亮と雅人が同棲する話
亮と休日がそろった日の昼下がり、おれらは街を散策していた。
ファッションの街として有名なこの街は、平日でも活気に満ちていた。カップルや家族連れ、いろんな国からの観光客などでにぎわっている。すぐそばには、以前亮が誓いの指輪を買ってくれたお店があるファッションビルもある。左手の薬指にはめた指輪を眺めて、買ってもらった時のことを思い出していた。心なしか、いつもより赤いハートの宝石が煌めいて見える。
「どうした、雅人」
おれが左手を眺めてるのを見て、亮が声をかけた。微笑む亮の顔は…なんというかずるい。ますます惚れちゃうじゃないか。
「この指輪買ってもらった時のこと思い出してたんだ。ほら、あのビルの中のお店」
「ああ、あの時お前、だいぶ恥ずかしがってたな」
「そうだよ、亮がいきなり店員さんに男のおれのために買いに来たって言いだすからさ~。でも嬉しいよ。あの時はありがとね、亮」
「ああ、雅人が嬉しいと俺も嬉しい」
そんな他愛もない会話をしながら歩いていると、とてもかわいいお店があった。雑誌とかテレビでもよく出てくる、安くてクオリティの高いアクセサリーがいっぱい売っていることで有名なファンシーショップだ。
「亮、ちょっとここ見ていいかな」
「気になるものがあるのか?」
「まあちょっとかわいいものが見たくてね」
お店の中には髪飾りやピアスやイヤリング、猫の耳やうさぎの耳のカチューシャなどが並んでいて、可愛い女の子たちや親御さんと一緒に小さい女の子がはしゃぎながら商品を眺めている。
「かわいい空間だな」
亮はいろんな棚を眺めながら呟く。
「全部可愛くて迷っちゃうな」
おれは顎に手を当て、しげしげとアクセサリーを見ていた。
ふと、絵本に出てくるお姫様がつけていそうな小さいティアラに目が留まった。これをノリでおれがつけたところを亮に見せて笑わせちゃおうと思いつく。亮がよそ見をしてる今がチャンスだ。
おれは備え付けの鏡を見ながらティアラを頭にのせて、亮の肩を軽く叩いた。亮は「どうした?」と振り向く。
「亮、これどう?」
我ながら最大限の上目遣いをして、さあ、笑ってくれよと言わんばかりに舌を出しておどけてみせた。
すると、亮はふっと笑って
「すごくよく似合ってるぞ…」
と頬を緩めて言った。確かに亮は笑ったけど、その顔にはからかいなどはなく、慈愛に満ちた表情が浮かんでいた。てっきり揶揄してくるだろうと思ってたおれには青天の霹靂だ。
「…あ、似合うの?」
予想外の亮の反応に、おれはだいぶ戸惑いを隠せなかった。そんなおれの耳元で亮は
「当たり前だ。雅人は俺だけのお姫様だからな」
と、甘くよく通る声で囁く。…なんというか、低音の中にある甘やかさが蕩けてじわーっと頭に広がるような感覚を覚えた。
「じゃあ…このティアラ買ってつけてようか」
「ああ、お姫様」
また冗談のつもりで言ったのに、亮には快諾された。やはり、亮にはかなわないな。
「お姫様って…」
「何回でも呼ぶぞ、お姫様ってな」
亮は優しく言いながら、にこりと笑う。あーもーこれは反則だって。
おれは結局そのティアラを買ってもらい、店員さんにはすぐ使うのでと言って包装を省略してもらった。
ティアラをつけてお店を出たあと、早速亮は
「お疲れではありませんか?お姫様」
とさっそくおれをお姫様扱いしてきた。でも確かにちょっと疲れたな。
「…うん、どこも混んでそうだけど…お茶でも飲もうか」
「仰せのままに…」
亮はおれの手をそっと取る。
「亮、お姫様扱いは恥ずかしいけど…ホントに幸せだよ。指輪もティアラも、亮が買ってくれたから特別に感じるしね。ありがと」
おれは亮の手をきゅっと握って、甘えたように言った。
「どういたしまして、俺もとても幸せだ」
そう言う亮の声には、甘く優しい響きがあった。
