亮と雅人が同棲する話

「寒いね…」
亮を駅まで迎えに行った帰り道、自然と呟いていた。空は少し暗くなってきたものの、さっきポツポツと降っていた雨はすっかり止んでいる。
「大丈夫か?まだ冬だって感じるよな…」
亮に優しく声をかけられるのを感じると、不思議と寒さが和らぐ。恋人つなぎをした手が、ますます強く握られる。
よく行くいつものコンビニの前に差し掛かったとき、おれのお腹が鳴った。
「…あ」
「なんか食うか?」
「そうだね、夕飯までだいぶあるし」
コンビニに入ると、レジの前のホットスナックが真っ先に目に入った。
アメリカンドッグ、ポテト、フライドチキン、唐揚げ、肉まん、あんまん…どれもとても美味しそうだ。その中でも、肉まんの魔力に不思議と惹きつけられる。
「肉まん、美味しそうだね」
レジには誰も並んでいなかった。亮は迷いなく
「肉まん二つください」
と店員さんに声をかけた。
「あ、亮も食べたかったんだね~」
「雅人と同じのが食いたかったのさ」
店員さんとか他のお客さんがいるにもかかわらず亮はさらりとこういうことを言うからちょっと恥ずかしい…。
そして、ありがとうございました、と店員さんが言って肉まんを渡すのを受け取るときに「どうも」とさりげなく言う亮にも改めてキュンとする。
外で紙に包まれた肉まんを受け取ると、それだけで少しあったまった。
「あっちで食べようか」
おれが軒下を指さして言うと、亮は
「だな、すぐ食べた方が美味いし」
と快諾してくれた。
軒下で同時に包み紙と敷き紙を剥がす。一口かじると、醤油とお肉の味とふわふわの皮の感触が口いっぱいに広がった。
「…超美味しい」
おれは思わずこう言った。亮の方を見れば、おれが喜んでるところを見て嬉しそうに微笑んでいる。
「…亮って、よく笑うようになったよね」
「そうか?」
「うん、ホントに自然に笑うようになった」
亮はクスリと笑って、身を寄せた。
「雅人がいるから、何だって美味いしどんなものも煌めいて見えるのさ」
真顔でこういうことを言うのが気恥ずかしくて、おれは黙って肉まんを食べる。
食べ終わったときには、身も心も温まっていた。
「美味しかった」
「ああ」
包み紙と敷き紙を畳んで、外のゴミ箱に捨てた。
「…こうするのもたまには悪くねえな。あとここでなかったら抱きしめてぇ…」
「続きは帰ったら、ね」
「そうだな」
まだこの時期は寒い。しかし、肉まんを亮と一緒に食べた余韻で、おれはとてもあったかいと思えた。
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