サディスト5題
【苦痛に歪む顔】
綺麗なコだな。
ホントにかわいいね。
何度も浴びせられる賛辞だが、律は少しも嬉しくない。
そもそも賛辞などとは思っておらず、屈辱でしかないのだ。
律が奴隷であることを認め、自分の身の上を告白した後。
高野はようやく律に服を与えた。
だがその服がまともではなかった。
ブラウス、スカート、ワンピース。
何着か用意されたそれは、全て女性ものだった。
共通しているのは全て淡い色合いであること、そして露出が多いこと。
襟元が大きく開いているし、スカート丈も短めだ。
律のほっそりした身体や、すんなりとした美脚が強調されるものばかりだ。
ミニスカートに慣れた女子が見れば、大人しいものばかりではある。
だがスカートなど履き慣れていない律は、どうにも落ち着かなかった。
それに首が露わになるブラウスも嫌だ。
首輪は未だに装着されたままなので、それが丸見えだった。
そんな律の苦痛に歪む顔を、高野は楽しんでいる。
いわゆる女装なのだが、愛らしく美しい律にはよく似合っている。
高野はその姿にすっかりご満悦で、思わず口元に笑みが浮かんでしまう。
だが律にしてみれば不本意であり、高野の笑みは嘲笑にしか見えなかった。
そして今、律はこの監禁生活で初めて他の人間の前に立った。
律は白いブラウスと薄茶色のスカート姿で、仕事部屋へと連れられて来た。
そこでは高野の知り合いだという3人の男が待ち構えていた。
*****
うわ、綺麗なコ!
ホントにかわいいね。足も綺麗。
2人の男が呆然と立ち尽くす律に近づき、ジロジロと無遠慮に見回した。
高野はニヤニヤと笑いながら「仕事仲間の木佐と美濃だ」と律に教える。
高野さんって女の子をとっかえひっかえしてるのに!ついにこのコに決めたの?
美濃がそう言いながら律の前に立ち、顎に手をかけて自分の方を向かせた。
そして「目が緑なんだ。珍しい」と無遠慮に覗き込む。
まるで珍しい動物でも見るような無礼な視線だ。
高野はフンと鼻で笑うと「ただの奴隷だ」と答える。
首輪してる。本当に奴隷なんだね。
木佐が律の首に手を伸ばし、首輪をなでた。
一瞬ビクリと身体を震わせた律だったが、高野に「動くな」と言われてしまう。
よくこんなコ、拾ったね。俺も奴隷が欲しくなったなぁ。
美濃が律の髪に指を差し込み、サラサラとした感触を楽しみながら高野を見た。
そうそうこんなの落ちてないぞ。羨ましいだろ。
高野はシレっとそう言うと、ニヤリと口元を歪めて律を見た。
どうやらまともな人間の集まりではないようだ。
律は背筋に寒気を感じて、思わず顔を背けた。
すると1人だけ会話に加わらず、壁際に立っている男と目が合った。
アイツは羽鳥。同じく仕事仲間だ。
律の視線を読んだ高野がそう言った。
その男の目からは感情がうかがえないが、ねっとりとした視線で律の身体を見ている。
律はその不気味な視線の意味がわからず、ただただ困惑した。
*****
羽鳥、もしかして千秋ちゃんに女装させようとか思ってるでしょ?
木佐が羽鳥を茶化しながら、バンバンと肩を叩く。
羽鳥は押し黙ったまま「まさか」と首を振った。
羽鳥は千秋ちゃんとラブラブで甘やかしてるから、嫌がることはしないよ。
きっとこのコを千秋ちゃんに置き換えて妄想してる。そうでしょ?
美濃がそう言うと、今度は羽鳥は黙ったままだ。
確かに羽鳥は千秋ちゃんが大事で、誰にも見せてくれないもんね。
木佐がと大げさに声を上げながら、美濃と顔を見合わせて笑った。
美濃の言うことは、見事に当たっていた。
千秋とは羽鳥の愛人で、律と同じ男だ。
羽鳥は律の愛らしい姿を見て、千秋に脳内変換していたのだった。
ねぇねぇ高野さん、今度このコ貸してよ!
