アイシ×おお振り×セカコイ×黒バス【お題:クリフォト(邪悪の樹)10題】
【キムラヌートの王座】
「・・・たく、やってらんねーな」
蛭魔が悪態をつく。
すると阿部が「その通りだ」と同意し、高野は「やってらんねーよ」と繰り返した。
「助けて下さい」
瀬那からの連絡に、蛭魔はいそいそと駆け付けた。
リーダーとしてメンバーへの手前、あからさまに浮かれた様子は見せられない。
だが表情が緩むのは、仕方のないことだ。
木佐は取り戻したし、電話口の瀬那によると、千秋を保護したという。
最大の難題が解決した上に、好きな人から今すぐ来てほしいというのだから。
だが再会した瀬那の言葉は、何とも色気のないものだったのだ。
「これから氷室さんが灰崎を連行するので、護衛してください。」
瀬那はきっぱりと事務的にそう言い放った。
蛭魔としてはいささかどころか、かなり拍子抜けだ。
結局、灰崎の身柄については、殺害を目論む赤司たちから瀬那たちが奪い取ったのだから。
蛭魔たちは肝心なところで後手に回り、一番美味しいところを持って行かれた。
瀬那たちが蛭魔に頼んだのは、完全な後処理だ。
赤司たちは灰崎を消すことをまだ諦めておらず、この部屋を出るところを狙っている。
それから守って、灰崎を警察署まで送り届けろということだ。
「こっちだって、今さらあんたらに頼みたくなんかないよ。」
律がウンザリした声で追い打ちをかける。
確かによくよく見る限り、彼らも無事ではなかった。
瀬那も廉も殴られたようでかわいい顔を腫らしていたし、黒子は撃たれて肩を血で濡らしている。
この中で一番身体の大きい火神が、それを見てオロオロと青ざめているのが、どこか笑えた。
「黒子を医者に診せなきゃいけないし、いろいろ手が足りないんだ。」
「正式な依頼か?」
「依頼料なら、千秋ちゃんでいいだろう?」
律は蛭魔を挑発するように、そう告げた。
千秋の身柄と引き換えに「やれ」とは、何とも虫のいいことだ。
律たちは最初から灰崎を捕えることだけが目的で、千秋の保護はあくまで「ついで」のはずだ。
だが蛭魔は「わかった」と告げた。
かくして蛭魔は車を運転し、一番近い警察署に向かっている。
助手席には氷室、後部座席には灰崎、そして灰崎の両側を阿部と高野が固めていた。
赤司たちはまだ包囲を解いておらず、こちらに容赦なく殺気を向けているのがわかる。
だがこの手の駆け引きでは「デビルバッツ」が上だ。
いくら曲者でも相手は育ちのいい警察官、本気勝負なら負けるはずもない。
何しろ踏んでいる場数が違うのだ。
「まったくご苦労なことだな」
当の灰崎は呑気にそんなことをほざいて、欠伸をしている。
変わり身の早いこの男は、もうこの状況に慣れているようだ。
そして「しっかり警備しろよ」なんて、茶化してくるのだ。
「・・・たく、やってらんねーな」
蛭魔が悪態をつく。
すると阿部が「その通りだ」と同意し、高野は「やってらんねーよ」と繰り返した。
氷室が「すまないね」なんて言うけれど、それも何だか優雅で、謝罪感はゼロだ。
蛭魔は腹立ちまぎれに、少々乱暴にアクセルを踏み込んだ。
*****
「俺、実家に、帰る。」
全てが終わった後、廉は律と瀬那にそう告げた。
灰崎は逮捕され、警察に連行された。
そのことはマスコミでも大きく報道され、世間の反響も大きかった。
何しろいかに退職したとはいえ警察官、しかも警察に在籍していた頃にはその身分も利用している。
窃盗、薬物売買など余罪はたんまりと出てきた。
そしてそれに伴い、廉の父親が犯罪に関わっていないことも証明された。
決して失われた時間は戻ってこない。
冤罪により服役、そして世間の白い目、冷たい風。
父親は年齢以上に老け込んでしまったし、母親も気弱になった。
今さら無罪です、冤罪ですと言われても、何もなかったことにはならない。
「これで、全部」
廉は今まで集めたフレームを入れていた箱に、最後に盗んだフレームを加えた。
最後の絵は灰崎が所有していた「キムラヌートの王座」なる絵だ。
フレームを付け替える作業は、廉がした。
律と瀬那が「廉がやんなよ」と言ってくれたからだ。
これで犯罪に関わる忌まわしい絵から、父親の作品をすべて回収できたのだ。
「俺、実家に、帰る。」
全てが終わった後、廉は律と瀬那にそう告げた。
蛭魔たちがネットなどを駆使して、廉の父親の冤罪事件を騒ぎ立ててくれている。
無実の美術作家が、長い時間不当に拘束された。
この才能をこのまま埋もれさせていいのかと。
だが当の父はもうすっかり制作意欲を失っていた。
「しばらくは、親、孝行、する!」
廉がそう告げると、律も廉も「それがいいよ」と賛成してくれた。
そこでこうして荷物をまとめ、しばらく滞在した火神の部屋を出たのだが。
マンションのエントランスで、1人の男が廉を待ち受けていたのだった。
「実家に帰るんだって?」
待っていたのは阿部だった。
廉の顔を見るなり、ごく自然にこちらに歩み寄って来る。
今日この時間に帰ることを阿部には知らせていたわけではないが、多分律か瀬那が教えたのだろう。
廉は素直にそれを受け入れて「うん」と頷いた。
「ところでお前の実家、どこだよ。」
「ぐ、群馬」
「はぁ!?埼玉じゃねーのかよ?」
「それ、自宅。今、親、じぃちゃん、ちに、いるから!」
「何だよ、遠いじゃねーかよ」
阿部はブツブツと文句を言う。
廉の経歴を調べた阿部は、埼玉の高校で野球をしていたことを知っている。
だからまさか群馬とは思わなかったのだろう。
だけど埼玉より遠いから、何だというのだろう?
