Weather Soul
今日からうちで一緒に暮らすことになった。
ある日、父親は1人の少年を連れ帰り、そう言った。
それを聞いた火神は思わず「ハァァ!?」と声を上げていた。
火神大我は、世に言う御曹司である。
父親は貿易会社を経営しており、個人の年収は億の単位。
だから金銭的にはかなり恵まれた生活を送っている。
母親は火神が物心がつく頃には、もういなかった。
病気で亡くなったと聞いたが、ほとんど覚えていない。
だから父親と2人暮らしだ。
都心の超高級高層マンションの最上階、広さもロケーションも利便性もいい、いわゆる億ション。
父は多忙で忙しかったが、通いの使用人がいたから問題なかった。
それなりに可愛がってくれたので、母がいないことを寂しいと思うこともなかった。
火神が高校に上がる頃には、父親は外泊が増えた。
というか、帰宅はだいたい週に1、2度というペース。
むしろここにやって来るという感じだ。
仕事が忙しいのか、それとも恋人でもいるのか。
だが火神にとっては、どちらでもよかった。
父も独身なので、恋愛くらいしたってかまわない。
もしも再婚などということになったら、火神がここを出るべきだろう。
そんなある日のことだった。
父は2週間振りに帰宅するなり「会わせたい人間がいる」と言った。
どうやらドアの外まで来ているらしい。
ついに父の恋人を紹介されるのか。
火神は好奇心を押し隠しながら「いいぜ」と答えた。
だが父が招き入れたのは、予想外の人物だった。
子供?
火神は思わずそんな声を上げてしまう。
父が連れてきたのは、中学生くらいの少年だった。
そして不思議そうな目で火神を見上げてくる。
父は少年に「息子の大我だ」と教えている。
そして火神の方に向き直ると「今日からうちで一緒に暮らすことになった」と告げた。
ハァァ!?
火神は思わず大きな声を上げてしまう。
いや、ここは妙齢の女性が登場するパターンだろ?
まさかこの子供が、オヤジの恋人?
混乱する火神に、少年は「黒子テツヤです」と頭を下げた。
それじゃ、オレはまだやることがあるから。
父親はそう告げると、部屋を出て行ってしまった。
火神はまたしても「ハァァ!?」と叫んだ時には、もういない。
かくして広いマンションには、火神と少年が2人きりになった。
あ~、と、その。
火神は困惑しながらも、どうしたものかと考える。
名前しかわからない少年をどうしたらいいのか。
しかも父親は泊めるのではなく、一緒に暮らすと言った。
父は滅多に帰って来ないのだから、実質この名前しかわからない少年と2人暮らしになるのだ。
空いているお部屋があると聞いたので、そこを使わせてください。
あと一通り、間取りの説明をして下さると助かります。
戸惑う火神に、黒子と名乗った少年はそう言った。
この状況下で、大学生の火神よりもよほど落ち着いている。
じゃあ、部屋はこっち。
火神は黒子を空き部屋に案内する。
そして「荷物は後から来るのか?」と聞いた。
黒子は小さなスポーツバックを1つ持っているだけだったからだ。
おそらくまだ中学生くらいだし、学校の道具だけでもかなりの量だろう。
この部屋には収納も多くないし、何か考えてやらないといけない。
そんなことを考えた火神に、黒子は意外なことを言い出した。
荷物はこれだけですけど。
黒子がスポーツバックを指さして、そう言った。
これだけ?少なくねーか?制服とか教科書とかは?
火神が聞き返すと、黒子は首を傾げる。
そして「ボク、もう成人してるんですけど」と告げた。
ハァァ!?なんだと~!?
火神は思い切り叫んだ後「お前、何年生まれ?」と聞く。
そしてこの中学生にしか見えない少年が、自分と同じ年齢だと知った。
まさか愛人に産ませた子供だったりするか?
火神は一瞬、そんなことを考えた。
だが黒子はどうやって火神の思考を読んだのか「ボク、君の兄弟とかではありません」と言った。
お前、エスパーか?
火神は声を上げながら、釈然としない気持ちを拭えなかった。
この少年のような男はいったい何者で、なぜ父は一緒に暮らすなどと言い出したのだろう?