木佐が律の横に立つと、律の耳に吐息を吹きかけながら言う。
待てないって。今からみんなで遊ぼうよ。
いつのまにか美濃は律の前にしゃがんでおり、むき出しの生足を眺めながらそう言った。
まだ調教の途中だからなぁ。
高野は2人の言い分を真に受けて、考えるような表情だ。
羽鳥は口を挟まずに、黙ってやり取りを聞いている。
まさか高野以外の人間にも嬲られるのかと、律はもう生きた心地がしない。
木佐に「まずは座ろうよ」と手を引かれ、律は促されるままにソファに腰掛けた。
高野が淹れたコーヒーに口をつけたが、味もよくわからなかった。
*****
律は目をあけると「あれ?」と小さく呟いた。
気付くと、律は1人でベットに横たわっていた。
締め切られて薄暗いこの部屋は、監禁されていた時に見慣れている。
つまり律は寝室のベットで眠っていたのだ。
寝た記憶がない律は、何が起きたのか思い出そうとする。
確か高野が仕事仲間だという男3人に律のことを「奴隷」だと紹介した。
ジロジロ見られて、触られて、その後コーヒーを飲んだ辺りから覚えていない。
そこで眠ってしまったのだろうか。
慌てて起き上がろうとした律だったが、身体を起こしきれないうちに勢いよくまた倒れた。
何かに腕を引かれたような感覚がしたが、すぐに違うとわかる。
律は後手で手錠をかけられた状態だったのだ。
服がそのままの状態だったから、まったく気がつかなかった。
起きたか?
不意に寝室のドアが開いて、高野が顔を覗かせた。
訳がわからない律に「じゃあギャラリー呼ぶから」と言って、唇を歪めて笑う。
その瞬間、律はベットの横に椅子が3つ置かれているのを見て、血の気が引いた。
まさか、あの3人の前で?
その前にプレゼントだ。楽しませろよ。
高野はすばやくベットに上がると、律に耳栓とアイマスクを装着した。
手の自由がきかない律は、高野にされるがままだった。
目と耳も塞がれて、ただ震えることしかできない。
*****
高野は律を押し倒すと、スカートと下着を取り去った。
白いブラウスをはだけさせ、大きく広げてしまう。
それだけでもう律は、ブラウスを引っかけているだけの裸だ。
律は恥ずかしがる暇もなく上半身を起こされ、背後から抱きしめられた。
身体を椅子があった方に向けられ、高野の腿に足を絡める形で大きく開かされる。
しばらくその状態で動かないのは「ギャラリー」に見せつけているのだろう。
あまりの恥ずかしさに身をよじろうとしたが、高野はガッチリと律を羽交い絞めにしている。
何も見えず聞こえないのに、視線と嘲笑が突き刺さるような気がする。
恥ずかしいのに、身体の芯が疼く。
まだ何もされていないのに、身体が火照り、下半身に熱が集まってくるのだ。
実は飲まされたコーヒーに睡眠薬と媚薬が入っていたのだが、律は知るよしもない。
このまま視線に犯されながら、めちゃめちゃにされたい衝動を持て余していた。
徐々に呼吸が荒くなり、声を漏らし始めると、高野は律の屹立をからかうようにつついた。
律は喘ぎながら、羽鳥という男のことを思い出す。
愛人の「千秋」を大事にしていて「千秋」を誰にも見せない。
だけど高野と律の関係は違う。
律の立場は「ただの奴隷」であり、こうやって玩具にして遊ぶ。
高野は元々女の子をとっかえひっかえしていると、美濃はそう言っていた。
ならば律のことも、飽きたらさっさと捨てるに違いない。
だってあくまでも律は奴隷に過ぎないのだから。
だけどそれを想像するだけで、こんなに悲しいのは何故だろう?
高野に放り出されれば自由になれるはずなのに、考えただけで胸が痛い。
もしかしたらこの男に恋をしているのだろうか?
