勝負はまだ始まったばかり
鈴音がセナを抱き締めて、何かを言っている。
十文字は一瞬、心の底から凍りついていくような危機感を感じて立ち尽くした。
東京都大会の3位決定戦は、関東大会の最後の切符をかけたもの。
絶対に負けられない試合だった。
最後の最後、フィールドを光速で走り抜いたセナの鮮やかな逆転のTD。
試合後のロッカールームは大いに沸き、ついにはヒル魔が樽で酒をブチまけている。
十文字は辺りを見回して「あれ?」と思う。
勝利の立役者であるアイシールド21ことセナの姿が見えないからだ。
十文字はセナを捜して、ロッカールームから通路へ出た。
そしてその光景を見て、足を止めた。
通路では、セナと鈴音が抱き合っていたからだ。
セナが鈴音に抱きついているのを、鈴音が受け止めているように見える。
まるで想いが通じ合った恋人同士のような様子に、言葉もない。
「ねぇ悪いけど、手伝って。セナ、気を失っちゃってるの。私じゃ運べなくて」
こちらに背を向けている鈴音が十文字に言った。
十文字が2人に近づくと、状況がわかった。
ロッカールームに行く前に、セナは力尽きてしまったのだ。
居合わせた鈴音はとっさにささえたものの、自力では動くこともセナを運ぶこともできない。
だから誰かが来るのを待っていたのだ。
セナの背後に回った十文字を見て、鈴音が微かに息を飲んだ。
初めて声をかけた相手が十文字だとわかったようだった。
十文字は一瞬、心の底から凍りついていくような危機感を感じて立ち尽くした。
東京都大会の3位決定戦は、関東大会の最後の切符をかけたもの。
絶対に負けられない試合だった。
最後の最後、フィールドを光速で走り抜いたセナの鮮やかな逆転のTD。
試合後のロッカールームは大いに沸き、ついにはヒル魔が樽で酒をブチまけている。
十文字は辺りを見回して「あれ?」と思う。
勝利の立役者であるアイシールド21ことセナの姿が見えないからだ。
十文字はセナを捜して、ロッカールームから通路へ出た。
そしてその光景を見て、足を止めた。
通路では、セナと鈴音が抱き合っていたからだ。
セナが鈴音に抱きついているのを、鈴音が受け止めているように見える。
まるで想いが通じ合った恋人同士のような様子に、言葉もない。
「ねぇ悪いけど、手伝って。セナ、気を失っちゃってるの。私じゃ運べなくて」
こちらに背を向けている鈴音が十文字に言った。
十文字が2人に近づくと、状況がわかった。
ロッカールームに行く前に、セナは力尽きてしまったのだ。
居合わせた鈴音はとっさにささえたものの、自力では動くこともセナを運ぶこともできない。
だから誰かが来るのを待っていたのだ。
セナの背後に回った十文字を見て、鈴音が微かに息を飲んだ。
初めて声をかけた相手が十文字だとわかったようだった。
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