空港にて~五乙的結末予想~【怒】の章
【1】*乙骨憂太・独白*
ちょーっと嫌な予感がしてさ。
僕になんかあったら、憂太に頼みたくて。
先生はいつもの軽い感じでそう言った。
だけど今にして思えば、それは遺言。
そして僕にとっては、呪いの言葉だったんだ。
五条先生は、逝ってしまった。
強い相手と戦って、最期は楽しそうに笑ってた。
先生は満足だったんでしょうね。
だけど残された僕らの、いや僕のこと、少しは考えてくれてました?
百鬼夜行のあの日、里香ちゃんを解呪した後。
僕は多分、先生に恋をしていたと思う。
はっきり自覚したのは、特級に戻ったときかな。
一時は四級にまで落ちて、その後は必死に鍛錬して、任務もこなした。
ようやく余裕が出始めたとき、先生のことを意識した。
先生、僕の気持ちに気付いてましたよね?
そしてそれを利用してましたよね?
心の中で何度も答えのない問いを繰り返した。
だって先生の僕の扱い、なかなかにハードだったから。
アフリカに行けとか、黒縄を捜せとか、何かあったら頼むとか。
僕の気持ちなんかおかまいなしに、無理難題ばかり。
パンダ君風にいうなら「脈なしで~す」かな?
でもそんなの、まだマシだった。
もっと大変な大荷物を押し付けられたと知ったのは、先生の死後。
何と先生は、自分にもしものことがあったとき、全て僕に託すと遺言していたのだ。
まず見せられた財産の目録に、僕は膝から崩れ落ちた。
先生はとんでもない大金持ち、いや大富豪だったのだ。
いや、薄々は気付いてたけどね。
実際に数字を見せられると引くよ?マジで。
でもまぁ、財産はまぁ良いんだ。
いくらあったって、使う予定はないから。
骨の髄まで生粋な庶民である僕には、こんな大金の使い方なんてわからない。
使わないまま残るだけだし、最悪適当なところに寄付でもしちゃおう。
それ以上に面倒なのは、先生が僕に託した仕事だった。
先生、よりによって自分の次の五条家当主に僕を指名してたんだ。
そこから先はもう大変。
最初は何だかよくわからないおじいちゃん?が代わる代わる現れた。
僕に「当主の座を降りろ」と怒鳴る人もいた。
意味なくヘラヘラ「これからよろしく」と媚びる人もいた。
僕としては、喜んで誰かに譲るんだけどな。
だけど結局、当主のお披露目会が開催されてしまった。
決め手は五条先生を凌ぐ僕の呪力量だったみたい。
かくして僕は五条家の当主にされてしまった。
さらに生き残った唯一の特級術師としての仕事もある。
つまりとにかく毎日忙しい。
今もこうして五条家の、かつては先生の部屋だった場所で書類と格闘している。
それだけでも大変なんだけど、先生はさらに大変なものを残していった。
それは六眼と無下限呪術。
特に僕が持て余しているのは、六眼だった。
いや、そりゃ戦ってる時にはすごい武器だし、ありがたいよ?
だけど普通に暮らしてるときには、とにかく邪魔だった。
他人の術式や呪力なんて、日常生活では見えなくていいよ。
しかもサーモグラフィみたいになってて、未だに慣れない。
そもそも僕みたいな純粋日本人な顔に、蒼い瞳は似合わない。
こういうのは、超絶美人の先生だからサマになってたと思うんだけど。
とりあえず六眼対策として、僕は七海さんのゴーグルをお借りした。
この見え過ぎる目を何とかしないと、普通に暮らせないから。
最初は先生のサングラスを使わせてもらったけど、なんかしっくりこなかった。
包帯やアイマスクでも同じ。
何か「五条悟」のコスプレしているみたいになっちゃったんだよね。
先生がものすごく綺麗だから、僕だと安っぽく見えるんだろうな。
こうして僕は今日も慣れない仕事を山ほどこなして、疲れ果てて眠る。
みんな心配してくれるけど、大丈夫だよ。
だって先生がやってたみたいに無下限と反転を常に回してるからね。
最初はむずかしかったけど、慣れれば結構楽。
それにこうして忙しくしている方が、何も考えないで済むから良い。
五条先生がいないこと、もう二度と会えないことを。
今はまだ泣けない。
もう少し落ち着いたら、きっと毎晩泣き明かすんだろうな。
僕が死んだら、五条先生と再会できるのかな?
