凱旋
「ええと、怒ってますか?」
セナはヒル魔の顔を伺いながら、恐る恐る声をかける。
だがヒル魔は意外そうな顔で「は?」と首を傾げた。
どうやら怒っているのではないらしい。
セナのNFL1年目は終わった。
残念ながらカンファレンス優勝はならず、スーパーボウルには進めなかった。
セナは準決勝で勝利のタッチダウンを決めたものの、ここで負傷して決勝には出場できず。
決勝はベンチでチームの敗北を見ることになった。
この結果にもちろん満足などしていない。
だけど日本人には無理と言われたNFLで結果を残し、来年度の契約も確約されている。
日本アメフト界にとっては、破格の快挙だった。
そしてセナは帰国した。
両親や友人、そして恋人と会い、つかの間のオフを楽しむ予定だ。
心身ともにリフレッシュしたい。
しっかり約1ヶ月ほどオフを満喫して、またアメリカに戻る予定だ。
最初の1週間は実家で過ごした。
久しぶりに両親と過ごし、また母校である大学に顔を出して友人たちに会う。
そしてきっかり8日目からは、恋人の元へ向かった。
ヒル魔は現在大学近く、つまり関西でマンション暮らしだ。
残りの3週間は、そこで過ごさせてもらうことになっている。
「ヒル魔さん!」
恋人の部屋に到着するなり、セナは感極まって抱きついた。
持ってきた荷物も放り出し、まったく余裕がない。
だが待ちに待った瞬間なのだ。
ビデオ通話でわりと頻繁に話してはいたが、やっぱり直に会えるのは格別だ。
「忙しねぇな」
ヒル魔は苦笑しながらも、抱きしめ返してくれた。
温かい胸と力強い腕が心地よい。
かくして2人は待望の再会を果たした。
ヒル魔は「まずは座れ」と身体を離す。
セナはそれを名残惜しく思いながらも「はい」と頷いた。
ヒル魔はキッチンに立ち、コーヒーを淹れ始めた。
インスタンスではなく、ドリップだ。
やがて芳醇な香りが部屋中に漂い始める。
セナはそれを嗅ぎながら、捲し立てるように話し始めた。
アメリカでのこと、NFLでの経験、チームの話、等々。
だがすぐに気付く。
なんだかヒル魔の様子がおかしい。
セナの話に相槌を打ってくれているが、違和感があるのだ。
「ええと、怒ってますか?」
「は?」
「何か空気が重くて。それに思い当たることがありすぎて」
セナの眉がへにゃりと下がり、視線が泳いだ。
そう、思い当たることがあり過ぎるのだ。
セナはNFLで試合には出られたが、レギュラー確定までは行かなかった。
チームはスーパーボウルに手が届いていない。
本当は「凱旋帰国!」と洒落込みたかったが、とてもそんなことは言えない。
それなのに恋人との再会に浮かれているセナを、ヒル魔が怒っているのではないかと思ったのだ。
「まぁ怒ってはいる。」
「やっぱり!」
「だけどお前が思っているのとは違う理由だ。」
「へ?」
「俺より前に他のヤツらに会ったんだろ?」
「はい。さすがにまずは両親かと」
「親はしょうがねぇ。だけど糞猿や糞デブは」
思いも寄らないことを言われ、セナは一瞬キョトンとした。
だがすぐに満面の笑顔になる。
怒っている理由が嬉しかったのだ。
自分と真っ先に会わなかったことに拗ねているなんて、可愛すぎる。
「ヒル魔さん、好きです!」
セナは嬉しい気持ちを爆発させながら、こみ上げる気持ちをブチまける。
ヒル魔は「片手間で告白すんな」と文句を言いながら、セナの前にコーヒーを置いてくれた。
セナはヒル魔の顔を伺いながら、恐る恐る声をかける。
だがヒル魔は意外そうな顔で「は?」と首を傾げた。
どうやら怒っているのではないらしい。
セナのNFL1年目は終わった。
残念ながらカンファレンス優勝はならず、スーパーボウルには進めなかった。
セナは準決勝で勝利のタッチダウンを決めたものの、ここで負傷して決勝には出場できず。
決勝はベンチでチームの敗北を見ることになった。
この結果にもちろん満足などしていない。
だけど日本人には無理と言われたNFLで結果を残し、来年度の契約も確約されている。
日本アメフト界にとっては、破格の快挙だった。
そしてセナは帰国した。
両親や友人、そして恋人と会い、つかの間のオフを楽しむ予定だ。
心身ともにリフレッシュしたい。
しっかり約1ヶ月ほどオフを満喫して、またアメリカに戻る予定だ。
最初の1週間は実家で過ごした。
久しぶりに両親と過ごし、また母校である大学に顔を出して友人たちに会う。
そしてきっかり8日目からは、恋人の元へ向かった。
ヒル魔は現在大学近く、つまり関西でマンション暮らしだ。
残りの3週間は、そこで過ごさせてもらうことになっている。
「ヒル魔さん!」
恋人の部屋に到着するなり、セナは感極まって抱きついた。
持ってきた荷物も放り出し、まったく余裕がない。
だが待ちに待った瞬間なのだ。
ビデオ通話でわりと頻繁に話してはいたが、やっぱり直に会えるのは格別だ。
「忙しねぇな」
ヒル魔は苦笑しながらも、抱きしめ返してくれた。
温かい胸と力強い腕が心地よい。
かくして2人は待望の再会を果たした。
ヒル魔は「まずは座れ」と身体を離す。
セナはそれを名残惜しく思いながらも「はい」と頷いた。
ヒル魔はキッチンに立ち、コーヒーを淹れ始めた。
インスタンスではなく、ドリップだ。
やがて芳醇な香りが部屋中に漂い始める。
セナはそれを嗅ぎながら、捲し立てるように話し始めた。
アメリカでのこと、NFLでの経験、チームの話、等々。
だがすぐに気付く。
なんだかヒル魔の様子がおかしい。
セナの話に相槌を打ってくれているが、違和感があるのだ。
「ええと、怒ってますか?」
「は?」
「何か空気が重くて。それに思い当たることがありすぎて」
セナの眉がへにゃりと下がり、視線が泳いだ。
そう、思い当たることがあり過ぎるのだ。
セナはNFLで試合には出られたが、レギュラー確定までは行かなかった。
チームはスーパーボウルに手が届いていない。
本当は「凱旋帰国!」と洒落込みたかったが、とてもそんなことは言えない。
それなのに恋人との再会に浮かれているセナを、ヒル魔が怒っているのではないかと思ったのだ。
「まぁ怒ってはいる。」
「やっぱり!」
「だけどお前が思っているのとは違う理由だ。」
「へ?」
「俺より前に他のヤツらに会ったんだろ?」
「はい。さすがにまずは両親かと」
「親はしょうがねぇ。だけど糞猿や糞デブは」
思いも寄らないことを言われ、セナは一瞬キョトンとした。
だがすぐに満面の笑顔になる。
怒っている理由が嬉しかったのだ。
自分と真っ先に会わなかったことに拗ねているなんて、可愛すぎる。
「ヒル魔さん、好きです!」
セナは嬉しい気持ちを爆発させながら、こみ上げる気持ちをブチまける。
ヒル魔は「片手間で告白すんな」と文句を言いながら、セナの前にコーヒーを置いてくれた。
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