願いが叶うならば
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──服屋前、死柄木弔
服を買った後、アイツを探すと入口の所でこちらに背を向けて立っていた。
声をかけようとした時、突然優花はしゃがみ込んだ。
何だ?
声をかけ肩に手を伸ばすと、振り払われた。
見ると、優花の顔は蒼白で怯えた顔をし、おかしな呼吸までしていた。
精神的な物だろう、過呼吸だった。
丁度外のテレビで最近あったグループホーム、殺人事件だかのニュースがやって何となく状況を理解した。
優花の様子に人だかりが出来てきた。
バレたらヤバい事になるだろうと優花を抱き上げ、人通りの少ない日陰にあったベンチに下ろしてやる。
その頃には大分呼吸が正常に戻っていて、顔色も落ち着いた。
人目もないし、いい機会だろうと死柄木は事件の事を聞いてみる事にした。
『だったら何?』
優花は開き直ってそう答えた。
それが本当なら目の前のこの女は大量殺人鬼と言うことになる。
こんな情けない女が?
そう考えると、段々笑えてきた。
「へぇ・・・いいなお前」
不機嫌そうな顔で優花はこちらを睨んでいて、続けて質問してみた。
「ヒーロー、ヒーローあつてのこの社会の事をどう思っている?」
『ヒーロー?』
キョトンとした優花は少し考える素振りを見せる。
『・・・ヒーローは神様じゃない。
なのに周りは自分の完璧な理想のヒーローを求め要求してくる。
ヒーローが居なくなって自分達がいかに頼り切っていたかを思い知らせてやりたい...そう思った事はあるわ』
返ってきた返事はひねくれた内容。
だが、社会への不満が滲み出ていた。
そして思った。
ああ、コイツも“こちら”側の人間だと。
「優花、俺の仲間になれ」
嬉しくて嬉しくて、死柄木は優花に顔を近づけてそう言うと、対象的に優花の顔はみるみる青ざめた。
そして自分から距離を取られた。
「おい、何で逃げるんだよ?」
『い、いらない仲間なんて』
「は?」
訳が分からない。
てっきりすぐ承諾すると思った。
それどころか、優花は自分から逃げ去ったのだ。
意味が分からない。
そして先程の服が詰まった買い物袋を手に呆然と固まった。
「この服どうすんだよ」
と言うかアイツは何処へ向かったんだ?
──それから死柄木は、買い物袋を手にBARへ1人で戻ると当然黒霧が聞いてきた。
「おや、死柄木お一人で?彼女は?」
「知るかよ」
買い物袋はカウンター席、テーブルの上に投げ置き、死柄木はガリガリ首を掻きむしり自室に行って鍵をしめた
何故、優花は自分から逃げたのか。
そればかりが頭に浮かび、死柄木は首を掻きむしり傍にあったカップを粉々にした。
力任せに握り潰し割った訳ではない。
彼の“個性”だ。
「思い通りにならい・・・ああムカつくぜ。
いっそ壊せばいいのか?」
優花をこの手で。
「お帰りなさい優花さん」
その時、扉越しから黒霧の声が聞こえた。
逃げ出した優花が帰って来たようで、黒霧が出迎える。
死柄木は粉々にしたカップをそのままに部屋から出た。
「死柄木・・・」
「よお、逃げてどこ行ってたんだ?」
イラついた様子で優花の元へ来た死柄木。
黒霧はそれを不安げに見守る。
『ごめんなさい、ちょっと一人になりたくて』
「それならそう言えよ。人が気を使って色々してやってるのに」
『ごめんなさい・・・』
優花は先程からずっと俯いている。
『それで・・・あの、話をしたいんだ二人きりで』
躊躇いがちに優花がそう言うと死柄木と黒霧は互いを見た。
「私は構いませんよ、ドクターに用があってこれから出かけますから」
そう言って黒霧はモヤの渦、ワープゲートを作りその中へ消えて行った。
「・・・こっち来い」
死柄木はすぐ傍のカウンター席に座り
隣に来るよう諭す。
しかし、優花は座らず死柄木の目の前まで来て突然、死柄木に抱きついたのだ。
「は?おい、何だよこれ?」
不可解に思いながら腕を解こうとするが優花の腕が震えている事に気付く。
抱きしめられているため、顔は見えない。
『死柄木、私は怖いんだ』
「怖い?」
『何か手に入れるにはいつだって代償がいるから』
「・・・お前さ」
震えている優花の頭に触れた。
その手で髪を梳く。
そうして抱きつく腕にそっと触れると。
力一杯に引き剥がしボロボロと崩れる
優花の腕が。
『ぐっ・・・!?』
優花は腕を庇い、後ろへ一気に飛び退いた。
すぐ離れたため、腕の表面だけがボロボロと崩れ赤い皮膚や肉が覗く。
「その手に持ってるナイフは何だ?」
『はっ・・・』
死柄木は指をさす。
傷を負った方の手にはナイフが握りしめられていた。
『ふ・・・ひ、ひははっ、ふはははっ!