おれは照れくささを抱えつつ、亮がいるだけの心が安らぐ時間を享受していた。
ファッションの街として有名なこの街は、平日でも活気に満ちていた。カップルや家族連れ、いろんな国からの観光客などでにぎわっている。すぐそばには、以前亮が誓いの指輪を買ってくれたお店があるファッションビルもある。左手の薬指にはめた指輪を眺めて、買ってもらった時のことを思い出していた。心なしか、いつもより赤いハートの宝石が煌めいて見える。
「どうした、雅人」
おれが左手を眺めてるのを見て、亮が声をかけた。微笑む亮の顔は…なんというかずるい。ますます惚れちゃうじゃないか。
「この指輪買ってもらった時のこと思い出してたんだ。ほら、あのビルの中のお店」
「ああ、あの時お前、だいぶ恥ずかしがってたな」
「そうだよ、亮がいきなり店員さんに男のおれのために買いに来たって言いだすからさ~。でも嬉しいよ。あの時はありがとね、亮」
「ああ、雅人が嬉しいと俺も嬉しい」
そんな他愛もない会話をしながら歩いていると、とてもかわいいお店があった。雑誌とかテレビでもよく出てくる、安くてクオリティの高いアクセサリーがいっぱい売っていることで有名なファンシーショップだ。
「亮、ちょっとここ見ていいかな」
「気になるものがあるのか?」
「まあちょっとかわいいものが見たくてね」
お店の中には髪飾りやピアスやイヤリング、猫の耳やうさぎの耳のカチューシャなどが並んでいて、可愛い女の子たちや親御さんと一緒に小さい女の子がはしゃぎながら商品を眺めている。
「かわいい空間だな」
亮はいろんな棚を眺めながら呟く。
「全部可愛くて迷っちゃうな」
おれは顎に手を当て、しげしげとアクセサリーを見ていた。
ふと、絵本に出てくるお姫様がつけていそうな小さいティアラに目が留まった。これをノリでおれがつけたところを亮に見せて笑わせちゃおうと思いつく。亮がよそ見をしてる今がチャンスだ。
おれは備え付けの鏡を見ながらティアラを頭にのせて、亮の肩を軽く叩いた。亮は「どうした?」と振り向く。
「亮、これどう?」
我ながら最大限の上目遣いをして、さあ、笑ってくれよと言わんばかりに舌を出しておどけてみせた。
すると、亮はふっと笑って
「すごくよく似合ってるぞ…」
と頬を緩めて言った。確かに亮は笑ったけど、その顔にはからかいなどはなく、慈愛に満ちた表情が浮かんでいた。てっきり揶揄してくるだろうと思ってたおれには青天の霹靂だ。
「…あ、似合うの?」
予想外の亮の反応に、おれはだいぶ戸惑いを隠せなかった。そんなおれの耳元で亮は
「当たり前だ。雅人は俺だけのお姫様だからな」
と、甘くよく通る声で囁く。…なんというか、低音の中にある甘やかさが蕩けてじわーっと頭に広がるような感覚を覚えた。
「じゃあ…このティアラ買ってつけてようか」
「ああ、お姫様」
また冗談のつもりで言ったのに、亮には快諾された。やはり、亮にはかなわないな。
「お姫様って…」
「何回でも呼ぶぞ、お姫様ってな」
亮は優しく言いながら、にこりと笑う。あーもーこれは反則だって。
おれは結局そのティアラを買ってもらい、店員さんにはすぐ使うのでと言って包装を省略してもらった。
ティアラをつけてお店を出たあと、早速亮は
「お疲れではありませんか?お姫様」
とさっそくおれをお姫様扱いしてきた。でも確かにちょっと疲れたな。
「…うん、どこも混んでそうだけど…お茶でも飲もうか」
「仰せのままに…」
亮はおれの手をそっと取る。
「亮、お姫様扱いは恥ずかしいけど…ホントに幸せだよ。指輪もティアラも、亮が買ってくれたから特別に感じるしね。ありがと」
おれは亮の手をきゅっと握って、甘えたように言った。
「どういたしまして、俺もとても幸せだ」
そう言う亮の声には、甘く優しい響きがあった。
おれは照れくささを抱えつつ、亮がいるだけの心が安らぐ時間を享受していた。