「毎日会いに行くつもりだったけど、群馬じゃ週2、3回くらいになっちまう!」
阿部の無念の叫びが、エントランスに響いた。
廉はその大きさに驚き「うぇぇ!」と声を上げる。
だがその後、阿部の言葉の意味を理解し、首を傾げた。
「毎日!?週、2、3、回!?」
「デートだ、デート。あとメールは毎日だからな!」
「・・・ど、して」
「うるさい!理由なんか今さら聞くな!」
つまり告白なんだろうか?
だけどこんな大きな声で怒鳴って命令する告白なんて、聞いたことない。
流行りの壁ドンしてくれなんて言うつもりもないが、もう少しムードがあってもいいと思うのに。
廉はため息をつきながら、阿部を見る。
紅潮した顔は何だか必死で、かわいらしくさえ見えた。
「とりあえず群馬だな。行くぞ!」
「え?」
「送っていきがてら、ドライブデートだから!!」
阿部は問答無用で、廉の手を引いて歩き出す。
廉は異議を唱えることもなく、それに従った。
何だか勢いで始まってしまったけど、これはこれで悪い気分じゃない。
*****
「いったい何でいるんですか!?」
驚き、叫んだ瀬那の声が裏返った。
「しばらく日本を離れるよ」
瀬那は、律と廉にそう告げていた。
まったく消息のわからなかった瀬那の両親の行方がわかったからだ。
灰崎が連行された後の部屋で家探しをしたのだ。
そしてパソコンをチェックして、彼らが失踪した理由がわかった。
知らないうちに薬物の売買に関わらされていた瀬那の父親がそれを知ったのは、海外でだ。
当時勤めていた商社の出張先であり、たまたま母親も同行していた。
瀬那の両親は、それ以上関わるのが嫌だったがどうしようもなかった。
その当時、灰崎は新米とはいえ警察官だったからだ。
警察に出頭しても、どうなるかわかったものじゃない。
だから逃げたのだ。
灰崎はメールで誰かに追跡を命令しており、時折タイにいたとか、フィリピンにいたなんて情報が入っている。
だけど何とか逃げおおせて、今も東南アジアのどこかにいるようだ。
きっと自分を守るために、逃げているに違いない。
瀬那はそう確信していた。
悪事に加担したくなくて、でも警察も信用できない。
そうこうしているうちに追手がかかり、だからせめて瀬那を巻き込まないようにしてくれたのだ。
灰崎逮捕のニュースを聞いたら、戻ってきてくれるのかもしれないと思った。
でもマスコミは連日騒いでいるのに、音沙汰はなかった。
だから瀬那は、ついに自力で捜索に出ることを決意したのだった。
「日本で何かあれば、すぐに連絡するから」
それを約束してくれたのは、律だった。
定期的に瀬那の自宅を様子をチェックして、情報を入れてくれるという。
その好意に甘えて、瀬那は単身、異国へ捜索の旅に出ることに決めたのだが。
「いったい何でいるんですか!?」
驚き、叫んだ瀬那の声が裏返った。
日本を発つ飛行機に乗り込んだ瀬那が案内されたのは、何とファーストクラスだったのだ。
何かの間違いでは口を開くより先に、隣のシートで寛いでいる人物を確認して仰天する。
尖った耳にピアス、金色の髪の秀麗な美人は、まごうことなき「デビルバッツ」のリーダーだ。
「何でって。ハネムーンだろ」
蛭魔は平然とそう言い放つと「ケケケ」と笑った。
ハネムーン?って新婚旅行のこと??