その時を楽しみに、頑張って生きていかなきゃって思う。
もしも会えたら、少しぐらい怒っても許されますよね。
それとあのアフリカでの夜のこと、説明してもらいますよ。
ちょーっと嫌な予感がしてさ。
僕になんかあったら、憂太に頼みたくて。
先生はいつもの軽い感じでそう言った。
だけど今にして思えば、それは遺言。
そして僕にとっては、呪いの言葉だったんだ。
五条先生は、逝ってしまった。
強い相手と戦って、最期は楽しそうに笑ってた。
先生は満足だったんでしょうね。
だけど残された僕らの、いや僕のこと、少しは考えてくれてました?
百鬼夜行のあの日、里香ちゃんを解呪した後。
僕は多分、先生に恋をしていたと思う。
はっきり自覚したのは、特級に戻ったときかな。
一時は四級にまで落ちて、その後は必死に鍛錬して、任務もこなした。
ようやく余裕が出始めたとき、先生のことを意識した。
先生、僕の気持ちに気付いてましたよね?
そしてそれを利用してましたよね?
心の中で何度も答えのない問いを繰り返した。
だって先生の僕の扱い、なかなかにハードだったから。
アフリカに行けとか、黒縄を捜せとか、何かあったら頼むとか。
僕の気持ちなんかおかまいなしに、無理難題ばかり。
パンダ君風にいうなら「脈なしで~す」かな?
でもそんなの、まだマシだった。
もっと大変な大荷物を押し付けられたと知ったのは、先生の死後。
何と先生は、自分にもしものことがあったとき、全て僕に託すと遺言していたのだ。
まず見せられた財産の目録に、僕は膝から崩れ落ちた。
先生はとんでもない大金持ち、いや大富豪だったのだ。
いや、薄々は気付いてたけどね。
実際に数字を見せられると引くよ?マジで。
でもまぁ、財産はまぁ良いんだ。
いくらあったって、使う予定はないから。
骨の髄まで生粋な庶民である僕には、こんな大金の使い方なんてわからない。
使わないまま残るだけだし、最悪適当なところに寄付でもしちゃおう。
それ以上に面倒なのは、先生が僕に託した仕事だった。
先生、よりによって自分の次の五条家当主に僕を指名してたんだ。
そこから先はもう大変。
最初は何だかよくわからないおじいちゃん?が代わる代わる現れた。
僕に「当主の座を降りろ」と怒鳴る人もいた。
意味なくヘラヘラ「これからよろしく」と媚びる人もいた。
僕としては、喜んで誰かに譲るんだけどな。
だけど結局、当主のお披露目会が開催されてしまった。
決め手は五条先生を凌ぐ僕の呪力量だったみたい。
かくして僕は五条家の当主にされてしまった。
さらに生き残った唯一の特級術師としての仕事もある。
つまりとにかく毎日忙しい。
今もこうして五条家の、かつては先生の部屋だった場所で書類と格闘している。
それだけでも大変なんだけど、先生はさらに大変なものを残していった。
それは六眼と無下限呪術。
特に僕が持て余しているのは、六眼だった。
いや、そりゃ戦ってる時にはすごい武器だし、ありがたいよ?
だけど普通に暮らしてるときには、とにかく邪魔だった。
他人の術式や呪力なんて、日常生活では見えなくていいよ。
しかもサーモグラフィみたいになってて、未だに慣れない。
そもそも僕みたいな純粋日本人な顔に、蒼い瞳は似合わない。
こういうのは、超絶美人の先生だからサマになってたと思うんだけど。
とりあえず六眼対策として、僕は七海さんのゴーグルをお借りした。
この見え過ぎる目を何とかしないと、普通に暮らせないから。
最初は先生のサングラスを使わせてもらったけど、なんかしっくりこなかった。
包帯やアイマスクでも同じ。
何か「五条悟」のコスプレしているみたいになっちゃったんだよね。
先生がものすごく綺麗だから、僕だと安っぽく見えるんだろうな。
こうして僕は今日も慣れない仕事を山ほどこなして、疲れ果てて眠る。
みんな心配してくれるけど、大丈夫だよ。
だって先生がやってたみたいに無下限と反転を常に回してるからね。
最初はむずかしかったけど、慣れれば結構楽。
それにこうして忙しくしている方が、何も考えないで済むから良い。
五条先生がいないこと、もう二度と会えないことを。
今はまだ泣けない。
もう少し落ち着いたら、きっと毎晩泣き明かすんだろうな。
僕が死んだら、五条先生と再会できるのかな?
その時を楽しみに、頑張って生きていかなきゃって思う。
もしも会えたら、少しぐらい怒っても許されますよね。
それとあのアフリカでの夜のこと、説明してもらいますよ。