朝帰り

「ただいま。。。」
火神は恐る恐るマンションの扉を開けた。
もうすっかり夜は明け、リビングには朝日が差し込んでいた。

昨晩、火神は出かけていた。
久々にアレックスが来日しており、氷室も含めて3人で飲んだのだ。
楽しい夜だった。
昔の思い出話に花が咲き、酒も料理も美味かった。
思いのほか盛り上がり、結局朝まで飲み明かしてしまったのだ。

だが朝になって、我に返った。
黒子に何の連絡もしていないのだ。
心配をかけてしまったかもしれない。
いや怒っているか?
まさか浮気の心配などしていないと思うが。

重い足取りで帰宅し、様子をうかがう。
するとリビングのソファに座っていた黒子が顔を上げた。
膝の上には開いた文庫本。
どうやら読書の最中だったらしい。

「悪い。遅くなった。その。」
火神は言い訳がましく言葉を紡ぎながら、何とも居心地が悪かった。
結果的に無断外泊してしまったことが、後ろめたいのだ。
嫌味の1つでも飛んでくるか。
覚悟を決めた火神だったが、黒子のリアクションは予想外のものだった。
1/2ページ