呆然とする瀬那に、蛭魔は「さっさと座れ」と命令する。
「座れって、僕、この席じゃないですよ。買ったチケットはエコノミーで」
「んなもん、俺が買い直した」
「何で?っていうかどうやって!?」
「ごちゃごちゃうるせぇ。とにかく座れって。」
未だに事態を飲み込めない瀬那は、ストンとその場に腰を下ろす。
すると蛭魔は横から手を伸ばして、さっさに瀬那のシートベルトをかけてしまった。
カチャリという音を聞いて、瀬那の顔から血の気が引く。
悪魔に捕まってしまったような気がして、ならないからだ。
その証拠に蛭魔はニンマリと邪悪な笑みを浮かべていた。
「お前の親の情報も集めておいた。最新の目撃情報は3週間前だ。」
「え?そんな最近?」
「ああ。到着したらまずその場所へ行こう。」
「はい!」
「その近くに有名な寺院がある。観光もしようぜ。」
「はい!」
勢いで答えてしまってから、瀬那は首を傾げた。
観光?いやそもそもさっきハネムーンって言ってたけど。
何だか違う。変な方向に進んでるような。
「ちなみに今夜は・・・だ。」
「今なんて言いました?」
「何でもねーよ。」
蛭魔がまた「ケケケ」と笑った。
このとき蛭魔は「今夜は新婚初夜だ」と言ったのだが、瀬那はそれを聞くことはなかった。
その代わりその夜、身を持って思い知ることになるのだ。
*****
「好きだからに決まってる。」
律の疑問をひったくるように、高野が答える。
真剣なそのまなざしに律の頬が染まった。
「瀬那も廉も行っちまったか。」
「寂しいですか?」
かつて自分が切り盛りしたカフェ「デビルバッツ」で、律は客としてコーヒーを飲んでいた。
律の独り言に答えてくれたのは、黒子だった。
三姉妹がいなくなってしまったカフェは、閉店とはならなかった。
この黒子が引き継いで切り盛りしており、それなりに繁盛を続けている。
灰崎が逮捕された直後、マスコミ報道は過熱した。
元警察官の犯罪、その罪状の多さと非道さ。
そしてしばらく収まっていたのだが、今度は裁判が始まって、また騒がしくなっている。
怪盗アイシールドの件が、このことと関連付けられることはなかった。
黒子は「灰崎君が必要以上のことをいわなかったんでしょう」と言った。
だけど律は違うと思っている。
この件に黒子と火神という元警察官が絡んでいたからだ。
それに最後の絵に関しては、現役刑事の氷室まで関わっている。
だからきっともみ消されたのだろう。
「律さんはこれからどうするんですか?」
黒子が空になった律のカップにコーヒーを注ぎ足してくれながら、聞いてくる。
今回の騒動の律の目的は、灰崎が律の実家である「組」の仕業と見せかけた犯罪を暴くことだ。
筋を通すのが信条とされる組の名を汚す冤罪を晴らした。
それはニュースなどで報道されることはないが、裏の世界では必要なことだ。
大義とか面子とか、灰崎などからすればどうでもいいことを守ったのだ。
それを果たした今、律はそう遠からず実家に戻り「組」を継がなければならないだろう。
「冤罪を晴らしたんだから、堂々と凱旋だろ?」
律が答える前に口を挟んだのは、高野だった。
最近の高野はすごく忙しい。
何しろリーダーである蛭魔は瀬那と共に、瀬那の両親捜しの旅に出てしまった。
阿部は連日、群馬の廉の実家に通い詰めている。
仕事を受けて、割り振りやフォローをするのは高野の仕事になっていたのだ。
「まぁ組を継がなきゃいけないんだろうけどさ。」
律はそう答えてから、拗ねたような口調になっていることに少し焦った。
おそらく「組」に戻れば、もう自由がない日々だ。
どこへ行くにも「組」の人間に付き添われ、プライバシーもないだろう。
そのうちに縁談でも持ち込まれて、顔もよく知らない人間と結婚する。
今まではそういう自分の未来を、あまり悲観したことはなかった。
だけど今はすごく嫌だと思う。
多分怪盗アイシールドがすごく楽しかったせいだ。
瀬那、廉、そして「デビルバッツ」の面々との自由な日々は、夢のようだった。
だから窮屈な自分の人生に戻るのが嫌なのだ。
「お前んトコの組って、会社組織にしようとか思わねーの?」
「っていうか、一応表向きには会社だよ」
「そうなのか?」
「時代ってやつらしいよ。今時任侠じゃメシは食えないってさ」
律は高野の質問に特に考えることなく、答えた。
昔からのいわゆるヤクザは、現代ではなかなか生き残れない。
シノギを多く得るために会社方式にシフトするなど、どこでもやっていることだ。
「じゃあ、俺、フロント企業でも立ち上がるかな。」
「はぁぁ!?」
「お前の組の稼ぎ頭になってやるよ。」
「何で!?」
「そうすればずっとそばにいられるだろ。」
高野はシレッとそう言い放った。
律はただもう唖然とするしかない。
ヤクザがシノギのために、会社を立ち上げるのは珍しくもない。
