として生き、ハクと共に剣術を学んだ。
天性の才能を見せたハクと、彼やムンドクに鍛え上げられた私。
私は女性とは思えない強さを見せ風の部族だけでなく国内でも有名になった。
私たちは国内でも一目置かれた存在でムンドクの自慢だ。
風の部族の民たちは私にとって家族のようなもので、特にムンドク、ハク、そしてもう一人後々養子となったテヨンは大切だった。
武術は剣でも弓矢でも体術でも腕を磨き、主にどの戦い方でもほとんどの兵が手出しできなかった。
女性としての嗜みは村の女性たちに教わった。家事全般、料理、舞い、楽器、そして化粧…
何にでも対処できるよう生きる術はすべて身につけた。
そんな頃、ムンドクから私は両親のことを聞き、一度だけ生まれ故郷へ連れて行ってもらった。
だが、私が生まれた家…否、村自体がもうそこにはなかった。
目の前に広がっていたのは枯れた土地と建物があったと思われる微かな跡だけ。
命を懸けて私を生かした母と、私に生を与えてくれた父…顔も知らない2人に感謝して私は深々と頭を下げた。
共に来ていたムンドクとハクは何も言わず私を見守ってくれる。
頭を上げた私は甘い香りを漂わせながら彼らを振り返って微笑んだ。
『帰ろう、私たちの村へ。』
そのようにして育った私とハクはムンドクに連れられて緋龍城に行くことも多かった。
ハクは次期風の部族長であり、私は彼の相棒・付人として仕えることになるのだ。
そんな城で出逢った無垢な少女…彼女は朗らかなイル陛下の背後に隠れていたが、珍しい赤い髪が揺れているのは隠しようがなく正面に立つ私、ハク、ムンドクから丸見えだった。
「陛下、ご無沙汰しております。この餓鬼共が私の子であるハクとリン。
ハクは後の部族長にするつもりです。」
「ハクとリンか。よろしくね。」
私達は静かに頭を下げた。
―このぽよんが陛下…?―
―それより後ろに隠れてるのは誰かしら…?―
「2人とは歳も近いし仲良くしてもらえるんじゃないかい?」
「『?』」
私とハクはゆっくり頭を上げてムンドクの半歩後ろに並んだまま互いに顔を見合わせた。
「ヨナ、挨拶しなさい。」
恐る恐る前に出てきた姫様…
これが私達とヨナ姫の出逢いだった。
私は貴女への忠誠だけを胸に進むのですから
あの日多くのものを守れなかった後悔は捨てきれない…否、捨ててはいけないのです
貴女が武器を手にするのなら
我が相棒が命を捨ててでも貴女の盾となるのなら
仲間たちが命の限り戦うというのなら
彼が強く地を蹴って私の手を引いて駆けてくれるというのなら…
私はこの剣に誓いましょう
命尽きる最期の刻まで貴女の傍を離れはしないと…
火の部族の廃れた村の片隅で新たな命が芽生えた。
この村は風の部族との境界付近にあり、火の部族からも風の部族からも忘れられた土地だった。
新しく生まれた小さな命は儚く、父親は娘を見て安心したのか元々患っていた病で亡くなった。
母親は生まれたばかりの娘を強く抱いて涙を流す。
「大丈夫よ…貴女を死なせたりしないわ。」
こんな貧しい村で食料を得るのは困難なこと。
病気が蔓延しているため誰もこの村に近づこうとさえしない。
そんな土地で生まれたばかりの赤ん坊がどうやって生き延びられようか。
母親は自らの家にあった僅かな食料をすべて少しずつ娘に与え、彼女自身は衰弱していった。
数週間で彼女は力尽き静かに永遠の眠りに就いたのだった。
「ごめんね…」
それが彼女の最期の言葉だった。
そんな村を通りかかる物好きな男がいた。その名は風の部族長ムンドク。
彼の耳に届いたのは赤ん坊の泣き声、そして風に乗って漂ってくる花のような甘い香りだった。
泣き声と甘い香りに導かれ彼は古びた家までやってきた。
「…赤ん坊がいるのか?」
―それにこの香り…こんな村に花なんて咲いていないはずだが…?―
家の歪んだ扉を大きな音を立てながら開けると既に冷たくなった女性が床に倒れていて、離れた場所には古布で包まれた男が転がっていた。
ムンドクは顔を顰め、それからすぐ女性の近くで何も知らずに泣く赤ん坊を見つけた。
「食料をすべて娘に与えて自らは飢え死んだか…やはり母親とは強いものだな。」
彼は赤ん坊をそっと抱き上げた。
すると彼女は久しぶりのぬくもりに安心したように微笑んだ。
「この場に似合わぬ無垢な笑顔だな。」
そう呟いた彼の声はとても優しかった。
そのとき彼は気付いたのだ、甘い香りは赤ん坊から香っていて彼女の耳には黒い鱗のようなものがあり爪までもが黒いことに。
「この娘…何か秘密があるとでもいうのか?」
彼は赤ん坊を抱くと馬に乗り自身の村へと帰って行った。
彼は赤ん坊を自分の養子とし、リンと名付けたのだった。
ムンドクの養子には私、リン以外に同い年のハクがいて、彼とはまるで兄妹のように育った。
風の部族として生き、ハクと共に剣術を学んだ。
天性の才能を見せたハクと、彼やムンドクに鍛え上げられた私。
私は女性とは思えない強さを見せ風の部族だけでなく国内でも有名になった。
私たちは国内でも一目置かれた存在でムンドクの自慢だ。
風の部族の民たちは私にとって家族のようなもので、特にムンドク、ハク、そしてもう一人後々養子となったテヨンは大切だった。
武術は剣でも弓矢でも体術でも腕を磨き、主にどの戦い方でもほとんどの兵が手出しできなかった。
女性としての嗜みは村の女性たちに教わった。家事全般、料理、舞い、楽器、そして化粧…
何にでも対処できるよう生きる術はすべて身につけた。
そんな頃、ムンドクから私は両親のことを聞き、一度だけ生まれ故郷へ連れて行ってもらった。
だが、私が生まれた家…否、村自体がもうそこにはなかった。
目の前に広がっていたのは枯れた土地と建物があったと思われる微かな跡だけ。
命を懸けて私を生かした母と、私に生を与えてくれた父…顔も知らない2人に感謝して私は深々と頭を下げた。
共に来ていたムンドクとハクは何も言わず私を見守ってくれる。
頭を上げた私は甘い香りを漂わせながら彼らを振り返って微笑んだ。
『帰ろう、私たちの村へ。』
そのようにして育った私とハクはムンドクに連れられて緋龍城に行くことも多かった。
ハクは次期風の部族長であり、私は彼の相棒・付人として仕えることになるのだ。
そんな城で出逢った無垢な少女…彼女は朗らかなイル陛下の背後に隠れていたが、珍しい赤い髪が揺れているのは隠しようがなく正面に立つ私、ハク、ムンドクから丸見えだった。
「陛下、ご無沙汰しております。この餓鬼共が私の子であるハクとリン。
ハクは後の部族長にするつもりです。」
「ハクとリンか。よろしくね。」
私達は静かに頭を下げた。
―このぽよんが陛下…?―
―それより後ろに隠れてるのは誰かしら…?―
「2人とは歳も近いし仲良くしてもらえるんじゃないかい?」
「『?』」
私とハクはゆっくり頭を上げてムンドクの半歩後ろに並んだまま互いに顔を見合わせた。
「ヨナ、挨拶しなさい。」
恐る恐る前に出てきた姫様…
これが私達とヨナ姫の出逢いだった。