第19話「友だちでいる資格、ないんだ。」
「本当にすごいんですから」
律はスマホに向かって、連呼する。
画面の中の高野は『そうか』と苦笑していた。
律と黒子はアメリカを発ち、日本に到着した。
成田空港には赤司自らが迎えに来ており、2人は赤司邸に直行した。
その道中、律はとにかく驚きっぱなしだった。
2人が乗せられたのは、赤司家の所有だというリムジンだった。
車内はサロン風になっており、バーカウンターや冷蔵庫がついている。
走行も、本当に走っているのかと疑ってしまうほど静かで、振動もない。
そして冷たい飲み物が振る舞われて、長時間の飛行機で凝り固まった身体が解れる。
そうこうしているうちに、赤司邸に到着したのだった。
「赤司君のお宅、本当に広いんです。」
『そうか』
「2回も迷子になったんです。」
『・・・そりゃお前が方向音痴ってだけじゃねーのか?』
広大な赤司邸の一室を与えられた律は、早速高野とスマホで通信をしていた。
いわゆるテレビ電話だ。
目的は、無事に到着したという報告。
だが本当は高野と話をして、安心したかった。
赤司はこの上ないもてなしをしてくれるし、黒子もいる。
だけどやはり高野と遠く離れた場所にいるのは、心細かった。
「方向音痴じゃないですよ。本当に広いお宅なんです。」
『わかった。そういうことにしておこう』
「本当にすごいんですから」
律はスマホに向かって、連呼する。
画面の中の高野は『そうか』と苦笑していた。
「さっきまで青峰君の奥様が、黒子君に会いに来てたんですよ。」
『ああ、桃井さんって人か』
「はい。すごい美人でした。でもテツ君、テツ君って、黒子君にベタベタくっついてました。」
『へぇ』
「あとモデルの黄瀬涼太!この人も黒子っち~!って桃井さんと黒子君の奪い合いで」
『モテるんだな。黒子君。』
「あと紫原君っていう大きい人。氷室さんと遠距離恋愛中だそうで。」
『氷室さんの恋人か』
「はい。あと緑間君って人が、なぜかタヌキの置物抱えてて」
『ああ、ラッキーアイテム好きっていう人だな』
律はとにかくテンション高く話し続けた。
高野は黙って聞いてくれている。
だけど高野は、本当は律が悩んでいることを見抜いているはずだ。
そしてあえてそれに触れることなく、律の言葉に1つ1つ答えてくれる。
「高野さん」
『何だ』
「今夜、黒子君に話をしようと思います。」
『隠しておくっていう選択肢もあると思うけど』
「いえ、話します。」
そう、律と高野には、黒子と火神たちに隠している「秘密」がある。
日本を出る時に一生誰にも言わないと決めて、死ぬまで日本に絶対に戻らないつもりだった。
だけど黒子や火神と出会ったことで、その決意も変わったのだ。
逃げずに前に進む。
そのためには黒子に「秘密」を打ち明け、許してもらわなければならない。
黒子にとっては迷惑な話だろうが、それが律なりのけじめになる。
「本当に黒子君にはお世話になりっぱなしです。」
律がそう告げると、スマホの中の高野が『そうだな』と答えた。
黒子が「秘密」を知って律を見限っても、律にはまだ高野がいる。
そう思うだけで、勇気づけられた。
律はスマホに向かって、連呼する。
画面の中の高野は『そうか』と苦笑していた。
律と黒子はアメリカを発ち、日本に到着した。
成田空港には赤司自らが迎えに来ており、2人は赤司邸に直行した。
その道中、律はとにかく驚きっぱなしだった。
2人が乗せられたのは、赤司家の所有だというリムジンだった。
車内はサロン風になっており、バーカウンターや冷蔵庫がついている。
走行も、本当に走っているのかと疑ってしまうほど静かで、振動もない。
そして冷たい飲み物が振る舞われて、長時間の飛行機で凝り固まった身体が解れる。
そうこうしているうちに、赤司邸に到着したのだった。
「赤司君のお宅、本当に広いんです。」
『そうか』
「2回も迷子になったんです。」
『・・・そりゃお前が方向音痴ってだけじゃねーのか?』
広大な赤司邸の一室を与えられた律は、早速高野とスマホで通信をしていた。
いわゆるテレビ電話だ。
目的は、無事に到着したという報告。
だが本当は高野と話をして、安心したかった。
赤司はこの上ないもてなしをしてくれるし、黒子もいる。
だけどやはり高野と遠く離れた場所にいるのは、心細かった。
「方向音痴じゃないですよ。本当に広いお宅なんです。」
『わかった。そういうことにしておこう』
「本当にすごいんですから」
律はスマホに向かって、連呼する。
画面の中の高野は『そうか』と苦笑していた。
「さっきまで青峰君の奥様が、黒子君に会いに来てたんですよ。」
『ああ、桃井さんって人か』
「はい。すごい美人でした。でもテツ君、テツ君って、黒子君にベタベタくっついてました。」
『へぇ』
「あとモデルの黄瀬涼太!この人も黒子っち~!って桃井さんと黒子君の奪い合いで」
『モテるんだな。黒子君。』
「あと紫原君っていう大きい人。氷室さんと遠距離恋愛中だそうで。」
『氷室さんの恋人か』
「はい。あと緑間君って人が、なぜかタヌキの置物抱えてて」
『ああ、ラッキーアイテム好きっていう人だな』
律はとにかくテンション高く話し続けた。
高野は黙って聞いてくれている。
だけど高野は、本当は律が悩んでいることを見抜いているはずだ。
そしてあえてそれに触れることなく、律の言葉に1つ1つ答えてくれる。
「高野さん」
『何だ』
「今夜、黒子君に話をしようと思います。」
『隠しておくっていう選択肢もあると思うけど』
「いえ、話します。」
そう、律と高野には、黒子と火神たちに隠している「秘密」がある。
日本を出る時に一生誰にも言わないと決めて、死ぬまで日本に絶対に戻らないつもりだった。
だけど黒子や火神と出会ったことで、その決意も変わったのだ。
逃げずに前に進む。
そのためには黒子に「秘密」を打ち明け、許してもらわなければならない。
黒子にとっては迷惑な話だろうが、それが律なりのけじめになる。
「本当に黒子君にはお世話になりっぱなしです。」
律がそう告げると、スマホの中の高野が『そうだな』と答えた。
黒子が「秘密」を知って律を見限っても、律にはまだ高野がいる。
そう思うだけで、勇気づけられた。
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