だがカタギがわざわざフロント企業を作るなんて、聞いたことがない。
「なんでそんなこと」
「好きだからに決まってる。」
律の疑問をひったくるように、高野が答える。
真剣なそのまなざしに律の頬が染まった。
だが甘いムードを破ったのは、無機質な青年の声だった。
「すみません。ここは店先です。ラブシーンなら他所でお願いします。」
口調こそ丁寧だが、有無を言わさぬ迫力だ。
高野は律の手を引くと、事務所へ上がる階段へと向かう。
黒子が「お代を」と告げる言葉に、高野は「付けとけ!」とかぶせ気味に叫んだ。
*****
「ランチ5、追加です。」
黒子が無機質な声で、そう告げる。
火神が「おう」と答えて振り返ると、客席には見覚えのある5人が座っていた。
三姉妹が去った後のカフェ「デビルバッツ」は、すっかり様相を変えていた。
女っ気はまったくなくなり、接客するのは全て男だ。
主に切り盛りすることになったのは黒子で「らーぜ」や「エメラルド」の面々が手伝う。
そして調理担当は何と火神だった。
1人暮らしが長く、自炊派の火神は、思いのほか料理が上手かったのだ。
「黒子は、料理はできねーの?」
火神は自分1人で厨房をやるのが嫌で、黒子を巻き込むべくそう聞いた。
だが黒子が「ゆで卵なら負けません」と答えたので、諦めた。
かくして美人三姉妹の魅力で売っていたカフェは、味で勝負する店に変わったのだ。
「ところで黒子、もう傷はいいのかよ?」
火神は折あるごとにそれを聞いた。
黒子は毎回「もう完治してますよ」と答えるのだが、心配だ。
何しろかなり出血していたのだから。
当の黒子より火神の方が眩暈を起こしかけて、律たちには大いに笑われることになった。
「本当に大丈夫ですから」
黒子はそう言って、今日もカフェで動き回っている。
火神は厨房でオーダーをこなしながら、その姿を目で追っている。
かつての女装姿を覚えている客が「テツナちゃん」なんて呼ぶのを聞くと、腹立たしい。
この気持ちは何なんだ。おかしいぞ。
火神はそう思い始めているけれど、まだよくわからない気持ちの方が強かった。
「ランチ5、追加です。」
黒子が無機質な声で、そう告げる。
火神が「おう」と答えて振り返ると、客席には見覚えのある5人が座っていた。
赤司、緑間、紫原、黄瀬、青峰。
彼らと遭遇するのは、あの灰崎逮捕の夜以来だ。
火神は厨房を出て行こうとするが、黒子の「仕事中ですよ」という声で思いとどまった。
「ケガはもういいの~?」
軽い口調でそう聞いたのは、紫原だ。
火神は心の中で「撃ったのはテメーらだろう」と叫びながら、フライパンを振った。
せめてもの意趣返しに、わざとガコガコと音を立ててみる。
「本当にすまなかった」
頭を下げたのは緑間だ。
確かこの面子で、遠距離狙撃が一番得意なのは緑間だと聞いた。
つまり怪我をさせた張本人なのだろう。
黒子は落ち着いた声で「もう大丈夫ですよ」と答えた。
「黒子っち、戻ってこないっすか」
「そうだぜ、テツ」
黄瀬と青峰がそう言って、赤司が「お前がその気なら口添えするぞ」と付け加える。
だがその瞬間、火神が「ランチ、お待ち!」と言いながら、テーブルに料理を置いた。
そして一人前ずつ、少々乱暴に音を立てながら、運んでいく。
「火神君、お客様ですよ。もっと丁寧に置いて下さい」
「へぃへぃ」
黒子のもっともな言葉に、火神は少々ふて腐れ気味に答えた。
本当に面白くない。
今さらのように彼らが黒子をチヤホヤするのが気に入らない。
「火神っちも戦いに加わったってことでいいっすか?」
火神の様子をじっと見ていた黄瀬が、悪戯っぽい口調でそう告げる。
思わず「はぁ?何だ、それ!?」と言い返すと、黒子が「火神君!」とたしなめる。
すると今度は青峰が「テツの争奪戦だ」と答えた。
何を冗談を。
火神はそう言いかけたが、5人の目が本気であることを見て取った。
冗談めかしているが、全員が黒子を狙っているのだ。
火神は迷うことなく「俺が勝つ!」と叫んだ。
黒子が呆れたように「何を言ってるんです」と文句を言うが、それはみんなスルーだ。
よくわからないけど、とにかく黒子は渡せない。
この気持ちの正体を火神が知るのは、もう少し先のことだ。
【終】お付き合いいただき、ありがとうございました。
「・・・たく、やってらんねーな」
蛭魔が悪態をつく。
すると阿部が「その通りだ」と同意し、高野は「やってらんねーよ」と繰り返した。
「助けて下さい」
瀬那からの連絡に、蛭魔はいそいそと駆け付けた。
リーダーとしてメンバーへの手前、あからさまに浮かれた様子は見せられない。
だが表情が緩むのは、仕方のないことだ。
木佐は取り戻したし、電話口の瀬那によると、千秋を保護したという。
最大の難題が解決した上に、好きな人から今すぐ来てほしいというのだから。
だが再会した瀬那の言葉は、何とも色気のないものだったのだ。
