願いが叶うならば
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──洋服は結局優花1人で選ぶ事にした。
と言うか、死柄木が拗ねたように何処かへ行ってしまったからだ
一応去り際、「後でな」と言っていたのでその内戻ってくるだろう。
うろちょろしてパーカーが置いてある所を見つけた。
ふとBARにいる間の死柄木を思い返す。
死柄木は黒いパーカーしか持っていないのだろうかと。
カラフルなパーカーを見て、それを着る死柄木を想像すると違和感が凄くて笑ってしまう。
そうして見ているうちに猫耳付きのパーカーが目にとまり、猫耳パーカー、Tシャツ、ジーンズ2着分籠に入れ下着も入れた。
こんな状況で服などこだわるつもりは無かったのでそれだけ入れて死柄木と別れた場所へ戻るる。
「早かったな」
死柄木はもうそこに居て優花にすぐ気が付き籠をちらっと見た。
「それだけでいいのか?」
『ええ十分。ありがとう』
返せる当てもないのだ、これ以上は貰えない
本当は一着も受け取りたくなかったが
ここまで来たからには遠慮は要らないだろうと選んだのだ。
死柄木は首を掻くと、籠をレジへ持っていった。
休日で人が多く店内は混雑しておりレジは時間がかかりそうなので優花は外で待つよう言われそれに従った。
外に出でぼんやりしていると、“それ”が耳に入ってきた。
──「×月×日未明、××、×区のグループホーム爽園で殺人事件が起きしました」
頭から水を被ったように体が一瞬で凍りついた。
外に設置されたテレビ画面にニュースが流れていて優花は機械のような動きでそちらに顔を向ける。
「10名死亡、2名が意識不明の重体。容疑者はここの患者で逃亡中、現在捜索中で・・・」
意識が遠のいていくようだ。
“死亡10名、重体2名”
じわじわと恐怖と絶望が這い上がってくる。
分かっていた事なのに、それを改めて突きつけられ足元がゆらゆら歪んでいく。
先程の自分を殺してやりたくなる。
楽しく買い物なんて、自分が許されるものか。
笑う資格などない。
泣く資格などない。
ヘラヘラ笑って何故忘れていられる?
ひゅっと息が喉につまる。
吸っても吸っても息が苦しくてその場にしゃがみ込み落ち着こうとするが中々出来ない。
「おい」
『っ・・・!?』
話しかけられると同時に肩を掴まれ、反射的に振り払う相手を見ると死柄木だった。
「立てるか?」
その問いに優花は首だけ降る。
少し考える素振りを見せた後、周りの野次馬をチラリと見て優花に視線を戻す。
「暴れるなよ」
え?
死柄木は過呼吸になってしゃがむ優花を抱き上げた。
俗に言う、お姫様抱っこと言う奴だ。
「ゆっくり息吐け、ここじゃ人目あるから移動するぞ」
そう言われ優花は頷き、言う通りに息を吐くのを意識しつつ呼吸を繰り返す。
それを確認すると死柄木は人気の少ないビルの日陰にあるベンチに優花を下ろした。
その頃には、優花も落ち着いた。
後になってお姫様抱っこに恥ずかしくなったが、頭の隅に追いやり死柄木に礼を言おうと顔を向ける。
『ありが──』
「あれさ、お前だろニュース」
優花の言葉は、死柄木の言葉で掻き消えた。
あれとは、先程の殺人事件のニュースで間違いないだろう。
薄々は気付いていたはずだ、自分が倒れていた場所や日時を考えれば。
『だったら?』
「へぇ・・・いいなお前」
否定しない優花に死柄木はニヤリと笑った。
「お前さヒーロー、ヒーローあってのこの社会をどう思っている?」
『ヒーロー?』
死柄木の質問の意図が優花には分からなかったがそれに応えようと考える。
ヒーロー社会。
その言葉で思い出すのは平和の象徴オールマイトで幼なじみの恋歌が憧れるヒーロー。
恋歌の笑顔の源。
そして、自分が慕っていた“アイツ”
プロヒーローだったアイツの最後は残酷で今でも怒りと悲しさ、やるせなさがわき起こる。
『・・・ヒーローは神様じゃない。
なのに周りは自分の完璧な理想のヒーローを求め要求してくる。
ヒーローが居なくなって自分達がいかに頼り切っていたかを思い知らせてやりたい・・・そう思った事はあるわ』
そう答えた時の死柄木は実に嬉しそうに顔を歪め笑っていて背筋がゾクリとした。
顔が目の前まできた。
「優花、俺の仲間になれ」
優花、お前は俺達の大切な仲間だよ。
死柄木と“アイツ”が重なる。
優花は立ち上がり死柄木から逃げるように数歩後ろへ下がる。
それを死柄木は、不思議そうに見て優花に手を伸ばすと避けられた。
「おい、何で逃げるんだよ?」
『い、いらない仲間なんて』
「は?」
優花は真っ青な顔で死柄木から逃げた、とにかく彼のいない場所へと。
───
いらない、いらないいらないいらない・・・
仲間なんて友人なんて恋人なんて家族なんて。
「でもいるだろ?」
ずっと忘れたかった、聞きたくなかった女の声が聞こえた。
