亮と雅人が同棲する話
ムゲ帝国との戦いが終わって、平和な日常。
週末の昼下がり、おれらと同年代であろう人々であふれかえっている。
この町はそういう人たちや子どもたち向けの服やカフェがいっぱいあることで有名だ。
そして今おれと亮は同棲の準備に明け暮れている。
恋人となったおれらは、戦いが終わる前「この戦いが終わったら一緒に暮らそう」と約束していた。
その約束が果たせる幸せをかみしめながら、まとまった久々の休暇を過ごしているんだ。
亮は「安物で悪いが、生きて帰ってこれたら指輪買ってやる」とも言ってくれてたから、今日は一緒に指輪を買いに来たというわけだ。
おれらはとあるジュエリーショップに着いた。ファッションビルの中の、かわいらしい内観のお店。
数年前出だしてから、今や10代20代の子に大人気の「夢や恋が叶うジュエリー」といわれるアクセサリーブランド。
雑誌とかでよく取り上げられていて、亮と付き合う前はこのアクセサリーを可愛い女の子にあげるおれを想像して嬉しい気持ちになったもんだ。
さっきカフェでおれの左手の薬指のサイズを測ってくれた(ストローの袋で)し、準備万端だ。
しかし…いざ入るとなるとちょっと緊張してしまう。
亮はお店の看板をしげしげと眺めながら、「ここなのか?」と聞いてきた。
「そう…なんだけど」
お店の中には他のお客さんはいなかった。自ずとおれら二人だけで見ることになる(後から人が来れば別だけど)。
「なんかちょっと恥ずかしいんだよね…男二人でさ…」
「堂々としてればいいだろ」
躊躇するおれをよそに、亮はショーケースを眺め始める。おれは慌てて亮についてきた。
店員さんは「いらっしゃいませ!」と明るく元気な声で迎えてくれた。
やはりこういう所で働く人は綺麗な女の人なんだなと改めて思った。もっともこんなこと考えてるのが亮にばれたら機嫌悪くなるけど…。
ショーケースの中には、本当にかわいらしいデザインの美しいアクセサリーぞろいだ。
しかも亮がくれるとなると、人生で今まで見たどの宝石よりも輝いて見えた。
「亮、ホントにおれの気に入ったのでいいの?」
おれはヒソヒソ声で亮に聞く。
「当たり前だ。それにこの店くらいなら今の俺でも出せるしな」
と亮もまたヒソヒソ声で返してくれた。
やったー♡とおれが有頂天になっていると、ショーケース越しに店員さんが
「本日は何をお探しですか?」
と聞いてくれていた。でも、おれにはやはり恥ずかしさが消えなかった。
「え、えっとー…」
何か言わなくちゃ。
そう思っていると亮は
「恋人に指輪を送りたいんですが」
と切り出した。いきなりそれ言うの…!しかもその言い方がすごくキザで、おれはそれにもびっくり仰天した。
(もーーー!何を言い出すんだよ亮は!!!)
恥ずかしさで頭がいっぱいになっていると、店員さんはニコニコ笑いながら
「そうですか、彼女さんはどのような方なのですか?」
と聞いてきた。
…彼女さん?
どうも店員さんは、亮が彼女にプレゼントするつもりでここに来ていて、おれはその連れと勘違いしたようだ。
違うんだけどな、と思った一方でこれなら色々見れる…とも思えて、急に恥ずかしさが消えた。
「…目が大きくてかわいくて、ちょっと無鉄砲なところがあって、初夏の風のような声で…繊細で守ってあげたくなるような…そんな人ですね」
亮は水が流れるように店員さんに話す。よしよし、この調子で間を持たせてくれよ。
「彼女さんは幸せな方ですね!お客様みたいな彼氏で…」
店員さんも嬉しそうな反応を見せる。存在しない「彼女」の存在の話で、おれは少し罪悪感を感じた。
ふと、羽が生えた赤いハートのデザインの指輪が目に留まった。なんかのアニメに出てきそうな、とてもかわいいデザインだ。
これを亮がおれにくれるのか…と思うとうっとりした。脳にお砂糖とかピンクのもやもやがダーッと来たような感覚だ。
でもすぐさま我に返って
「りょ、亮!こういうのとかいいんじゃない?」
と言ってみた。
亮はおれの声を聞いて、指輪を見る。
「ああ、すごく綺麗だな。これにするか」
優しい声で亮が言うと、店員さんはにこやかに
「かしこまりました!サイズはいかがなさいますか?」
と聞いた。
すると、亮はカバンからさっきのストローの袋を出して店員さんに渡すと、
「いつ訂正しようか悩んだんですが…これが『彼』のサイズですね」
とおれを手で指して言った。
え?