「これから氷室さんが灰崎を連行するので、護衛してください。」
瀬那はきっぱりと事務的にそう言い放った。
蛭魔としてはいささかどころか、かなり拍子抜けだ。
結局、灰崎の身柄については、殺害を目論む赤司たちから瀬那たちが奪い取ったのだから。
蛭魔たちは肝心なところで後手に回り、一番美味しいところを持って行かれた。
瀬那たちが蛭魔に頼んだのは、完全な後処理だ。
赤司たちは灰崎を消すことをまだ諦めておらず、この部屋を出るところを狙っている。
それから守って、灰崎を警察署まで送り届けろということだ。
「こっちだって、今さらあんたらに頼みたくなんかないよ。」
律がウンザリした声で追い打ちをかける。
確かによくよく見る限り、彼らも無事ではなかった。
瀬那も廉も殴られたようでかわいい顔を腫らしていたし、黒子は撃たれて肩を血で濡らしている。
この中で一番身体の大きい火神が、それを見てオロオロと青ざめているのが、どこか笑えた。
「黒子を医者に診せなきゃいけないし、いろいろ手が足りないんだ。」
「正式な依頼か?」
「依頼料なら、千秋ちゃんでいいだろう?」
律は蛭魔を挑発するように、そう告げた。
千秋の身柄と引き換えに「やれ」とは、何とも虫のいいことだ。
律たちは最初から灰崎を捕えることだけが目的で、千秋の保護はあくまで「ついで」のはずだ。
だが蛭魔は「わかった」と告げた。
かくして蛭魔は車を運転し、一番近い警察署に向かっている。
助手席には氷室、後部座席には灰崎、そして灰崎の両側を阿部と高野が固めていた。
赤司たちはまだ包囲を解いておらず、こちらに容赦なく殺気を向けているのがわかる。
だがこの手の駆け引きでは「デビルバッツ」が上だ。
いくら曲者でも相手は育ちのいい警察官、本気勝負なら負けるはずもない。
何しろ踏んでいる場数が違うのだ。
「まったくご苦労なことだな」
当の灰崎は呑気にそんなことをほざいて、欠伸をしている。
変わり身の早いこの男は、もうこの状況に慣れているようだ。
そして「しっかり警備しろよ」なんて、茶化してくるのだ。
「・・・たく、やってらんねーな」
蛭魔が悪態をつく。
すると阿部が「その通りだ」と同意し、高野は「やってらんねーよ」と繰り返した。
氷室が「すまないね」なんて言うけれど、それも何だか優雅で、謝罪感はゼロだ。
蛭魔は腹立ちまぎれに、少々乱暴にアクセルを踏み込んだ。
*****
「俺、実家に、帰る。」
全てが終わった後、廉は律と瀬那にそう告げた。
灰崎は逮捕され、警察に連行された。
そのことはマスコミでも大きく報道され、世間の反響も大きかった。
何しろいかに退職したとはいえ警察官、しかも警察に在籍していた頃にはその身分も利用している。
窃盗、薬物売買など余罪はたんまりと出てきた。
そしてそれに伴い、廉の父親が犯罪に関わっていないことも証明された。
決して失われた時間は戻ってこない。
冤罪により服役、そして世間の白い目、冷たい風。
父親は年齢以上に老け込んでしまったし、母親も気弱になった。
今さら無罪です、冤罪ですと言われても、何もなかったことにはならない。
「これで、全部」
廉は今まで集めたフレームを入れていた箱に、最後に盗んだフレームを加えた。
最後の絵は灰崎が所有していた「キムラヌートの王座」なる絵だ。
フレームを付け替える作業は、廉がした。
律と瀬那が「廉がやんなよ」と言ってくれたからだ。
これで犯罪に関わる忌まわしい絵から、父親の作品をすべて回収できたのだ。
「俺、実家に、帰る。」
全てが終わった後、廉は律と瀬那にそう告げた。
蛭魔たちがネットなどを駆使して、廉の父親の冤罪事件を騒ぎ立ててくれている。
無実の美術作家が、長い時間不当に拘束された。
この才能をこのまま埋もれさせていいのかと。
だが当の父はもうすっかり制作意欲を失っていた。
「しばらくは、親、孝行、する!」
廉がそう告げると、律も廉も「それがいいよ」と賛成してくれた。
そこでこうして荷物をまとめ、しばらく滞在した火神の部屋を出たのだが。
マンションのエントランスで、1人の男が廉を待ち受けていたのだった。
「実家に帰るんだって?」
待っていたのは阿部だった。
廉の顔を見るなり、ごく自然にこちらに歩み寄って来る。
今日この時間に帰ることを阿部には知らせていたわけではないが、多分律か瀬那が教えたのだろう。
廉は素直にそれを受け入れて「うん」と頷いた。
「ところでお前の実家、どこだよ。」
「ぐ、群馬」
「はぁ!?埼玉じゃねーのかよ?」
「それ、自宅。今、親、じぃちゃん、ちに、いるから!」
「何だよ、遠いじゃねーかよ」
阿部はブツブツと文句を言う。
廉の経歴を調べた阿部は、埼玉の高校で野球をしていたことを知っている。
だからまさか群馬とは思わなかったのだろう。
だけど埼玉より遠いから、何だというのだろう?
