違法アップロードは許しません?

「ひゃああ~」
パソコン画面を凝視していたセナは、情けない悲鳴を上げる。
それを聞きつけたヒル魔が「何だ?」とセナの後ろから覗き込んだ。

現在NFLはシーズンオフ。
日本に帰国中のセナとヒル魔はホテルに滞在していた。
都内某所の高級ホテルのスィートルーム。
その広いリビングにちんまりと座り込んだセナは、パソコンを見ていた。
正確にはパソコンの画面に映し出される動画をだ。

誰でも自由に動画をアップできる超有名サイト。
セナはその中に10年前の自分を見つけたのだ。
泥門デビルバッツ VS 恋ヶ浜キューピッドのラスト20秒。
それはセナが生まれて初めて、アメフトの試合に出場した映像だった。

「これはひどい。。。。。。」
「あ?ひどいか?」
「僕1人だけ、すごく小さいです。。。」
「身長低いし、筋肉もほぼゼロだもんな。」
「しかも運動靴、履いてます。。。」
「テメー、この当時、アメフトのことは何にも知らなかったもんな。」

セナは改めて見る10年前の自分に呆然自失状態だ。
高校に入ったばかりの自分は、とにかく小さい。
大人の中に1人、幼児がまぎれ込んだような感じなのだ。
色付きのアイシールドで、童顔が隠せてはいる。
だが態度はオドオド、しかもまさかの運動靴。
とにかくビジュアルが情けなさ過ぎた。

「今さらガッカリするか?」
「改めて映像で見せつけられると、やっぱり落ち込みますよ。」

セナはガックリと肩を落とす。
だがヒル魔は「ケケケ」と高笑いしていた。
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