亮と雅人が同棲する話

 お互い仕事を終えて、まったりタイムの夜。
 おれは人生で何周目かわからないお気に入りのRPGを進めていた。ゲームに興味ない亮は、たいてい静かなところで瞑想あるいは本を読んでゆっくりしている。今晩亮はおれのゲームプレイをBGMに、本を読んでるようだ。
 ゲームに集中するとあっという間に時間がたつよね。あまり根詰めてやると目にも頭にも良いとは言えないので(亮に注意されるし)、おれは寝る前の亮といちゃつく時間まで、今やってたゲームの小説版を読むことにし、本棚でお目当ての本を探した。
 自他ともに認める亮ととっても仲良しのおれだが、ハッキリ言って本の趣味は合わない。おれは「宝島」とか「ピーターパン」の類の本やSFとかゲームの小説版とか漫画が好きだ。最近は綺麗なお姫様が出てくるお話にもハマっている(今やついお姫様に感情移入しちゃう)。亮の本棚には「三国志」とか歴史小説や、東洋思想の本やらがずらりと並んでいる。
 おれは本棚を見たが、本が見つからない。おかしいな、ここに入れてあるはずなのに。
 亮に聞いてもわかるかなと思いつつ、おれは聞いた。
「亮、おれの本見なかった…ってあれ?」
 なんとどういう風の吹き回しか、亮はおれが読もうとしていた本を読んでいた。
「ん?…ああ、すまん。勝手に」
「いや、いいんだけど…亮もそういう本、読むの?」
 ゲーセンでいくらゲームを勧めても取り付く島もなかった亮(なのでクレーンゲームでお菓子とかをとってもらうくらい)が。スリリングなのが好きでいて、おれと映画とかの趣味もさっぱり合わない亮が。
 おれの好きなゲームの小説版を読んでいる。その事実に、おれはちょっとびっくりした。
「…いや、お前が楽しそうにゲームやってるからな。少し小説読んでみたら癖になっちまって」
 確かにシリアスな展開あり笑いありのシナリオが良いことで有名なゲームだけど、亮がハマるとは…。
「それとよ」
「それと?」
「雅人が楽しんでるものを少しでも共有出来たら、と思ってな」
 コバルトブルーの瞳がおれを見つめる。その亮の不器用というかなんというか…かわいらしい優しさに、おれの頭の中は気恥ずかしさと嬉しさでごっちゃになった。
「亮…好き」
 思わず言葉が漏れ、亮に抱き着いた。
「でも今の言い方はキザ」
「キザか?率直な気持ちなんだがな」
「うん、キザ。それにその小説さ、だいぶ作者のアレンジ多いんだよね」
「ゲームの小説にもそういうもんがあんのか?」
「そそ。でもおれはゲームも小説も好き」
 こういうとりとめのない話をするのも心地いい。
 おれも暇な時、亮の小説も読んでみようかな。
3/23ページ
スキ