そんな馬鹿なと思いながらも、律は迷い揺れる。
だがそんな律の葛藤などお構いなしに、高野は律を攻める。
高野の指や舌に嬲られて、律はさんざんに乱れて、喘いで、堕とされた。
そして気を失うまで翻弄され、目と耳と手を解放されたのは翌日だった。
だから律は知らなかった。
本当は羽鳥たちは、律がコーヒーを飲んで眠った直後に帰っていたことを。
高野はかわいい「奴隷」を自慢したいが、肌まで見せるつもりはなかった。
ただ律が見られていると思い込ませて、苦痛に歪む顔を楽しみたかったのだ。
つまり律が暴かれた姿を知っているのは、高野だけだ。
【続く】
綺麗なコだな。
ホントにかわいいね。
何度も浴びせられる賛辞だが、律は少しも嬉しくない。
そもそも賛辞などとは思っておらず、屈辱でしかないのだ。
律が奴隷であることを認め、自分の身の上を告白した後。
高野はようやく律に服を与えた。
だがその服がまともではなかった。
ブラウス、スカート、ワンピース。
何着か用意されたそれは、全て女性ものだった。
共通しているのは全て淡い色合いであること、そして露出が多いこと。
襟元が大きく開いているし、スカート丈も短めだ。
律のほっそりした身体や、すんなりとした美脚が強調されるものばかりだ。
ミニスカートに慣れた女子が見れば、大人しいものばかりではある。
だがスカートなど履き慣れていない律は、どうにも落ち着かなかった。
それに首が露わになるブラウスも嫌だ。
首輪は未だに装着されたままなので、それが丸見えだった。
そんな律の苦痛に歪む顔を、高野は楽しんでいる。
いわゆる女装なのだが、愛らしく美しい律にはよく似合っている。
高野はその姿にすっかりご満悦で、思わず口元に笑みが浮かんでしまう。
だが律にしてみれば不本意であり、高野の笑みは嘲笑にしか見えなかった。
そして今、律はこの監禁生活で初めて他の人間の前に立った。
律は白いブラウスと薄茶色のスカート姿で、仕事部屋へと連れられて来た。
そこでは高野の知り合いだという3人の男が待ち構えていた。
*****
うわ、綺麗なコ!
ホントにかわいいね。足も綺麗。
2人の男が呆然と立ち尽くす律に近づき、ジロジロと無遠慮に見回した。
高野はニヤニヤと笑いながら「仕事仲間の木佐と美濃だ」と律に教える。
高野さんって女の子をとっかえひっかえしてるのに!ついにこのコに決めたの?
美濃がそう言いながら律の前に立ち、顎に手をかけて自分の方を向かせた。
そして「目が緑なんだ。珍しい」と無遠慮に覗き込む。
まるで珍しい動物でも見るような無礼な視線だ。
高野はフンと鼻で笑うと「ただの奴隷だ」と答える。
首輪してる。本当に奴隷なんだね。
木佐が律の首に手を伸ばし、首輪をなでた。
一瞬ビクリと身体を震わせた律だったが、高野に「動くな」と言われてしまう。
よくこんなコ、拾ったね。俺も奴隷が欲しくなったなぁ。
美濃が律の髪に指を差し込み、サラサラとした感触を楽しみながら高野を見た。
そうそうこんなの落ちてないぞ。羨ましいだろ。
高野はシレっとそう言うと、ニヤリと口元を歪めて律を見た。
どうやらまともな人間の集まりではないようだ。
律は背筋に寒気を感じて、思わず顔を背けた。
すると1人だけ会話に加わらず、壁際に立っている男と目が合った。
アイツは羽鳥。同じく仕事仲間だ。
律の視線を読んだ高野がそう言った。
その男の目からは感情がうかがえないが、ねっとりとした視線で律の身体を見ている。
律はその不気味な視線の意味がわからず、ただただ困惑した。
*****
羽鳥、もしかして千秋ちゃんに女装させようとか思ってるでしょ?
木佐が羽鳥を茶化しながら、バンバンと肩を叩く。
羽鳥は押し黙ったまま「まさか」と首を振った。
羽鳥は千秋ちゃんとラブラブで甘やかしてるから、嫌がることはしないよ。
きっとこのコを千秋ちゃんに置き換えて妄想してる。そうでしょ?
美濃がそう言うと、今度は羽鳥は黙ったままだ。
確かに羽鳥は千秋ちゃんが大事で、誰にも見せてくれないもんね。
木佐がと大げさに声を上げながら、美濃と顔を見合わせて笑った。
美濃の言うことは、見事に当たっていた。
千秋とは羽鳥の愛人で、律と同じ男だ。
羽鳥は律の愛らしい姿を見て、千秋に脳内変換していたのだった。
ねぇねぇ高野さん、今度このコ貸してよ!
