願いが叶うならば
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──しがみつくやせ細った母親を落ち着かせ恋歌は自室に籠る。
予定にない外出をしようとすると母親は発狂したように騒ぎだし恋歌から離れないからだ。
玄関に近ずくだけでも見開いた瞳で見つめてくるのだ。
部屋の戸と玄関にはベルが付いていて直ぐに開閉した事が気付かれる。
だから母親を安心させるため恋歌はじっと出来るだけ部屋で過ごす“表向きは”
─夜になり部屋の電気を付けると母親が来た。
「恋歌まだ寝ないの?」
『はい、これからの為にも軽く予習しておこうかと』
少し不安げに見つめていたが諦めたようにふっと顔を緩めた。
「・・・そう、あまり根を詰め過ぎないようにね?」
『はい10時頃には終わらせます』
そう言った恋歌の元へ行くと母親はゆっくりと恋歌の頭を撫で額に口付けた。
「母は先に寝ますね、おやすみなさい恋歌」
『おやすみなさいお母様』
そうして母親がさり1人だけの部屋が静けさが満ちた頃・・・。
不気味な揺らめく黒い空間が1つ部屋の隅に出現した。
恋歌は動じる事なく無言でそちらに向かい
黒い渦に飲み込まれるようにそこから消えた。
─どこかのBARにて
BARのカウンター席の所に黒い渦が渦巻いておりそこからにゅっと人の体が出てきた。
「おかえりなさい優花」
『ただいま黒霧』
渦から出てきたのは、
白崎恋歌、基“維応優花”
路地裏付近で衰弱していた所を“彼”に助けられた。
「待ってたぞ優花」
『・・・ただいま弔』
“彼”死柄木弔に。
弔は優花に近寄ってピタリと目の前でとまりジロジロと不躾に視線を寄越す。
「その姿どうにかならないのか?違和感が凄いぞ?」
そう言われ優花はゆっくりと見た目を変化させた。
髪は桃色から漆黒へ、
肌は真珠のような白さから少し人間味のある肌へ
瞳はエメラルドグリーンからライトブルーへ
身長は数センチほど縮み
そこには確かに“維応優花”と言う少女が立っていた。
「うん、やっぱその方が落ち着くな」
『戻る時は先に自室じゃなくて“地下”の方に頼むわ黒霧』
「ええ、構いませんよ」
優花がカウンターではなくソファーの方へ行き座ると、弔も優花の隣へ腰を下ろす。
「・・・で優花、お前上手く言ってるらしいけどどこまでいった?」
『本当は目立ちたくなかったのだけど恋歌は綺麗だからクラスの人気者になった』
「・・・それのどこが上手くいったんだ?」
少しふざけてそんな事を言ったら弔の声のトーンが下がる。
『学校の作りは全部記憶した。ヒーロー科の生徒とも接触できたわ』
──半年ほど前 とあるBARの個室
優花は目が覚めると、知らない部屋のベッドに寝かされていた。
不思議に思うと同時に体に痛みが走った。
「気分はどうだ?」
!!
優花が身じろぐとそう声がかけられた。
傍に人が居るとは知らず、反射的に声の方へ顔を向ける。
『あんた・・・』
「返事は聞かなかったが手当てしてやった」
見ればそこには、雨の日の夜倒れていた自分に話しかけてきた男がいた。
最初と違い黒いパーカーを着て、あの不気味な手を付けてはいなかった。
男は黒いソファーでだらりと座って、こちらに赤い目を向け返事を待っているようだ。
しかし優花が無言を貫くと、男は不機嫌そうに顔を歪めため息混じりに口を開く。
「何だよ礼の一言もなしかよ、助けを求めたのはそっちだろ」
『っ・・・!あ、あれは・・・』
誰も居ないと思って言った言葉だ。
誰にも聞かれたくない弱音だった・・・。
優花は下唇を噛み男から顔を背けた。
その時、扉を叩く音が部屋に響きもう1人、
バーテンダーらしき黒いモヤで出来た男が入ってきた。
「おや、もう起きていたんですね。
死柄木弔、何故教えて下さらなかったんですか?」
「たった今起きたんだよ」
モヤの男はこちらの男より紳士的で話やすそうだ。
「体調はどうです?お腹は空いていますか?
