プレイコード
「流石だなぁ」
セナはフィールドに立つヒル魔を見ながら、感嘆する。
ドヤ顔のヒル魔がドキッとするほど男前なのが、悔しかった。
ヒル魔が練習生として、正式にチームと契約した。
そして早々に練習に参加している。
セナはそんなヒル魔を横目に見ながら、普段通りの表情。
だが内心は結構動揺していた。
なぜなら今までと違いすぎるのだ。
ヒル魔はトレードマークの逆立てた金髪から、シンプルな黒の短髪に変えた。
華麗なイメージチェンジを果たした恋人が真剣な表情で練習に挑む。
人知れずその姿に萌えまくっていたのである。
そのヒル魔はというと、アメリカの洗礼を受けていた。
それはセナも通った道、いわゆる「人種の壁」だ。
やはり体格と身体能力では、日本人は弱い。
だから基礎トレーニングではどうしても劣り、おいていかれる。
そうなれば他の一部の選手たちの目にも嘲りが交じる。
日本人-人種差別的なところもということもあるのだろう。
でもそれは1年前、セナも体験したことだった。
だから心配はしない。
セナがスルーできたことなんだから、ヒル魔だってできる。
実際ヒル魔は涼しい顔、なんなら楽しんですらいる雰囲気だ。
セナとしてはそんなヒル魔に萌えを募らせている状況だった。
基礎トレーニングで身体を温めたところで、次の練習に移った。
オフェンスは簡単な実戦形式の連携を行なう。
クォータバックとランニングバック、レシーバーとタイトエンドが位置につく。
そして指示されたプレイコードの通りに動く練習だ。
最初のクォーターバックはヒル魔、他は今年から加入した練習生たち。
セナはストレッチをしながら、その内容を見ていた。
これ、地味にむずかしいんだよね。
セナはフィールドに立つ練習生たちを見ながら、思った。
まず大変なのは、プレイコードを全部覚えていること。
攻撃パターンには全て数字が振られており、その数字で即座に動かなくてはならない。
学校の成績があまりよくなかったセナは、これにかなり苦労した。
コード、つまり暗号なのだから敵にバレないようになっている。
つまりチームによって、数字が違うのだ。
次にむずかしいのは、毎回変わるメンバーだ。
それぞれの選手には少しずつクセがある。
だから組まれるメンバーによって、少しずつパスやランのタイミングや強さが変わるのだ。
特にスピードを生命線とするセナにとって、その少しの影響が大きい。
やがてプレイが始まった。
スナップされたボールがヒル魔に渡り、そしてランニングバックへハンドトス。
そしてランニングバックが走り出す。
この練習はあくまで基礎練習の範疇だし、連携の確認がメインなので妨害するラインはいない。
10ヤード進んだところ、つまりファーストダウンテンでリセットされる。
同じメンバーで何回かプレイしたところで、メンバーが変わるのだ。
「流石だなぁ」
セナはフィールドに立つヒル魔を見ながら、感嘆する。
ヒル魔はランニングバックが変わるたび、微妙にハンドトスを変えていた。
角度や強さ、そしてタイミング、実に何分の1秒の世界。
具体的にどこをどうというのは、わからない。
だけど明らかにランニングバックに合わせて変えているのがわかる。
そしてレシーバーへのパスも同様だった。
角度や高さ、スピードや回転を制御している。
レシーバーの特性に合わせて、取りやすいパスを投げていたのだ。
ふとフィールドのヒル魔と目が合った。
ヘルメットの中で、切れ長の瞳がセナを見る。
そのドヤ顔がドキッとするほど男前なのが、何だか悔しい。
セナは他の観戦している選手たちの様子をそれとなく見た。
パンサーたち上位選手はやはり理解していて、ヒル魔に拍手を送っている。
だけど練習生たちの反応はまちまちだ。
気付いて驚愕の表情になっている者は良い。
だけどその意味も分からず、相変わらず妙なマウントを取る者もいた。
大したことない。
やっぱり日本人なんてダメだ。
それをわざわざ口に出し、聞こえるように嘯く者たち。
だけどセナは特に何も反応しなかった。
最後に笑うのは、結果を出した者。
だが今、ヒル魔のプレイの本質がわからない者が結果を出せるとは思えない。
「次、ランニングバックはセナ!」
コーチから声がかかり、セナは「よし!」と気合を入れた。
フィールドから出てくるヒル魔が、またこちらを見ている。
お手並み拝見と言わんばかりの表情に、セナのテンションも上がった。
とはいえ、やることは決まっている。
位置についたセナは、静かに集中を高めていた。
テンションが上がっても、無駄に気負わない。
ただ集中して、全力でプレイするだけだ。
セナはフィールドに立つヒル魔を見ながら、感嘆する。
