リセット

シャワーを浴びて、バスルームを出ようとしたセナはふと考え込んだ。
こういう時、下着やナイトウェアを身に着けるのはどうなんだろう?

どうせこの後、彼に抱かれることはわかりきっている。
だからきっちりと下着を身に着けるのは、なんだかわざとらしい気がする。
どうせ脱ぐものをわざわざ着る必要などないし、彼に脱がされるのを楽しんでいるようで恥ずかしい。
かと言って、裸のままでいるのはあまりにも露骨で身も蓋もないような気がするのだ。
だから昨日はバスローブだけ羽織っていたのだが、何だかそれも正解という気はしない。

それにもう1つ、最近悩んでいることがある。
情事の最中って、目はどうすればいいのだろう。
多分昔は閉じていたと思う。
でもある時ふと目を開けたら、そこにあったのは彼から漂う男の色香。
そしてその彼に自分がどういう体勢で、どうされているのかが露骨に見えてしまった。
慌てて目をギュッと閉じたら、彼に「その顔、萎える」と言われてしまったのだ。
以来セナは目を開けたらいいのか、閉じればいいのか、わからなくなってしまった。

こんな感じでセナは最近彼に抱かれるとき、何かにつけては考え込んでしまうようになっていた。
このままではいつか呼吸さえ出来なくなるのではないか。
それに機械人形のように、ギクシャクとぎこちない動きのセナに彼が何も気づかないはずはない。
どうしよう。どうすれば。セナは懸命にその答えを捜し出そうとしていた。
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