秋バテのせいにしてしまえば問題ない

「秋バテ、ですか」
黒子はベットに横たわったまま、ポツリと呟く。
だけど声は誰に届くこともなく、エアコンの音にかき消された。

今年の夏はおかしかった。
異常な早さで梅雨明けし、6月のうちに気温35度超えの猛暑日が来た。
そして猛暑が続いたと思えば、梅雨に戻ったかのような雨があったりする。
気温が下がった日でも、湿度が高かった。
とにかく身体に厳しい夏だったのだ。

それでも何とか夏を耐え抜き、今は9月。
まだまだ残暑は厳しいが、朝夕はかなり秋らしくなってきた。
黒子が体調を崩したのは、そんな時だった。

とにかく身体がだるいのだ。
それに少し何かをすれば、すぐ疲れてしまう。
そして今日はもう、起きているだけでつらいので、ベットで過ごしている。
暑さもピークを過ぎ、過ごしやすくなってきたと思うのに。

単に夏バテ?それとももしかして大きな病気?
何となく不安になった黒子は、スマホでネット検索をした。
そして行き着いたのが「秋バテ」という言葉だった。

秋バテ。
夏の暑さもやわらぎ、涼しくなってきたのに、身体の調子が悪くなるという。
夏の間に冷房の部屋に長くいたり、秋の天候による気圧の変化でなるらしい。
また冷房の当たり過ぎも悪いみたいだ。
黒子は「これだ」と確信した。
心当たりがあり過ぎる。
症状もだるいとか疲れやすいとか、今の黒子の状況そのものだ。
対策を見れば、規則正しく食事し、寝て、運動することとある。
何て単純なと思ったけれど、むしろそれで済むのは御の字だ。

規則正しい生活するなら、とりあえず起きた方がよさそうだ。
黒子はそう思ったが、だるさだけはどうしようもない。
火神はまだ戻らないようだし、もう少し寝よう。
黒子はそのまま目を閉じ、睡魔に身を任せた。
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