大事なお守りなんだよ
「テツ君、それ、かわいい~♪」
黒子の携帯電話についているストラップを見て、桃井が声を上ずらせた。
細いチェーンの先には、小さな犬の形のマスコットがついていたからだ。
「これって特注品だよねぇ?」
桃井は黒子から携帯電話ごと受け取ると、マジマジとマスコットを見た。
それは単にテツヤ2号にそっくりというだけではない。
誠凛高校バスケ部のユニフォームを着ており、しかも背番号16を付けている。
偶然似ているなんてことは、絶対にありえない代物だった。
「はい。3Dプリンターを使ったサービスだそうです。」
黒子は返してもらった携帯電話をポケットにしまいながら、そう答えた。
とあるネットのサイトで、見つけたのだ。
前後左右から撮影した4枚の写真を送れば、そっくりなフィギュアが作れるという。
そこでテツヤ2号のマスコットを作って、チェーンを通して、携帯ストラップにした。
どこにも売っていない、オリジナル作品だ。
「でもなんか意外。テツ君ってこういうことするんだ。」
「そうですか?」
「2号君をかわいがってるのは知ってるし、これもかわいいけど。でもらしくない感じ」
「確かにそうですね。」
黒子は桃井の言葉はもっともだと思う。
こういうのは、自分のキャラじゃない。
多分彼が渡米するなんてことがなければ、考えもしなかっただろう。
「あ、これ、写真。」
桃井が思い出したように、カバンから封筒を出して、差し出した。
黒子の誕生日に、久しぶりに「キセキの世代」が集まって撮影したものだ。
桃井はわざわざそれを届けるために、誠凛高校の近くまで来てくれたのだ。
黒子は「ありがとうございます」とていねいに頭を下げて、受け取った。
「そういえば木吉さんって、アメリカで足の手術を受けるんだって?」
「相変わらず、よく知ってますね。」
黒子は桃井の情報収集能力に感嘆しながら、封筒から写真を取り出して、見た。
中学の頃、欠けてしまった何かを確かに取り戻した証。
黒子はそれを丁寧な動作で封筒に戻し、カバンにしまう。
「テツ君、それじゃまたね。次は負けないから」
「ボクも負けません。青峰君によろしくお伝えください。」
2人は再会を誓うと、手を振って別れた。
そして黒子は、ふと空を見上げた。
今頃まさに彼は空の彼方に旅立とうとしているのだ。
また彼と一緒にバスケがしたいという願いを込めて、黒子は静かに空を見上げていた。
黒子の携帯電話についているストラップを見て、桃井が声を上ずらせた。
細いチェーンの先には、小さな犬の形のマスコットがついていたからだ。
「これって特注品だよねぇ?」
桃井は黒子から携帯電話ごと受け取ると、マジマジとマスコットを見た。
それは単にテツヤ2号にそっくりというだけではない。
誠凛高校バスケ部のユニフォームを着ており、しかも背番号16を付けている。
偶然似ているなんてことは、絶対にありえない代物だった。
「はい。3Dプリンターを使ったサービスだそうです。」
黒子は返してもらった携帯電話をポケットにしまいながら、そう答えた。
とあるネットのサイトで、見つけたのだ。
前後左右から撮影した4枚の写真を送れば、そっくりなフィギュアが作れるという。
そこでテツヤ2号のマスコットを作って、チェーンを通して、携帯ストラップにした。
どこにも売っていない、オリジナル作品だ。
「でもなんか意外。テツ君ってこういうことするんだ。」
「そうですか?」
「2号君をかわいがってるのは知ってるし、これもかわいいけど。でもらしくない感じ」
「確かにそうですね。」
黒子は桃井の言葉はもっともだと思う。
こういうのは、自分のキャラじゃない。
多分彼が渡米するなんてことがなければ、考えもしなかっただろう。
「あ、これ、写真。」
桃井が思い出したように、カバンから封筒を出して、差し出した。
黒子の誕生日に、久しぶりに「キセキの世代」が集まって撮影したものだ。
桃井はわざわざそれを届けるために、誠凛高校の近くまで来てくれたのだ。
黒子は「ありがとうございます」とていねいに頭を下げて、受け取った。
「そういえば木吉さんって、アメリカで足の手術を受けるんだって?」
「相変わらず、よく知ってますね。」
黒子は桃井の情報収集能力に感嘆しながら、封筒から写真を取り出して、見た。
中学の頃、欠けてしまった何かを確かに取り戻した証。
黒子はそれを丁寧な動作で封筒に戻し、カバンにしまう。
「テツ君、それじゃまたね。次は負けないから」
「ボクも負けません。青峰君によろしくお伝えください。」
2人は再会を誓うと、手を振って別れた。
そして黒子は、ふと空を見上げた。
今頃まさに彼は空の彼方に旅立とうとしているのだ。
また彼と一緒にバスケがしたいという願いを込めて、黒子は静かに空を見上げていた。
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