空港にて~五乙的結末予想~【楽】の章
【1】*乙骨憂太・独白*
「ちょっと暴飲暴食が過ぎない?」
すごく若い姿になった先生は、開口一番詰め寄ってくる。
思いっきりその自覚がある僕は「すみません」と項垂れた。
渋谷事変から死滅回游、そして新宿決戦。
全ての戦いを終えた後、僕は死んだ。
覚悟はしていたし、悔いはない。
羂索も両面宿儺も倒したし、一億人呪霊の発生も防げた。
同級生や後輩もみんな生き返ったしね。
僕としては、まぁまぁ満足な結末だった。
残念なのは先生や七海さんなど、多くの先輩術師を失ったことだ。
これに関しては祈るしかない。
彼らが満足な死を迎えたことを。
そしてそれは間違いではなかったみたいだ。
なぜならこの世とあの世の境目と思しき空港で再会したからだ。
良く知っている人たちが、記憶より若い姿で寛いでいた。
「ちょっと暴飲暴食が過ぎない?」
再会した先生の第一声は、それだった。
高専の制服を着て、丸いサングラスをかけた若い姿の先生だ。
こんな場面での再会なのに、いきなり本題なのが先生らしい。
思えば僕が呪術高専に入学した時も、学校の説明は後からされたからね。
だけど僕は「すみません」とあやまった。
だって自覚があるから。
僕の術式は模倣(コピー)で、条件はリカちゃんが相手の身体の一部を取り込むこと。
だから僕はいろいろな呪術師の身体を取り込んだ。
っていうか、リカちゃんが爆食したんだ。
味方から敵まで、手に入った限りの術師の血肉を取り込みまくった。
先生の身体の一部も、リカちゃんが美味しくいただきました。
「君自身はキャベツばっかり食べてるのにね~?」
「ええ。すっかり胃もたれしてます。」
「そうなの!?」
「はい。リカちゃんと僕はある程度感覚を共有しているので。」
リカちゃんが勝手にバクバク食べているわけではない。
僕とリカちゃんとは言葉がなくても、タイムラグなしで意思疎通ができる。
だから食べているのは、もちろん僕の指示。
当然食べている感覚、ぶっちゃけ味とか食感は僕にも伝わる。
だから実際は食べていない僕まで、いつも胃が重たかったんだよね。
「そりゃ大変だったね。」
「はい。伊地知さんに胃薬をわけてもらってました。」
「頑張ったね。」
先生は優しく笑うと、僕の手を引いて歩き出した。
その先にいるのは、先生の高専時代の仲間たちだ。
随分若い姿の七海さん、隣でニコニコしているのは誰かな?
そしてその後ろに立っているのは、夏油さんだ。
七海さんも夏油さんも食している身としては、何となく気まずい。
「初めまして!乙骨憂太君!」
七海さんの隣にいたニコニコ顔の人が話しかけてきた。
すかさず七海さんが「彼は灰原です」と教えてくれる。
僕はやや引き気味に「乙骨です」と頭を下げた。
明るいし、元気いっぱいだし、ちょっと虎杖君に似てるかな?