「毎日会いに行くつもりだったけど、群馬じゃ週2、3回くらいになっちまう!」
阿部の無念の叫びが、エントランスに響いた。
廉はその大きさに驚き「うぇぇ!」と声を上げる。
だがその後、阿部の言葉の意味を理解し、首を傾げた。
「毎日!?週、2、3、回!?」
「デートだ、デート。あとメールは毎日だからな!」
「・・・ど、して」
「うるさい!理由なんか今さら聞くな!」
つまり告白なんだろうか?
だけどこんな大きな声で怒鳴って命令する告白なんて、聞いたことない。
流行りの壁ドンしてくれなんて言うつもりもないが、もう少しムードがあってもいいと思うのに。
廉はため息をつきながら、阿部を見る。
紅潮した顔は何だか必死で、かわいらしくさえ見えた。
「とりあえず群馬だな。行くぞ!」
「え?」
「送っていきがてら、ドライブデートだから!!」
阿部は問答無用で、廉の手を引いて歩き出す。
廉は異議を唱えることもなく、それに従った。
何だか勢いで始まってしまったけど、これはこれで悪い気分じゃない。
*****
「いったい何でいるんですか!?」
驚き、叫んだ瀬那の声が裏返った。
「しばらく日本を離れるよ」
瀬那は、律と廉にそう告げていた。
まったく消息のわからなかった瀬那の両親の行方がわかったからだ。
灰崎が連行された後の部屋で家探しをしたのだ。
そしてパソコンをチェックして、彼らが失踪した理由がわかった。
知らないうちに薬物の売買に関わらされていた瀬那の父親がそれを知ったのは、海外でだ。
当時勤めていた商社の出張先であり、たまたま母親も同行していた。
瀬那の両親は、それ以上関わるのが嫌だったがどうしようもなかった。
その当時、灰崎は新米とはいえ警察官だったからだ。
警察に出頭しても、どうなるかわかったものじゃない。
だから逃げたのだ。
灰崎はメールで誰かに追跡を命令しており、時折タイにいたとか、フィリピンにいたなんて情報が入っている。
だけど何とか逃げおおせて、今も東南アジアのどこかにいるようだ。
きっと自分を守るために、逃げているに違いない。
瀬那はそう確信していた。
悪事に加担したくなくて、でも警察も信用できない。
そうこうしているうちに追手がかかり、だからせめて瀬那を巻き込まないようにしてくれたのだ。
灰崎逮捕のニュースを聞いたら、戻ってきてくれるのかもしれないと思った。
でもマスコミは連日騒いでいるのに、音沙汰はなかった。
だから瀬那は、ついに自力で捜索に出ることを決意したのだった。
「日本で何かあれば、すぐに連絡するから」
それを約束してくれたのは、律だった。
定期的に瀬那の自宅を様子をチェックして、情報を入れてくれるという。
その好意に甘えて、瀬那は単身、異国へ捜索の旅に出ることに決めたのだが。
「いったい何でいるんですか!?」
驚き、叫んだ瀬那の声が裏返った。
日本を発つ飛行機に乗り込んだ瀬那が案内されたのは、何とファーストクラスだったのだ。
何かの間違いでは口を開くより先に、隣のシートで寛いでいる人物を確認して仰天する。
尖った耳にピアス、金色の髪の秀麗な美人は、まごうことなき「デビルバッツ」のリーダーだ。
「何でって。ハネムーンだろ」
蛭魔は平然とそう言い放つと「ケケケ」と笑った。
ハネムーン?って新婚旅行のこと??
