after story5「新メンバー」
「えええ~!?」
郁はよく通る大きな声で、驚きを表現した。
普段なら夫である堂上が「うるさい!」と頭を叩く場面である。
だがもはや鉄板といえるそのやりとりはなかった。
なぜなら堂上もまた、妻と同じくらい驚いていたからである。
図書特殊部隊の全員が集まる機会は、意外と少ない。
いつ検閲があるかわからないので、24時間交代での勤務だからだ。
飲み会も全員は揃わないし、冠婚葬祭ですらそうだ。
おかげで堂上と郁の結婚祝いの飲み会は、特殊部隊だけで2回行われた。
そんな中、会議室には特殊部隊の全員が顔を揃えていた。
郁は最後に全員が揃ったのはいつだったかと、首を傾げる。
当麻蔵人が最高裁で敗訴した場合の対策を話し合ったときは、確か全員が集められた。
郁がポロリと「亡命」と呟き、堂上を拳で殴り倒したあの会議だ。
あれ、それ以来だっけ?
郁がそんなことを考え始めていると、玄田がおもむろに口を開いた。
「来月、特殊部隊に新メンバーを迎え入れる!」
高らかな宣言に、郁と手塚を除いたほぼ全員が首を傾げた。
新メンバーを加える時には、事前に何となくわかるものなのだ。
なぜなら玄田がいかにも気に入りそうな隊員は、否が応でも目立つ。
だから隊員たちは、抜擢されそうな逸材には何となく気付いていた。
郁と手塚は新人で配属されたことこそ驚かれたが、いつか配属される人材と見られていた。
ちなみに特殊部隊に配属されたのは伊月が最後であり、未だに郁と手塚が最年少だ。
「これが配属される隊員だ。」
緒形がプロフェクターを操作すると、中央の大きなスクリーンにデータが表示される。
見慣れた影の薄い、無表情な男の写真。
そして氏名と入隊年度、そして図書隊に入ってからの経歴。
それを見た郁は「えええ~!?」と声を上げる。
だが郁の大声が咎められないほど、会議室内は驚きで騒然となった。
堂上でさえ「は?」と間抜けな声を上げてしまい、沈着冷静な小牧も唖然としている。
「名目は戦術顧問だ。銃火器使用規制による戦術の見直しのアドバイザーとして来てもらう。」
緒形はさらに補足説明したが、さらに隊員たちは首を傾げた。
黒子は地下書庫のスペシャリストではあるが、戦術に長けているという話は聞いたこともない。
すると玄田が「この先は他言無用。秘密を厳守せよ」と告げる。
そして緒形が再び説明役となった。
黒子は赤司のコネクションで、銃火器使用規制後の良化隊の新装備を知った。
その中に化学兵器があることを知り、その情報を特殊部隊に持ち込んだのだと。
「化学兵器って」
「笠原にも、わかるように言えば毒物だ。」
毒という言葉を聞いて、座は一気に凍り付いた。
いくら抗争とはいえ、やっていいことと悪いことがある。
郁は地味に貶されていたのだが、それに気付けないほどの衝撃だった。
「黒子もさすがにそれはまずいと思ったそうだ。だから赤司の反対を押し切って情報をくれた。」
緒形の言葉に、全員が納得した。
そして玄田が「くれぐれも他言無用だ!」と締め、全員の「はい!」と応じる声が綺麗にハモった。
郁はよく通る大きな声で、驚きを表現した。
普段なら夫である堂上が「うるさい!」と頭を叩く場面である。
だがもはや鉄板といえるそのやりとりはなかった。
なぜなら堂上もまた、妻と同じくらい驚いていたからである。
図書特殊部隊の全員が集まる機会は、意外と少ない。
いつ検閲があるかわからないので、24時間交代での勤務だからだ。
飲み会も全員は揃わないし、冠婚葬祭ですらそうだ。
おかげで堂上と郁の結婚祝いの飲み会は、特殊部隊だけで2回行われた。
そんな中、会議室には特殊部隊の全員が顔を揃えていた。
郁は最後に全員が揃ったのはいつだったかと、首を傾げる。
当麻蔵人が最高裁で敗訴した場合の対策を話し合ったときは、確か全員が集められた。
郁がポロリと「亡命」と呟き、堂上を拳で殴り倒したあの会議だ。
あれ、それ以来だっけ?
郁がそんなことを考え始めていると、玄田がおもむろに口を開いた。
「来月、特殊部隊に新メンバーを迎え入れる!」
高らかな宣言に、郁と手塚を除いたほぼ全員が首を傾げた。
新メンバーを加える時には、事前に何となくわかるものなのだ。
なぜなら玄田がいかにも気に入りそうな隊員は、否が応でも目立つ。
だから隊員たちは、抜擢されそうな逸材には何となく気付いていた。
郁と手塚は新人で配属されたことこそ驚かれたが、いつか配属される人材と見られていた。
ちなみに特殊部隊に配属されたのは伊月が最後であり、未だに郁と手塚が最年少だ。
「これが配属される隊員だ。」
緒形がプロフェクターを操作すると、中央の大きなスクリーンにデータが表示される。
見慣れた影の薄い、無表情な男の写真。
そして氏名と入隊年度、そして図書隊に入ってからの経歴。
それを見た郁は「えええ~!?」と声を上げる。
だが郁の大声が咎められないほど、会議室内は驚きで騒然となった。
堂上でさえ「は?」と間抜けな声を上げてしまい、沈着冷静な小牧も唖然としている。
「名目は戦術顧問だ。銃火器使用規制による戦術の見直しのアドバイザーとして来てもらう。」
緒形はさらに補足説明したが、さらに隊員たちは首を傾げた。
黒子は地下書庫のスペシャリストではあるが、戦術に長けているという話は聞いたこともない。
すると玄田が「この先は他言無用。秘密を厳守せよ」と告げる。
そして緒形が再び説明役となった。
黒子は赤司のコネクションで、銃火器使用規制後の良化隊の新装備を知った。
その中に化学兵器があることを知り、その情報を特殊部隊に持ち込んだのだと。
「化学兵器って」
「笠原にも、わかるように言えば毒物だ。」
毒という言葉を聞いて、座は一気に凍り付いた。
いくら抗争とはいえ、やっていいことと悪いことがある。
郁は地味に貶されていたのだが、それに気付けないほどの衝撃だった。
「黒子もさすがにそれはまずいと思ったそうだ。だから赤司の反対を押し切って情報をくれた。」
緒形の言葉に、全員が納得した。
そして玄田が「くれぐれも他言無用だ!」と締め、全員の「はい!」と応じる声が綺麗にハモった。
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