見えなくても分かる、それはそれは楽しそうに顔を歪ませている事を──
と言うか、死柄木が拗ねたように何処かへ行ってしまったからだ
一応去り際、「後でな」と言っていたのでその内戻ってくるだろう。
うろちょろしてパーカーが置いてある所を見つけた。
ふとBARにいる間の死柄木を思い返す。
死柄木は黒いパーカーしか持っていないのだろうかと。
カラフルなパーカーを見て、それを着る死柄木を想像すると違和感が凄くて笑ってしまう。
そうして見ているうちに猫耳付きのパーカーが目にとまり、猫耳パーカー、Tシャツ、ジーンズ2着分籠に入れ下着も入れた。
こんな状況で服などこだわるつもりは無かったのでそれだけ入れて死柄木と別れた場所へ戻るる。
「早かったな」
死柄木はもうそこに居て優花にすぐ気が付き籠をちらっと見た。
「それだけでいいのか?」
『ええ十分。ありがとう』
返せる当てもないのだ、これ以上は貰えない
本当は一着も受け取りたくなかったが
ここまで来たからには遠慮は要らないだろうと選んだのだ。
死柄木は首を掻くと、籠をレジへ持っていった。
休日で人が多く店内は混雑しておりレジは時間がかかりそうなので優花は外で待つよう言われそれに従った。
外に出でぼんやりしていると、“それ”が耳に入ってきた。
──「×月×日未明、××、×区のグループホーム爽園で殺人事件が起きしました」
頭から水を被ったように体が一瞬で凍りついた。
外に設置されたテレビ画面にニュースが流れていて優花は機械のような動きでそちらに顔を向ける。
「10名死亡、2名が意識不明の重体。容疑者はここの患者で逃亡中、現在捜索中で・・・」
意識が遠のいていくようだ。
“死亡10名、重体2名”
じわじわと恐怖と絶望が這い上がってくる。
分かっていた事なのに、それを改めて突きつけられ足元がゆらゆら歪んでいく。
先程の自分を殺してやりたくなる。
楽しく買い物なんて、自分が許されるものか。
笑う資格などない。
泣く資格などない。
ヘラヘラ笑って何故忘れていられる?
ひゅっと息が喉につまる。
吸っても吸っても息が苦しくてその場にしゃがみ込み落ち着こうとするが中々出来ない。
「おい」
『っ・・・!?』
話しかけられると同時に肩を掴まれ、反射的に振り払う相手を見ると死柄木だった。
「立てるか?」
その問いに優花は首だけ降る。
少し考える素振りを見せた後、周りの野次馬をチラリと見て優花に視線を戻す。
「暴れるなよ」
え?
死柄木は過呼吸になってしゃがむ優花を抱き上げた。
俗に言う、お姫様抱っこと言う奴だ。
「ゆっくり息吐け、ここじゃ人目あるから移動するぞ」
そう言われ優花は頷き、言う通りに息を吐くのを意識しつつ呼吸を繰り返す。
それを確認すると死柄木は人気の少ないビルの日陰にあるベンチに優花を下ろした。
その頃には、優花も落ち着いた。
後になってお姫様抱っこに恥ずかしくなったが、頭の隅に追いやり死柄木に礼を言おうと顔を向ける。
『ありが──』
「あれさ、お前だろニュース」
優花の言葉は、死柄木の言葉で掻き消えた。
あれとは、先程の殺人事件のニュースで間違いないだろう。
薄々は気付いていたはずだ、自分が倒れていた場所や日時を考えれば。
『だったら?』
「へぇ・・・いいなお前」
否定しない優花に死柄木はニヤリと笑った。
「お前さヒーロー、ヒーローあってのこの社会をどう思っている?」
『ヒーロー?』
死柄木の質問の意図が優花には分からなかったがそれに応えようと考える。
ヒーロー社会。
その言葉で思い出すのは平和の象徴オールマイトで幼なじみの恋歌が憧れるヒーロー。
恋歌の笑顔の源。
そして、自分が慕っていた“アイツ”
プロヒーローだったアイツの最後は残酷で今でも怒りと悲しさ、やるせなさがわき起こる。
『・・・ヒーローは神様じゃない。
なのに周りは自分の完璧な理想のヒーローを求め要求してくる。
ヒーローが居なくなって自分達がいかに頼り切っていたかを思い知らせてやりたい・・・そう思った事はあるわ』
そう答えた時の死柄木は実に嬉しそうに顔を歪め笑っていて背筋がゾクリとした。
顔が目の前まできた。
「優花、俺の仲間になれ」
優花、お前は俺達の大切な仲間だよ。
死柄木と“アイツ”が重なる。
優花は立ち上がり死柄木から逃げるように数歩後ろへ下がる。
それを死柄木は、不思議そうに見て優花に手を伸ばすと避けられた。
「おい、何で逃げるんだよ?」
『い、いらない仲間なんて』
「は?」
優花は真っ青な顔で死柄木から逃げた、とにかく彼のいない場所へと。
───
いらない、いらないいらないいらない・・・
仲間なんて友人なんて恋人なんて家族なんて。
「でもいるだろ?」
ずっと忘れたかった、聞きたくなかった女の声が聞こえた。
見えなくても分かる、それはそれは楽しそうに顔を歪ませている事を──