念の為にと先程お粥を作ったのですが、食べますか?」
「おい、こいつにそんな事しなくていい。
こいつ話す気ないみたいだからな」
死柄木と呼ばれた男はそう言い、首をガリガリと掻きながら優花に背を向け、部屋から出ていく。
「・・・何か機嫌を損ねたようですね」
男は、少し困ったようにそう言い「体、起こしますよ」と一声かけ、優花の上半身を支えて起こしてくれた。
「打撲や切り傷などが数ヶ所あったので、手当てしておきました。
傷が治るまで当分はここに居ても構いません、死柄木弔も了承してますので。」
『・・・何故見ず知らずの人間にここまでしてくれるの?』
後になって、あの死柄木と言う男が何故自分を助けたのか気になった。
親切な対応をするモヤの男の事も不思議で警戒心を滲ませた顔でそう尋ねるとモヤがゆらりと揺れる。
「・・・死柄木弔が望んだからです。私は、それに従いあなたを介抱しているにすぎませんので。」
『さっき出ていった男?』
「はい。自己紹介が遅れましたね、私は黒霧。先程の彼は死柄木弔と言います。」
『・・・優花』
少し間を開けて躊躇いがちに優花は名乗った。
予定にない外出をしようとすると母親は発狂したように騒ぎだし恋歌から離れないからだ。
玄関に近ずくだけでも見開いた瞳で見つめてくるのだ。
部屋の戸と玄関にはベルが付いていて直ぐに開閉した事が気付かれる。
だから母親を安心させるため恋歌はじっと出来るだけ部屋で過ごす“表向きは”
─夜になり部屋の電気を付けると母親が来た。
「恋歌まだ寝ないの?」
『はい、これからの為にも軽く予習しておこうかと』
少し不安げに見つめていたが諦めたようにふっと顔を緩めた。
「・・・そう、あまり根を詰め過ぎないようにね?」
『はい10時頃には終わらせます』
そう言った恋歌の元へ行くと母親はゆっくりと恋歌の頭を撫で額に口付けた。
「母は先に寝ますね、おやすみなさい恋歌」
『おやすみなさいお母様』
そうして母親がさり1人だけの部屋が静けさが満ちた頃・・・。
不気味な揺らめく黒い空間が1つ部屋の隅に出現した。
恋歌は動じる事なく無言でそちらに向かい
黒い渦に飲み込まれるようにそこから消えた。
─どこかのBARにて
BARのカウンター席の所に黒い渦が渦巻いておりそこからにゅっと人の体が出てきた。
「おかえりなさい優花」
『ただいま黒霧』
渦から出てきたのは、
白崎恋歌、基“維応優花”
路地裏付近で衰弱していた所を“彼”に助けられた。
「待ってたぞ優花」
『・・・ただいま弔』
“彼”死柄木弔に。
弔は優花に近寄ってピタリと目の前でとまりジロジロと不躾に視線を寄越す。
「その姿どうにかならないのか?違和感が凄いぞ?」
そう言われ優花はゆっくりと見た目を変化させた。
髪は桃色から漆黒へ、
肌は真珠のような白さから少し人間味のある肌へ
瞳はエメラルドグリーンからライトブルーへ
身長は数センチほど縮み
そこには確かに“維応優花”と言う少女が立っていた。
「うん、やっぱその方が落ち着くな」
『戻る時は先に自室じゃなくて“地下”の方に頼むわ黒霧』
「ええ、構いませんよ」
優花がカウンターではなくソファーの方へ行き座ると、弔も優花の隣へ腰を下ろす。
「・・・で優花、お前上手く言ってるらしいけどどこまでいった?」
『本当は目立ちたくなかったのだけど恋歌は綺麗だからクラスの人気者になった』
「・・・それのどこが上手くいったんだ?」
少しふざけてそんな事を言ったら弔の声のトーンが下がる。
『学校の作りは全部記憶した。ヒーロー科の生徒とも接触できたわ』
──半年ほど前 とあるBARの個室
優花は目が覚めると、知らない部屋のベッドに寝かされていた。
不思議に思うと同時に体に痛みが走った。
「気分はどうだ?」
!!
優花が身じろぐとそう声がかけられた。
傍に人が居るとは知らず、反射的に声の方へ顔を向ける。
『あんた・・・』
「返事は聞かなかったが手当てしてやった」
見ればそこには、雨の日の夜倒れていた自分に話しかけてきた男がいた。
最初と違い黒いパーカーを着て、あの不気味な手を付けてはいなかった。
男は黒いソファーでだらりと座って、こちらに赤い目を向け返事を待っているようだ。
しかし優花が無言を貫くと、男は不機嫌そうに顔を歪めため息混じりに口を開く。
「何だよ礼の一言もなしかよ、助けを求めたのはそっちだろ」
『っ・・・!あ、あれは・・・』
誰も居ないと思って言った言葉だ。
誰にも聞かれたくない弱音だった・・・。
優花は下唇を噛み男から顔を背けた。
その時、扉を叩く音が部屋に響きもう1人、
バーテンダーらしき黒いモヤで出来た男が入ってきた。
「おや、もう起きていたんですね。
死柄木弔、何故教えて下さらなかったんですか?」
「たった今起きたんだよ」
モヤの男はこちらの男より紳士的で話やすそうだ。
「体調はどうです?お腹は空いていますか?
念の為にと先程お粥を作ったのですが、食べますか?」
「おい、こいつにそんな事しなくていい。
こいつ話す気ないみたいだからな」
死柄木と呼ばれた男はそう言い、首をガリガリと掻きながら優花に背を向け、部屋から出ていく。
「・・・何か機嫌を損ねたようですね」
男は、少し困ったようにそう言い「体、起こしますよ」と一声かけ、優花の上半身を支えて起こしてくれた。
「打撲や切り傷などが数ヶ所あったので、手当てしておきました。
傷が治るまで当分はここに居ても構いません、死柄木弔も了承してますので。」
『・・・何故見ず知らずの人間にここまでしてくれるの?』
後になって、あの死柄木と言う男が何故自分を助けたのか気になった。
親切な対応をするモヤの男の事も不思議で警戒心を滲ませた顔でそう尋ねるとモヤがゆらりと揺れる。
「・・・死柄木弔が望んだからです。私は、それに従いあなたを介抱しているにすぎませんので。」
『さっき出ていった男?』
「はい。自己紹介が遅れましたね、私は黒霧。先程の彼は死柄木弔と言います。」
『・・・優花』
少し間を開けて躊躇いがちに優花は名乗った。