は??
えっと…??
えっと…
えええええええええ!!
おさまりかけてた恥ずかしさが、再び急に頂点に達した。いや、今日一恥ずかしい…。
店員さんは
「あ、そうなんですか…失礼いたしました。ではサイズ調べてまいりますね」
と少しびっくりした風で、奥へと入っていった。
恥ずかしすぎる!さっきしてたのは嘘の彼女話だとばっかり思ってたのに、おれの話だったの?!
「りょお~!!だから恥ずかしかったのに!」
「何を恥ずかしがることがあるんだ」
「い、いやその…男同士だし…」
「男同士だったら、変なのか?何を今更…」
あっけらかんと亮に言われ、返す言葉もなかった。確かにそうだ。
ABCでいうところのCまでいってるのに…。
しばらくして店員さんが戻ってきて、にこやかに
「お待たせしました!こちらでよろしいでしょうか?」
と、指輪を見せてくれた。
おれはつい
「あ、はい、とても気に入りました!」
と答えてしまっていた。
「ありがとうございます!今包装いたしますね」
そのあと、亮と店員さんは相変わらずとてもスムーズにやり取りを済ませ、帰るときになったときだ。
亮は店員さんに
「ありがとうございます。彼、ちょっと緊張してたようですけど…とても気に入ったみたいです」
と優しく声をかけた。亮は本当に優しいんだな…。
おかげでおれの気恥ずかしさはだいぶ雲散霧消し、店員さんは
「あ、はい…こちらこそ。お幸せに!」
といたく感動したようだった。
その後、まだ家具とか少ない家で亮はおれの左手の薬指に指輪をはめて
「この指輪に誓う。雅人、ずっと一緒にいてくれないか」
と改めてプロポーズをしてくれた。
もちろん
「うん、ホントにありがと、亮!」
と返事をし、おれは二人きりなのをいいことに、亮に抱き着いた。
週末の昼下がり、おれらと同年代であろう人々であふれかえっている。
この町はそういう人たちや子どもたち向けの服やカフェがいっぱいあることで有名だ。
そして今おれと亮は同棲の準備に明け暮れている。
恋人となったおれらは、戦いが終わる前「この戦いが終わったら一緒に暮らそう」と約束していた。
その約束が果たせる幸せをかみしめながら、まとまった久々の休暇を過ごしているんだ。
亮は「安物で悪いが、生きて帰ってこれたら指輪買ってやる」とも言ってくれてたから、今日は一緒に指輪を買いに来たというわけだ。
おれらはとあるジュエリーショップに着いた。ファッションビルの中の、かわいらしい内観のお店。
数年前出だしてから、今や10代20代の子に大人気の「夢や恋が叶うジュエリー」といわれるアクセサリーブランド。
雑誌とかでよく取り上げられていて、亮と付き合う前はこのアクセサリーを可愛い女の子にあげるおれを想像して嬉しい気持ちになったもんだ。
さっきカフェでおれの左手の薬指のサイズを測ってくれた(ストローの袋で)し、準備万端だ。
しかし…いざ入るとなるとちょっと緊張してしまう。
亮はお店の看板をしげしげと眺めながら、「ここなのか?」と聞いてきた。
「そう…なんだけど」
お店の中には他のお客さんはいなかった。自ずとおれら二人だけで見ることになる(後から人が来れば別だけど)。
「なんかちょっと恥ずかしいんだよね…男二人でさ…」
「堂々としてればいいだろ」
躊躇するおれをよそに、亮はショーケースを眺め始める。おれは慌てて亮についてきた。
店員さんは「いらっしゃいませ!」と明るく元気な声で迎えてくれた。
やはりこういう所で働く人は綺麗な女の人なんだなと改めて思った。もっともこんなこと考えてるのが亮にばれたら機嫌悪くなるけど…。
ショーケースの中には、本当にかわいらしいデザインの美しいアクセサリーぞろいだ。
しかも亮がくれるとなると、人生で今まで見たどの宝石よりも輝いて見えた。
「亮、ホントにおれの気に入ったのでいいの?」
おれはヒソヒソ声で亮に聞く。
「当たり前だ。それにこの店くらいなら今の俺でも出せるしな」
と亮もまたヒソヒソ声で返してくれた。
やったー♡とおれが有頂天になっていると、ショーケース越しに店員さんが
「本日は何をお探しですか?」
と聞いてくれていた。でも、おれにはやはり恥ずかしさが消えなかった。
「え、えっとー…」
何か言わなくちゃ。
そう思っていると亮は
「恋人に指輪を送りたいんですが」
と切り出した。いきなりそれ言うの…!しかもその言い方がすごくキザで、おれはそれにもびっくり仰天した。
(もーーー!何を言い出すんだよ亮は!!!)