呆然とする瀬那に、蛭魔は「さっさと座れ」と命令する。
「座れって、僕、この席じゃないですよ。買ったチケットはエコノミーで」
「んなもん、俺が買い直した」
「何で?っていうかどうやって!?」
「ごちゃごちゃうるせぇ。とにかく座れって。」
未だに事態を飲み込めない瀬那は、ストンとその場に腰を下ろす。
すると蛭魔は横から手を伸ばして、さっさに瀬那のシートベルトをかけてしまった。
カチャリという音を聞いて、瀬那の顔から血の気が引く。
悪魔に捕まってしまったような気がして、ならないからだ。
その証拠に蛭魔はニンマリと邪悪な笑みを浮かべていた。
「お前の親の情報も集めておいた。最新の目撃情報は3週間前だ。」
「え?そんな最近?」
「ああ。到着したらまずその場所へ行こう。」
「はい!」
「その近くに有名な寺院がある。観光もしようぜ。」
「はい!」
勢いで答えてしまってから、瀬那は首を傾げた。
観光?いやそもそもさっきハネムーンって言ってたけど。
何だか違う。変な方向に進んでるような。
「ちなみに今夜は・・・だ。」
「今なんて言いました?」
「何でもねーよ。」
蛭魔がまた「ケケケ」と笑った。
このとき蛭魔は「今夜は新婚初夜だ」と言ったのだが、瀬那はそれを聞くことはなかった。
その代わりその夜、身を持って思い知ることになるのだ。
*****
「好きだからに決まってる。」
律の疑問をひったくるように、高野が答える。
真剣なそのまなざしに律の頬が染まった。
「瀬那も廉も行っちまったか。」
「寂しいですか?」
かつて自分が切り盛りしたカフェ「デビルバッツ」で、律は客としてコーヒーを飲んでいた。
律の独り言に答えてくれたのは、黒子だった。
三姉妹がいなくなってしまったカフェは、閉店とはならなかった。
この黒子が引き継いで切り盛りしており、それなりに繁盛を続けている。
灰崎が逮捕された直後、マスコミ報道は過熱した。
元警察官の犯罪、その罪状の多さと非道さ。
そしてしばらく収まっていたのだが、今度は裁判が始まって、また騒がしくなっている。
怪盗アイシールドの件が、このことと関連付けられることはなかった。
黒子は「灰崎君が必要以上のことをいわなかったんでしょう」と言った。
だけど律は違うと思っている。
この件に黒子と火神という元警察官が絡んでいたからだ。
それに最後の絵に関しては、現役刑事の氷室まで関わっている。
だからきっともみ消されたのだろう。
「律さんはこれからどうするんですか?」
黒子が空になった律のカップにコーヒーを注ぎ足してくれながら、聞いてくる。
今回の騒動の律の目的は、灰崎が律の実家である「組」の仕業と見せかけた犯罪を暴くことだ。
筋を通すのが信条とされる組の名を汚す冤罪を晴らした。
それはニュースなどで報道されることはないが、裏の世界では必要なことだ。
大義とか面子とか、灰崎などからすればどうでもいいことを守ったのだ。
それを果たした今、律はそう遠からず実家に戻り「組」を継がなければならないだろう。
「冤罪を晴らしたんだから、堂々と凱旋だろ?」
律が答える前に口を挟んだのは、高野だった。
最近の高野はすごく忙しい。
何しろリーダーである蛭魔は瀬那と共に、瀬那の両親捜しの旅に出てしまった。
阿部は連日、群馬の廉の実家に通い詰めている。
仕事を受けて、割り振りやフォローをするのは高野の仕事になっていたのだ。
「まぁ組を継がなきゃいけないんだろうけどさ。」
律はそう答えてから、拗ねたような口調になっていることに少し焦った。
おそらく「組」に戻れば、もう自由がない日々だ。
どこへ行くにも「組」の人間に付き添われ、プライバシーもないだろう。
そのうちに縁談でも持ち込まれて、顔もよく知らない人間と結婚する。
今まではそういう自分の未来を、あまり悲観したことはなかった。
だけど今はすごく嫌だと思う。
多分怪盗アイシールドがすごく楽しかったせいだ。
瀬那、廉、そして「デビルバッツ」の面々との自由な日々は、夢のようだった。
だから窮屈な自分の人生に戻るのが嫌なのだ。
「お前んトコの組って、会社組織にしようとか思わねーの?」
「っていうか、一応表向きには会社だよ」
「そうなのか?」
「時代ってやつらしいよ。今時任侠じゃメシは食えないってさ」
律は高野の質問に特に考えることなく、答えた。
昔からのいわゆるヤクザは、現代ではなかなか生き残れない。
シノギを多く得るために会社方式にシフトするなど、どこでもやっていることだ。
「じゃあ、俺、フロント企業でも立ち上がるかな。」
「はぁぁ!?」
「お前の組の稼ぎ頭になってやるよ。」
