after story12「予想外」
「まったく。ちょっと目を離したすきに。油断も隙も無い。」
黒子はブツブツと文句を言いながら、配架をしている。
すれ違う図書隊員たちは、一様に怯えた表情で足早に通り過ぎた。
いつも通り表情も感情も乏しいのに、なぜか鬼気迫るオーラを放っていたからだった。
黒子が特殊部隊から後方支援部へと異動になった。
つまり元の所属に戻ったことになる。
黒子にとってみれば、一時的でも特殊部隊に配属されたのが異常なこと。
後方支援部の方が性に合っており、単に戻って来たとしか思っていない。
ただ知らない者から見れば、異常な人事だった。
防衛員どころか正式な図書隊員でもないものが、特殊部隊などありえない。
これを決めたのは特殊部隊隊長の玄田であり、その理由はまさに「気分」だった。
だがいろいろ含めて細かい経緯は、周知などされない。
だから特殊部隊入りを願う者たちからすると「面白くない」の一言に尽きる。
短期間で黒子が後方支援部に戻ったことは、さらなる驚きだった。
良化隊が使用した化学兵器の被害に遭って、抗争の最中に倒れたことは公表されている。
そこから多くの者たちは、身体に何かの故障が残ったものと考えた。
だが一部の者たちは、黒子が怖気づいたと勝手に結論づけたようだ。
そんな者たちは黒子を見かけたら嫌みの1つも言ってやりたいなどと考えていた。
当の黒子はそんなことなど知らず、後方支援部に復帰した。
復帰早々の初仕事は、書架のチェックだ。
実は特殊部隊にいる間、気になっていたのだ。
それは館内を巡回するとき、または非番で本を借りに来たときのこと。
ところどころに配架ミスがあり、黒子は気付けばそれを直していた。
配架ミスは図書館員の責任とは限らない。
むしろ館内で本を閲覧した利用者が、間違った場所に戻してしまうケースの方が多いのだ。
またはめんどくさいという理由で適当な場所に入れたり、悪戯でわざと場所を変えたり。
そういうのを見つけて正すのも、図書館員の大事な仕事だ。
「なんでこんなに間違っているんだろう。」
黒子は復帰早々ブツブツと文句を言いながら、本を配架し直していく。
もちろん書架全体を見回せば微々たるものなのだが、黒子にしてみれば許せない量だ。
そんな黒子に、一言嫌味を言ってやろうと防衛員たちが近づく。
結局、特殊部隊じゃ使い物にならなかったんだろう?
そんなことを言ってやるつもりだったのだが。
「まったく。ちょっと目を離したすきに。油断も隙も無い。」
鬼気迫る勢いで配架をする黒子に、防衛員たちの足が止まった。
何かわからないけど、物凄く怖い。
彼らはそれを察すると、何も言えずにその場を立ち去った。
そして黒子は黒いオーラを放ちながら、ひたすら本を直し続けたのだった。
黒子はブツブツと文句を言いながら、配架をしている。
すれ違う図書隊員たちは、一様に怯えた表情で足早に通り過ぎた。
いつも通り表情も感情も乏しいのに、なぜか鬼気迫るオーラを放っていたからだった。
黒子が特殊部隊から後方支援部へと異動になった。
つまり元の所属に戻ったことになる。
黒子にとってみれば、一時的でも特殊部隊に配属されたのが異常なこと。
後方支援部の方が性に合っており、単に戻って来たとしか思っていない。
ただ知らない者から見れば、異常な人事だった。
防衛員どころか正式な図書隊員でもないものが、特殊部隊などありえない。
これを決めたのは特殊部隊隊長の玄田であり、その理由はまさに「気分」だった。
だがいろいろ含めて細かい経緯は、周知などされない。
だから特殊部隊入りを願う者たちからすると「面白くない」の一言に尽きる。
短期間で黒子が後方支援部に戻ったことは、さらなる驚きだった。
良化隊が使用した化学兵器の被害に遭って、抗争の最中に倒れたことは公表されている。
そこから多くの者たちは、身体に何かの故障が残ったものと考えた。
だが一部の者たちは、黒子が怖気づいたと勝手に結論づけたようだ。
そんな者たちは黒子を見かけたら嫌みの1つも言ってやりたいなどと考えていた。
当の黒子はそんなことなど知らず、後方支援部に復帰した。
復帰早々の初仕事は、書架のチェックだ。
実は特殊部隊にいる間、気になっていたのだ。
それは館内を巡回するとき、または非番で本を借りに来たときのこと。
ところどころに配架ミスがあり、黒子は気付けばそれを直していた。
配架ミスは図書館員の責任とは限らない。
むしろ館内で本を閲覧した利用者が、間違った場所に戻してしまうケースの方が多いのだ。
またはめんどくさいという理由で適当な場所に入れたり、悪戯でわざと場所を変えたり。
そういうのを見つけて正すのも、図書館員の大事な仕事だ。
「なんでこんなに間違っているんだろう。」
黒子は復帰早々ブツブツと文句を言いながら、本を配架し直していく。
もちろん書架全体を見回せば微々たるものなのだが、黒子にしてみれば許せない量だ。
そんな黒子に、一言嫌味を言ってやろうと防衛員たちが近づく。
結局、特殊部隊じゃ使い物にならなかったんだろう?
そんなことを言ってやるつもりだったのだが。
「まったく。ちょっと目を離したすきに。油断も隙も無い。」
鬼気迫る勢いで配架をする黒子に、防衛員たちの足が止まった。
何かわからないけど、物凄く怖い。
彼らはそれを察すると、何も言えずにその場を立ち去った。
そして黒子は黒いオーラを放ちながら、ひたすら本を直し続けたのだった。
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