「術式がコピーって凄すぎる!何個くらい持ってるの!?」
灰原さんが目をキラキラさせながら、身を乗り出してきた。
僕は一瞬考えたけど「わかりません」と首を振った。
先生と夏油さん、七海さん、烏鷺さんに石流さんに来栖さん。そして後輩たち。
そこまで数えたけど、全然追いつかなくて、諦めた。
3桁には届いてないと思うけど、でもとにかくたくさんいただいたんです。
もう気分はすっかり食人鬼です。
「まぁとにかく座りませんか?」
困ってしまった僕に、七海さんが助け舟を出してくれた。
そこで僕たちは窓際のシートに移動した。
窓際の席に先生が座り、隣に僕、さらに隣に夏油さん。
そして向かいには七海さんと灰原さんと、僕を囲む形になった。
大きなガラス窓から、飛行機が見える。
おそらくここはこの世とあの世の境目。
彼らはもうすぐ一緒にあれに乗って、旅立つんだろう。
「あの。先生」
僕は隣に座る先生に、声をかけた。
なんか全部終わったけど、わかっていないことがあるから。
飛行機が飛び立つまでの時間、答え合わせをしようかな。
何?とこちらを見る先生の瞳は、窓から見える空と同じ色でに綺麗だった。
「ちょっと暴飲暴食が過ぎない?」
すごく若い姿になった先生は、開口一番詰め寄ってくる。
思いっきりその自覚がある僕は「すみません」と項垂れた。
渋谷事変から死滅回游、そして新宿決戦。
全ての戦いを終えた後、僕は死んだ。
覚悟はしていたし、悔いはない。
羂索も両面宿儺も倒したし、一億人呪霊の発生も防げた。
同級生や後輩もみんな生き返ったしね。
僕としては、まぁまぁ満足な結末だった。
残念なのは先生や七海さんなど、多くの先輩術師を失ったことだ。
これに関しては祈るしかない。
彼らが満足な死を迎えたことを。
そしてそれは間違いではなかったみたいだ。
なぜならこの世とあの世の境目と思しき空港で再会したからだ。
良く知っている人たちが、記憶より若い姿で寛いでいた。
「ちょっと暴飲暴食が過ぎない?」
再会した先生の第一声は、それだった。
高専の制服を着て、丸いサングラスをかけた若い姿の先生だ。
こんな場面での再会なのに、いきなり本題なのが先生らしい。
思えば僕が呪術高専に入学した時も、学校の説明は後からされたからね。
だけど僕は「すみません」とあやまった。
だって自覚があるから。
僕の術式は模倣(コピー)で、条件はリカちゃんが相手の身体の一部を取り込むこと。
だから僕はいろいろな呪術師の身体を取り込んだ。
っていうか、リカちゃんが爆食したんだ。
味方から敵まで、手に入った限りの術師の血肉を取り込みまくった。
先生の身体の一部も、リカちゃんが美味しくいただきました。
「君自身はキャベツばっかり食べてるのにね~?」
「ええ。すっかり胃もたれしてます。」
「そうなの!?」
「はい。リカちゃんと僕はある程度感覚を共有しているので。」
リカちゃんが勝手にバクバク食べているわけではない。
僕とリカちゃんとは言葉がなくても、タイムラグなしで意思疎通ができる。
だから食べているのは、もちろん僕の指示。
当然食べている感覚、ぶっちゃけ味とか食感は僕にも伝わる。
だから実際は食べていない僕まで、いつも胃が重たかったんだよね。
「そりゃ大変だったね。」
「はい。伊地知さんに胃薬をわけてもらってました。」
「頑張ったね。」
先生は優しく笑うと、僕の手を引いて歩き出した。
その先にいるのは、先生の高専時代の仲間たちだ。
随分若い姿の七海さん、隣でニコニコしているのは誰かな?
そしてその後ろに立っているのは、夏油さんだ。
七海さんも夏油さんも食している身としては、何となく気まずい。
「初めまして!乙骨憂太君!」
七海さんの隣にいたニコニコ顔の人が話しかけてきた。
すかさず七海さんが「彼は灰原です」と教えてくれる。
僕はやや引き気味に「乙骨です」と頭を下げた。
明るいし、元気いっぱいだし、ちょっと虎杖君に似てるかな?
「術式がコピーって凄すぎる!何個くらい持ってるの!?」
灰原さんが目をキラキラさせながら、身を乗り出してきた。
僕は一瞬考えたけど「わかりません」と首を振った。
先生と夏油さん、七海さん、烏鷺さんに石流さんに来栖さん。そして後輩たち。
そこまで数えたけど、全然追いつかなくて、諦めた。
3桁には届いてないと思うけど、でもとにかくたくさんいただいたんです。
もう気分はすっかり食人鬼です。
「まぁとにかく座りませんか?」
困ってしまった僕に、七海さんが助け舟を出してくれた。
そこで僕たちは窓際のシートに移動した。
窓際の席に先生が座り、隣に僕、さらに隣に夏油さん。
そして向かいには七海さんと灰原さんと、僕を囲む形になった。
大きなガラス窓から、飛行機が見える。
おそらくここはこの世とあの世の境目。
彼らはもうすぐ一緒にあれに乗って、旅立つんだろう。
「あの。先生」
僕は隣に座る先生に、声をかけた。
なんか全部終わったけど、わかっていないことがあるから。
飛行機が飛び立つまでの時間、答え合わせをしようかな。
何?とこちらを見る先生の瞳は、窓から見える空と同じ色でに綺麗だった。