恥ずかしさで頭がいっぱいになっていると、店員さんはニコニコ笑いながら
「そうですか、彼女さんはどのような方なのですか?」
と聞いてきた。
…彼女さん?
どうも店員さんは、亮が彼女にプレゼントするつもりでここに来ていて、おれはその連れと勘違いしたようだ。
違うんだけどな、と思った一方でこれなら色々見れる…とも思えて、急に恥ずかしさが消えた。
「…目が大きくてかわいくて、ちょっと無鉄砲なところがあって、初夏の風のような声で…繊細で守ってあげたくなるような…そんな人ですね」
亮は水が流れるように店員さんに話す。よしよし、この調子で間を持たせてくれよ。
「彼女さんは幸せな方ですね!お客様みたいな彼氏で…」
店員さんも嬉しそうな反応を見せる。存在しない「彼女」の存在の話で、おれは少し罪悪感を感じた。
ふと、羽が生えた赤いハートのデザインの指輪が目に留まった。なんかのアニメに出てきそうな、とてもかわいいデザインだ。
これを亮がおれにくれるのか…と思うとうっとりした。脳にお砂糖とかピンクのもやもやがダーッと来たような感覚だ。
でもすぐさま我に返って
「りょ、亮!こういうのとかいいんじゃない?」
と言ってみた。
亮はおれの声を聞いて、指輪を見る。
「ああ、すごく綺麗だな。これにするか」
優しい声で亮が言うと、店員さんはにこやかに
「かしこまりました!サイズはいかがなさいますか?」
と聞いた。
すると、亮はカバンからさっきのストローの袋を出して店員さんに渡すと、
「いつ訂正しようか悩んだんですが…これが『彼』のサイズですね」
とおれを手で指して言った。
え?
は??
えっと…??
えっと…
えええええええええ!!
おさまりかけてた恥ずかしさが、再び急に頂点に達した。いや、今日一恥ずかしい…。
店員さんは
「あ、そうなんですか…失礼いたしました。ではサイズ調べてまいりますね」
と少しびっくりした風で、奥へと入っていった。
恥ずかしすぎる!さっきしてたのは嘘の彼女話だとばっかり思ってたのに、おれの話だったの?!
「りょお~!!だから恥ずかしかったのに!」
「何を恥ずかしがることがあるんだ」
「い、いやその…男同士だし…」
「男同士だったら、変なのか?何を今更…」
あっけらかんと亮に言われ、返す言葉もなかった。確かにそうだ。
ABCでいうところのCまでいってるのに…。
しばらくして店員さんが戻ってきて、にこやかに
「お待たせしました!こちらでよろしいでしょうか?」
と、指輪を見せてくれた。
おれはつい
「あ、はい、とても気に入りました!」
と答えてしまっていた。
「ありがとうございます!今包装いたしますね」
そのあと、亮と店員さんは相変わらずとてもスムーズにやり取りを済ませ、帰るときになったときだ。
亮は店員さんに
「ありがとうございます。彼、ちょっと緊張してたようですけど…とても気に入ったみたいです」
と優しく声をかけた。亮は本当に優しいんだな…。
おかげでおれの気恥ずかしさはだいぶ雲散霧消し、店員さんは
「あ、はい…こちらこそ。お幸せに!」
といたく感動したようだった。
その後、まだ家具とか少ない家で亮はおれの左手の薬指に指輪をはめて
「この指輪に誓う。雅人、ずっと一緒にいてくれないか」
と改めてプロポーズをしてくれた。
もちろん
「うん、ホントにありがと、亮!」
と返事をし、おれは二人きりなのをいいことに、亮に抱き着いた。
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