ある日、父親は1人の少年を連れ帰り、そう言った。
それを聞いた火神は思わず「ハァァ!?」と声を上げていた。
火神大我は、世に言う御曹司である。
父親は貿易会社を経営しており、個人の年収は億の単位。
だから金銭的にはかなり恵まれた生活を送っている。
母親は火神が物心がつく頃には、もういなかった。
病気で亡くなったと聞いたが、ほとんど覚えていない。
だから父親と2人暮らしだ。
都心の超高級高層マンションの最上階、広さもロケーションも利便性もいい、いわゆる億ション。
父は多忙で忙しかったが、通いの使用人がいたから問題なかった。
それなりに可愛がってくれたので、母がいないことを寂しいと思うこともなかった。
火神が高校に上がる頃には、父親は外泊が増えた。
というか、帰宅はだいたい週に1、2度というペース。
むしろここにやって来るという感じだ。
仕事が忙しいのか、それとも恋人でもいるのか。
だが火神にとっては、どちらでもよかった。
父も独身なので、恋愛くらいしたってかまわない。
もしも再婚などということになったら、火神がここを出るべきだろう。
そんなある日のことだった。
父は2週間振りに帰宅するなり「会わせたい人間がいる」と言った。
どうやらドアの外まで来ているらしい。
ついに父の恋人を紹介されるのか。
火神は好奇心を押し隠しながら「いいぜ」と答えた。
だが父が招き入れたのは、予想外の人物だった。
子供?
火神は思わずそんな声を上げてしまう。
父が連れてきたのは、中学生くらいの少年だった。
そして不思議そうな目で火神を見上げてくる。
父は少年に「息子の大我だ」と教えている。
そして火神の方に向き直ると「今日からうちで一緒に暮らすことになった」と告げた。
ハァァ!?
火神は思わず大きな声を上げてしまう。
いや、ここは妙齢の女性が登場するパターンだろ?
まさかこの子供が、オヤジの恋人?
混乱する火神に、少年は「黒子テツヤです」と頭を下げた。
それじゃ、オレはまだやることがあるから。
父親はそう告げると、部屋を出て行ってしまった。
火神はまたしても「ハァァ!?」と叫んだ時には、もういない。
かくして広いマンションには、火神と少年が2人きりになった。
あ~、と、その。
火神は困惑しながらも、どうしたものかと考える。
名前しかわからない少年をどうしたらいいのか。
しかも父親は泊めるのではなく、一緒に暮らすと言った。
父は滅多に帰って来ないのだから、実質この名前しかわからない少年と2人暮らしになるのだ。
空いているお部屋があると聞いたので、そこを使わせてください。
あと一通り、間取りの説明をして下さると助かります。
戸惑う火神に、黒子と名乗った少年はそう言った。
この状況下で、大学生の火神よりもよほど落ち着いている。
じゃあ、部屋はこっち。
火神は黒子を空き部屋に案内する。
そして「荷物は後から来るのか?」と聞いた。
黒子は小さなスポーツバックを1つ持っているだけだったからだ。
おそらくまだ中学生くらいだし、学校の道具だけでもかなりの量だろう。
この部屋には収納も多くないし、何か考えてやらないといけない。
そんなことを考えた火神に、黒子は意外なことを言い出した。
荷物はこれだけですけど。
黒子がスポーツバックを指さして、そう言った。
これだけ?少なくねーか?制服とか教科書とかは?
火神が聞き返すと、黒子は首を傾げる。
そして「ボク、もう成人してるんですけど」と告げた。
ハァァ!?なんだと~!?
火神は思い切り叫んだ後「お前、何年生まれ?」と聞く。
そしてこの中学生にしか見えない少年が、自分と同じ年齢だと知った。
まさか愛人に産ませた子供だったりするか?
火神は一瞬、そんなことを考えた。
だが黒子はどうやって火神の思考を読んだのか「ボク、君の兄弟とかではありません」と言った。
お前、エスパーか?
火神は声を上げながら、釈然としない気持ちを拭えなかった。
この少年のような男はいったい何者で、なぜ父は一緒に暮らすなどと言い出したのだろう?
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