亮と雅人が同棲する話

 週末の昼下がり。
 おれと亮は一緒に行くのをずっと楽しみにしていた喫茶店で、飲み物が来るのを待っていた。週末ということもあって、子連れの人やおれたちと同年代であろうグループでにぎわっている。
 このお店は以前おれが一人で買い物に行った時に見つけたお店で、亮と絶対行きたいと思っていたのにおれが風邪でダウンしたせいで行けなくなったということがあった。なので、今日行けたことで感慨もひとしおだ。
 このところ猛暑が続いてるせいか、お店とかも電車も冷房が効いている。今日も暑いからそれ自体はありがたかった。
 …だけど、おれは涼しいを通り越して寒い。席について氷水が出てくるなり一気飲みしてしまったこともあった。またおれらの席は冷房の風がよくあたる。
 このあとクリームソーダが控えてるとなると、自分で頼んだとはいえ想像しただけで余計寒くなった。
(上着持ってくればよかったな…)
 混んでるから席変えてもらうわけにもいかないし、今から温かい飲み物に注文変えるのもなんだしな…。こう思っていた矢先、向かいの席に座って新聞を読んでた亮はふとおれを見るなり、着ていた長袖の上着を脱いだ。
「亮?」
 暑くなってきたのかな、このキンキンに冷房が効いてる中で…と思っていたら、
「ほらよ」
 とおれに上着を手渡してくれた…!
「これでも着てな」
「え、でも亮が寒いでしょ」
 亮は上着の下はTシャツ一枚だ。いくら鍛えてても寒くなっちゃわないか少し心配だった。
「寒くねぇよ。それよりお前がまた風邪ひいたら…」
「う…そうだね。お言葉に甘えさせていただきます」
 冷え症なおれに冷えは大敵でもある。そう思って亮の上着を羽織った。おれには大きくて、袖も余るんだけど捲ればいいわけで。
 今まで亮が着ていたのもあるんだろうけど、とってもあったかかった。なんて言うんだろう…亮に抱きしめられてる感じがして、身も心もとってもポカポカした。
「ありがと、亮。すごくあったかいよ」
「雅人の仕草でわかった」
 無意識のうちに腕とかさすってたからか、亮にはお見通しだったみたい。亮の優しさにはかなわないな…。
 これなら冷たいものでも美味しくいけそうだ、と思っていると店員さんがおれの頼んだクリームソーダと亮が頼んだコーヒーを持ってきた。
「お待たせしました!クリームソーダのお客様」
「はい!」
 店員さんはクリームソーダをおれの前に置く。
 まさにこれぞクリームソーダという感じの、メロンソーダの上にバニラアイスとチェリーがのったクリームソーダだ。
 亮の前にコーヒーを置いた店員さんは
「ごゆっくりどうぞ」
 と言って戻っていった。
 亮の上着という優しさとあったかさに包まれながら飲むクリームソーダは、それはそれは格別だった。

おまけ
「雅人、いつも思うんだがアイス食うの遅ぇんだな」
「あ、うん…一気にがっついて頭キーンってなるの嫌だからね…」
(ここでなかったら抱きしめてぇ…)
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