あはははははっ!!』
優花は別人のように笑い、不気味な程顔を歪めて死柄木に舌なめずりした。
服を買った後、アイツを探すと入口の所でこちらに背を向けて立っていた。
声をかけようとした時、突然優花はしゃがみ込んだ。
何だ?
声をかけ肩に手を伸ばすと、振り払われた。
見ると、優花の顔は蒼白で怯えた顔をし、おかしな呼吸までしていた。
精神的な物だろう、過呼吸だった。
丁度外のテレビで最近あったグループホーム、殺人事件だかのニュースがやって何となく状況を理解した。
優花の様子に人だかりが出来てきた。
バレたらヤバい事になるだろうと優花を抱き上げ、人通りの少ない日陰にあったベンチに下ろしてやる。
その頃には大分呼吸が正常に戻っていて、顔色も落ち着いた。
人目もないし、いい機会だろうと死柄木は事件の事を聞いてみる事にした。
『だったら何?』
優花は開き直ってそう答えた。
それが本当なら目の前のこの女は大量殺人鬼と言うことになる。
こんな情けない女が?
そう考えると、段々笑えてきた。
「へぇ・・・いいなお前」
不機嫌そうな顔で優花はこちらを睨んでいて、続けて質問してみた。
「ヒーロー、ヒーローあつてのこの社会の事をどう思っている?」
『ヒーロー?』
キョトンとした優花は少し考える素振りを見せる。
『・・・ヒーローは神様じゃない。
なのに周りは自分の完璧な理想のヒーローを求め要求してくる。
ヒーローが居なくなって自分達がいかに頼り切っていたかを思い知らせてやりたい...そう思った事はあるわ』
返ってきた返事はひねくれた内容。
だが、社会への不満が滲み出ていた。
そして思った。
ああ、コイツも“こちら”側の人間だと。
「優花、俺の仲間になれ」
嬉しくて嬉しくて、死柄木は優花に顔を近づけてそう言うと、対象的に優花の顔はみるみる青ざめた。
そして自分から距離を取られた。
「おい、何で逃げるんだよ?」
『い、いらない仲間なんて』
「は?」
訳が分からない。
てっきりすぐ承諾すると思った。
それどころか、優花は自分から逃げ去ったのだ。
意味が分からない。
そして先程の服が詰まった買い物袋を手に呆然と固まった。
「この服どうすんだよ」
と言うかアイツは何処へ向かったんだ?
──それから死柄木は、買い物袋を手にBARへ1人で戻ると当然黒霧が聞いてきた。
「おや、死柄木お一人で?彼女は?」
「知るかよ」
買い物袋はカウンター席、テーブルの上に投げ置き、死柄木はガリガリ首を掻きむしり自室に行って鍵をしめた
何故、優花は自分から逃げたのか。
そればかりが頭に浮かび、死柄木は首を掻きむしり傍にあったカップを粉々にした。
力任せに握り潰し割った訳ではない。
彼の“個性”だ。
「思い通りにならい・・・ああムカつくぜ。
いっそ壊せばいいのか?」
優花をこの手で。
「お帰りなさい優花さん」
その時、扉越しから黒霧の声が聞こえた。
逃げ出した優花が帰って来たようで、黒霧が出迎える。
死柄木は粉々にしたカップをそのままに部屋から出た。
「死柄木・・・」
「よお、逃げてどこ行ってたんだ?」
イラついた様子で優花の元へ来た死柄木。
黒霧はそれを不安げに見守る。
『ごめんなさい、ちょっと一人になりたくて』
「それならそう言えよ。人が気を使って色々してやってるのに」
『ごめんなさい・・・』
優花は先程からずっと俯いている。
『それで・・・あの、話をしたいんだ二人きりで』
躊躇いがちに優花がそう言うと死柄木と黒霧は互いを見た。
「私は構いませんよ、ドクターに用があってこれから出かけますから」
そう言って黒霧はモヤの渦、ワープゲートを作りその中へ消えて行った。
「・・・こっち来い」
死柄木はすぐ傍のカウンター席に座り
隣に来るよう諭す。
しかし、優花は座らず死柄木の目の前まで来て突然、死柄木に抱きついたのだ。
「は?おい、何だよこれ?」
不可解に思いながら腕を解こうとするが優花の腕が震えている事に気付く。
抱きしめられているため、顔は見えない。
『死柄木、私は怖いんだ』
「怖い?」
『何か手に入れるにはいつだって代償がいるから』
「・・・お前さ」
震えている優花の頭に触れた。
その手で髪を梳く。
そうして抱きつく腕にそっと触れると。
力一杯に引き剥がしボロボロと崩れる
優花の腕が。
『ぐっ・・・!?』
優花は腕を庇い、後ろへ一気に飛び退いた。
すぐ離れたため、腕の表面だけがボロボロと崩れ赤い皮膚や肉が覗く。
「その手に持ってるナイフは何だ?」
『はっ・・・』
死柄木は指をさす。
傷を負った方の手にはナイフが握りしめられていた。
『ふ・・・ひ、ひははっ、ふはははっ!
あはははははっ!!』
優花は別人のように笑い、不気味な程顔を歪めて死柄木に舌なめずりした。
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