「何で!?」
「そうすればずっとそばにいられるだろ。」
高野はシレッとそう言い放った。
律はただもう唖然とするしかない。
ヤクザがシノギのために、会社を立ち上げるのは珍しくもない。
だがカタギがわざわざフロント企業を作るなんて、聞いたことがない。
「なんでそんなこと」
「好きだからに決まってる。」
律の疑問をひったくるように、高野が答える。
真剣なそのまなざしに律の頬が染まった。
だが甘いムードを破ったのは、無機質な青年の声だった。
「すみません。ここは店先です。ラブシーンなら他所でお願いします。」
口調こそ丁寧だが、有無を言わさぬ迫力だ。
高野は律の手を引くと、事務所へ上がる階段へと向かう。
黒子が「お代を」と告げる言葉に、高野は「付けとけ!」とかぶせ気味に叫んだ。
*****
「ランチ5、追加です。」
黒子が無機質な声で、そう告げる。
火神が「おう」と答えて振り返ると、客席には見覚えのある5人が座っていた。
三姉妹が去った後のカフェ「デビルバッツ」は、すっかり様相を変えていた。
女っ気はまったくなくなり、接客するのは全て男だ。
主に切り盛りすることになったのは黒子で「らーぜ」や「エメラルド」の面々が手伝う。
そして調理担当は何と火神だった。
1人暮らしが長く、自炊派の火神は、思いのほか料理が上手かったのだ。
「黒子は、料理はできねーの?」
火神は自分1人で厨房をやるのが嫌で、黒子を巻き込むべくそう聞いた。
だが黒子が「ゆで卵なら負けません」と答えたので、諦めた。
かくして美人三姉妹の魅力で売っていたカフェは、味で勝負する店に変わったのだ。
「ところで黒子、もう傷はいいのかよ?」
火神は折あるごとにそれを聞いた。
黒子は毎回「もう完治してますよ」と答えるのだが、心配だ。
何しろかなり出血していたのだから。
当の黒子より火神の方が眩暈を起こしかけて、律たちには大いに笑われることになった。
「本当に大丈夫ですから」
黒子はそう言って、今日もカフェで動き回っている。
火神は厨房でオーダーをこなしながら、その姿を目で追っている。
かつての女装姿を覚えている客が「テツナちゃん」なんて呼ぶのを聞くと、腹立たしい。
この気持ちは何なんだ。おかしいぞ。
火神はそう思い始めているけれど、まだよくわからない気持ちの方が強かった。
「ランチ5、追加です。」
黒子が無機質な声で、そう告げる。
火神が「おう」と答えて振り返ると、客席には見覚えのある5人が座っていた。
赤司、緑間、紫原、黄瀬、青峰。
彼らと遭遇するのは、あの灰崎逮捕の夜以来だ。
火神は厨房を出て行こうとするが、黒子の「仕事中ですよ」という声で思いとどまった。
「ケガはもういいの~?」
軽い口調でそう聞いたのは、紫原だ。
火神は心の中で「撃ったのはテメーらだろう」と叫びながら、フライパンを振った。
せめてもの意趣返しに、わざとガコガコと音を立ててみる。
「本当にすまなかった」
頭を下げたのは緑間だ。
確かこの面子で、遠距離狙撃が一番得意なのは緑間だと聞いた。
つまり怪我をさせた張本人なのだろう。
黒子は落ち着いた声で「もう大丈夫ですよ」と答えた。
「黒子っち、戻ってこないっすか」
「そうだぜ、テツ」
黄瀬と青峰がそう言って、赤司が「お前がその気なら口添えするぞ」と付け加える。
だがその瞬間、火神が「ランチ、お待ち!」と言いながら、テーブルに料理を置いた。
そして一人前ずつ、少々乱暴に音を立てながら、運んでいく。
「火神君、お客様ですよ。もっと丁寧に置いて下さい」
「へぃへぃ」
黒子のもっともな言葉に、火神は少々ふて腐れ気味に答えた。
本当に面白くない。
今さらのように彼らが黒子をチヤホヤするのが気に入らない。
「火神っちも戦いに加わったってことでいいっすか?」
火神の様子をじっと見ていた黄瀬が、悪戯っぽい口調でそう告げる。
思わず「はぁ?何だ、それ!?」と言い返すと、黒子が「火神君!」とたしなめる。
すると今度は青峰が「テツの争奪戦だ」と答えた。
何を冗談を。
火神はそう言いかけたが、5人の目が本気であることを見て取った。
冗談めかしているが、全員が黒子を狙っているのだ。
火神は迷うことなく「俺が勝つ!」と叫んだ。
黒子が呆れたように「何を言ってるんです」と文句を言うが、それはみんなスルーだ。
よくわからないけど、とにかく黒子は渡せない。
この気持ちの正体を火神が知るのは、もう少し先のことだ。
【終】お付き合いいただき、ありがとうございました。
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