木佐が律の横に立つと、律の耳に吐息を吹きかけながら言う。
待てないって。今からみんなで遊ぼうよ。
いつのまにか美濃は律の前にしゃがんでおり、むき出しの生足を眺めながらそう言った。
まだ調教の途中だからなぁ。
高野は2人の言い分を真に受けて、考えるような表情だ。
羽鳥は口を挟まずに、黙ってやり取りを聞いている。
まさか高野以外の人間にも嬲られるのかと、律はもう生きた心地がしない。
木佐に「まずは座ろうよ」と手を引かれ、律は促されるままにソファに腰掛けた。
高野が淹れたコーヒーに口をつけたが、味もよくわからなかった。
*****
律は目をあけると「あれ?」と小さく呟いた。
気付くと、律は1人でベットに横たわっていた。
締め切られて薄暗いこの部屋は、監禁されていた時に見慣れている。
つまり律は寝室のベットで眠っていたのだ。
寝た記憶がない律は、何が起きたのか思い出そうとする。
確か高野が仕事仲間だという男3人に律のことを「奴隷」だと紹介した。
ジロジロ見られて、触られて、その後コーヒーを飲んだ辺りから覚えていない。
そこで眠ってしまったのだろうか。
慌てて起き上がろうとした律だったが、身体を起こしきれないうちに勢いよくまた倒れた。
何かに腕を引かれたような感覚がしたが、すぐに違うとわかる。
律は後手で手錠をかけられた状態だったのだ。
服がそのままの状態だったから、まったく気がつかなかった。
起きたか?
不意に寝室のドアが開いて、高野が顔を覗かせた。
訳がわからない律に「じゃあギャラリー呼ぶから」と言って、唇を歪めて笑う。
その瞬間、律はベットの横に椅子が3つ置かれているのを見て、血の気が引いた。
まさか、あの3人の前で?
その前にプレゼントだ。楽しませろよ。
高野はすばやくベットに上がると、律に耳栓とアイマスクを装着した。
手の自由がきかない律は、高野にされるがままだった。
目と耳も塞がれて、ただ震えることしかできない。
*****
高野は律を押し倒すと、スカートと下着を取り去った。
白いブラウスをはだけさせ、大きく広げてしまう。
それだけでもう律は、ブラウスを引っかけているだけの裸だ。
律は恥ずかしがる暇もなく上半身を起こされ、背後から抱きしめられた。
身体を椅子があった方に向けられ、高野の腿に足を絡める形で大きく開かされる。
しばらくその状態で動かないのは「ギャラリー」に見せつけているのだろう。
あまりの恥ずかしさに身をよじろうとしたが、高野はガッチリと律を羽交い絞めにしている。
何も見えず聞こえないのに、視線と嘲笑が突き刺さるような気がする。
恥ずかしいのに、身体の芯が疼く。
まだ何もされていないのに、身体が火照り、下半身に熱が集まってくるのだ。
実は飲まされたコーヒーに睡眠薬と媚薬が入っていたのだが、律は知るよしもない。
このまま視線に犯されながら、めちゃめちゃにされたい衝動を持て余していた。
徐々に呼吸が荒くなり、声を漏らし始めると、高野は律の屹立をからかうようにつついた。
律は喘ぎながら、羽鳥という男のことを思い出す。
愛人の「千秋」を大事にしていて「千秋」を誰にも見せない。
だけど高野と律の関係は違う。
律の立場は「ただの奴隷」であり、こうやって玩具にして遊ぶ。
高野は元々女の子をとっかえひっかえしていると、美濃はそう言っていた。
ならば律のことも、飽きたらさっさと捨てるに違いない。
だってあくまでも律は奴隷に過ぎないのだから。
だけどそれを想像するだけで、こんなに悲しいのは何故だろう?
高野に放り出されれば自由になれるはずなのに、考えただけで胸が痛い。
もしかしたらこの男に恋をしているのだろうか?
そんな馬鹿なと思いながらも、律は迷い揺れる。
だがそんな律の葛藤などお構いなしに、高野は律を攻める。
高野の指や舌に嬲られて、律はさんざんに乱れて、喘いで、堕とされた。
そして気を失うまで翻弄され、目と耳と手を解放されたのは翌日だった。
だから律は知らなかった。
本当は羽鳥たちは、律がコーヒーを飲んで眠った直後に帰っていたことを。
高野はかわいい「奴隷」を自慢したいが、肌まで見せるつもりはなかった。
ただ律が見られていると思い込ませて、苦痛に歪む顔を楽しみたかったのだ。
つまり律が暴かれた姿を知っているのは、高野だけだ。
【続く】