あの雨の日に
「よ~し、じゃあ振り分けるぞ。」
主将の日向の掛け声とともに、全員が輪になった。
その日、天気予想は大きく外れた。
一日晴天という予報に反して、雨が降り始めたのだ。
誠凛高校バスケットボール部の練習がちょうど終わった時間だった。
ようやく帰れるところで、予想外のしかも激しい雨。
誰も傘など持ってきていない。
だから部室に置きっぱなしになっている、所有者不明のビニール傘をかき集めた。
見つかった傘は6本だった。
家が近い者を2人1組にして、傘を割り振ることにした。
少しでも部員たちが雨に濡れないようにという作戦だ。
だがそのときになって、バスケ部名物のあのセリフが出る。
「あれ、黒子は?」
言い出したのは火神だった。
部員の中で一番影が薄い少年の姿は、部室から忽然と消えている。
ダジャレ好きのPG、伊月が「どうせその辺にいるだろ?」と応じた。
部員たちはキョロキョロと辺りを見回す。
だが部室に、黒子の姿はなかった。
「また、あいつは!」
黒子は目を離すと、すぐに消えるという特技を持つのだ。
日向が携帯電話を取り出すと、黒子の番号を表示させて通話ボタンを押す。
電話はすぐにつながった。
「黒子、もう学校を出てるって。」
「何だ、あいつ。傘を持ってたのか。」
「それにしても、よく消えるよな。」
部員たちは口々にそう言いながら、急遽編成された傘チームに別れると、部室を出た。
主将の日向の掛け声とともに、全員が輪になった。
その日、天気予想は大きく外れた。
一日晴天という予報に反して、雨が降り始めたのだ。
誠凛高校バスケットボール部の練習がちょうど終わった時間だった。
ようやく帰れるところで、予想外のしかも激しい雨。
誰も傘など持ってきていない。
だから部室に置きっぱなしになっている、所有者不明のビニール傘をかき集めた。
見つかった傘は6本だった。
家が近い者を2人1組にして、傘を割り振ることにした。
少しでも部員たちが雨に濡れないようにという作戦だ。
だがそのときになって、バスケ部名物のあのセリフが出る。
「あれ、黒子は?」
言い出したのは火神だった。
部員の中で一番影が薄い少年の姿は、部室から忽然と消えている。
ダジャレ好きのPG、伊月が「どうせその辺にいるだろ?」と応じた。
部員たちはキョロキョロと辺りを見回す。
だが部室に、黒子の姿はなかった。
「また、あいつは!」
黒子は目を離すと、すぐに消えるという特技を持つのだ。
日向が携帯電話を取り出すと、黒子の番号を表示させて通話ボタンを押す。
電話はすぐにつながった。
「黒子、もう学校を出てるって。」
「何だ、あいつ。傘を持ってたのか。」
「それにしても、よく消えるよな。」
部員たちは口々にそう言いながら、急遽編成された傘チームに別れると、部室を出た。
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