after story4「決裂」
「悪かった!何でも1つ、言うことを聞くから!」
堂上は怒る新妻に、ひたすら謝った。
だが新妻はきっぱりと「話してくれるまで許しません!」と宣言したのだった。
小牧の部屋で飲んでいた堂上は、官舎に戻った。
堂上班の男3人の部屋飲みを満喫し、愛する妻の待つ部屋へ。
気の合う仲間と楽しい時間を過ごした後、夫婦の甘い夜。
楽しさと幸せを噛みしめながら、嬉々として官舎に戻った堂上を迎えたのは、怒れる妻だった。
「男3人で、何を話していたんですか?」
「郁?」
「独身寮なら部屋飲みに参加できないのも我慢しますけど。」
「いや。その」
「どうしてわざわざ寮で3人なんです?そんなにあたしが邪魔ですか!」
怒り全開の郁に、堂上は完全に押されていた。
そもそも3人での部屋飲みは、最近また不穏な動きをする黒子の話をするためだった。
敢えて郁を外したのは、郁には聞かせたくないと思ったからだ。
純情で素直で黒子とは友情を築いている郁には、嫌な話だろう。
それに久しぶりの寮での部屋飲みが懐かしかったのは、否めない。
だから小牧の部屋で飲んでくると伝えた時、寂しそうな郁に「ごめんな」と告げた。
それで了承は取れたものと思っていたのだ。
だから帰宅した今、郁が怒っていることに度肝を抜かれていた。
「最初は我慢すればいいと思いました。でも。」
「でも?」
「長い人生を共にするならわだかまりを残しちゃダメって言われたんです。」
「悪かった!何でも1つ、言うことを聞くから!」
堂上はガバッと頭を下げた。
だが郁はきっぱりと「話してくれるまで許しません!」と言い放つ。
そこで堂上はようやく思っている以上に、郁が気にしているのだと知った。
3人で集まることは、結果として郁をのけ者にしていたということだ。
黒子のことを郁に知らせたくないと思ったのは、堂上の勝手な過保護でしかない。
郁はもう一人前の特殊部隊隊員なのだ。
「話すよ。全部。」
堂上はそう前置きすると、部屋飲みで語られた黒子の情報を話し始めた。
黒子が「特殊部隊壊滅」と、穏やかではないことを喋っていたこと。
そして黒子が手塚慧と密会していたと思われること。
堂上は郁が動揺するのではないかと思っていたが、当の郁は「へぇぇ」とあっさりした反応だ。
「驚かないのか?」
「いや、なんか予想の範囲内って感じで。」
「そうなのか?」
「今夜、黒子先生は赤司って人と密会してますよ。」
「ハァァ?」
「大丈夫です。黒子先生は悪い人じゃないし、検閲撤廃のために動いてるんですよ。」
「そうか」
「ちなみに3人で部屋飲みしているのを怒った方がいいって言ってくれたのも黒子先生です。」
堂上はガックリと肩を落とした。
郁は黒子のことを、友人として図書隊員として信頼している。
だからまったく動じないのだ。
これでは黒子のことでオタオタしていた男3人、バカみたいではないか。
堂上は怒る新妻に、ひたすら謝った。
だが新妻はきっぱりと「話してくれるまで許しません!」と宣言したのだった。
小牧の部屋で飲んでいた堂上は、官舎に戻った。
堂上班の男3人の部屋飲みを満喫し、愛する妻の待つ部屋へ。
気の合う仲間と楽しい時間を過ごした後、夫婦の甘い夜。
楽しさと幸せを噛みしめながら、嬉々として官舎に戻った堂上を迎えたのは、怒れる妻だった。
「男3人で、何を話していたんですか?」
「郁?」
「独身寮なら部屋飲みに参加できないのも我慢しますけど。」
「いや。その」
「どうしてわざわざ寮で3人なんです?そんなにあたしが邪魔ですか!」
怒り全開の郁に、堂上は完全に押されていた。
そもそも3人での部屋飲みは、最近また不穏な動きをする黒子の話をするためだった。
敢えて郁を外したのは、郁には聞かせたくないと思ったからだ。
純情で素直で黒子とは友情を築いている郁には、嫌な話だろう。
それに久しぶりの寮での部屋飲みが懐かしかったのは、否めない。
だから小牧の部屋で飲んでくると伝えた時、寂しそうな郁に「ごめんな」と告げた。
それで了承は取れたものと思っていたのだ。
だから帰宅した今、郁が怒っていることに度肝を抜かれていた。
「最初は我慢すればいいと思いました。でも。」
「でも?」
「長い人生を共にするならわだかまりを残しちゃダメって言われたんです。」
「悪かった!何でも1つ、言うことを聞くから!」
堂上はガバッと頭を下げた。
だが郁はきっぱりと「話してくれるまで許しません!」と言い放つ。
そこで堂上はようやく思っている以上に、郁が気にしているのだと知った。
3人で集まることは、結果として郁をのけ者にしていたということだ。
黒子のことを郁に知らせたくないと思ったのは、堂上の勝手な過保護でしかない。
郁はもう一人前の特殊部隊隊員なのだ。
「話すよ。全部。」
堂上はそう前置きすると、部屋飲みで語られた黒子の情報を話し始めた。
黒子が「特殊部隊壊滅」と、穏やかではないことを喋っていたこと。
そして黒子が手塚慧と密会していたと思われること。
堂上は郁が動揺するのではないかと思っていたが、当の郁は「へぇぇ」とあっさりした反応だ。
「驚かないのか?」
「いや、なんか予想の範囲内って感じで。」
「そうなのか?」
「今夜、黒子先生は赤司って人と密会してますよ。」
「ハァァ?」
「大丈夫です。黒子先生は悪い人じゃないし、検閲撤廃のために動いてるんですよ。」
「そうか」
「ちなみに3人で部屋飲みしているのを怒った方がいいって言ってくれたのも黒子先生です。」
堂上はガックリと肩を落とした。
郁は黒子のことを、友人として図書隊員として信頼している。
だからまったく動じないのだ。
これでは黒子のことでオタオタしていた男3人、バカみたいではないか。
1/3ページ