ドヤ顔のヒル魔がドキッとするほど男前なのが、悔しかった。
ヒル魔が練習生として、正式にチームと契約した。
そして早々に練習に参加している。
セナはそんなヒル魔を横目に見ながら、普段通りの表情。
だが内心は結構動揺していた。
なぜなら今までと違いすぎるのだ。
ヒル魔はトレードマークの逆立てた金髪から、シンプルな黒の短髪に変えた。
華麗なイメージチェンジを果たした恋人が真剣な表情で練習に挑む。
人知れずその姿に萌えまくっていたのである。
そのヒル魔はというと、アメリカの洗礼を受けていた。
それはセナも通った道、いわゆる「人種の壁」だ。
やはり体格と身体能力では、日本人は弱い。
だから基礎トレーニングではどうしても劣り、おいていかれる。
そうなれば他の一部の選手たちの目にも嘲りが交じる。
日本人-人種差別的なところもということもあるのだろう。
でもそれは1年前、セナも体験したことだった。
だから心配はしない。
セナがスルーできたことなんだから、ヒル魔だってできる。
実際ヒル魔は涼しい顔、なんなら楽しんですらいる雰囲気だ。
セナとしてはそんなヒル魔に萌えを募らせている状況だった。
基礎トレーニングで身体を温めたところで、次の練習に移った。
オフェンスは簡単な実戦形式の連携を行なう。
クォータバックとランニングバック、レシーバーとタイトエンドが位置につく。
そして指示されたプレイコードの通りに動く練習だ。
最初のクォーターバックはヒル魔、他は今年から加入した練習生たち。
セナはストレッチをしながら、その内容を見ていた。
これ、地味にむずかしいんだよね。
セナはフィールドに立つ練習生たちを見ながら、思った。
まず大変なのは、プレイコードを全部覚えていること。
攻撃パターンには全て数字が振られており、その数字で即座に動かなくてはならない。
学校の成績があまりよくなかったセナは、これにかなり苦労した。
コード、つまり暗号なのだから敵にバレないようになっている。
つまりチームによって、数字が違うのだ。
次にむずかしいのは、毎回変わるメンバーだ。
それぞれの選手には少しずつクセがある。
だから組まれるメンバーによって、少しずつパスやランのタイミングや強さが変わるのだ。
特にスピードを生命線とするセナにとって、その少しの影響が大きい。
やがてプレイが始まった。
スナップされたボールがヒル魔に渡り、そしてランニングバックへハンドトス。
そしてランニングバックが走り出す。
この練習はあくまで基礎練習の範疇だし、連携の確認がメインなので妨害するラインはいない。
10ヤード進んだところ、つまりファーストダウンテンでリセットされる。
同じメンバーで何回かプレイしたところで、メンバーが変わるのだ。
「流石だなぁ」
セナはフィールドに立つヒル魔を見ながら、感嘆する。
ヒル魔はランニングバックが変わるたび、微妙にハンドトスを変えていた。
角度や強さ、そしてタイミング、実に何分の1秒の世界。
具体的にどこをどうというのは、わからない。
だけど明らかにランニングバックに合わせて変えているのがわかる。
そしてレシーバーへのパスも同様だった。
角度や高さ、スピードや回転を制御している。
レシーバーの特性に合わせて、取りやすいパスを投げていたのだ。
ふとフィールドのヒル魔と目が合った。
ヘルメットの中で、切れ長の瞳がセナを見る。
そのドヤ顔がドキッとするほど男前なのが、何だか悔しい。
セナは他の観戦している選手たちの様子をそれとなく見た。
パンサーたち上位選手はやはり理解していて、ヒル魔に拍手を送っている。
だけど練習生たちの反応はまちまちだ。
気付いて驚愕の表情になっている者は良い。
だけどその意味も分からず、相変わらず妙なマウントを取る者もいた。
大したことない。
やっぱり日本人なんてダメだ。
それをわざわざ口に出し、聞こえるように嘯く者たち。
だけどセナは特に何も反応しなかった。
最後に笑うのは、結果を出した者。
だが今、ヒル魔のプレイの本質がわからない者が結果を出せるとは思えない。
「次、ランニングバックはセナ!」
コーチから声がかかり、セナは「よし!」と気合を入れた。
フィールドから出てくるヒル魔が、またこちらを見ている。
お手並み拝見と言わんばかりの表情に、セナのテンションも上がった。
とはいえ、やることは決まっている。
位置についたセナは、静かに集中を高めていた。
テンションが上がっても、無駄に気負わない。
ただ集中して、全力でプレイするだけだ。
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