あの雨の日、再び

中坊ら1年生部員たちは、雨の中で黙々と練習していた。

昨日は春の大会の最後の試合だった。
泥門デビルバッツは東京代表の座を勝ち取り、関東大会に進んだ。
奇しくもその初戦は、昨年秋の初戦と同じカード。
泥門は、神奈川代表である神龍寺ナーガに敗れ去ったのだ。

主将のセナら2年生部員たちは、秋に勝てばいいと割り切っていた。
事実メンバーは、1年生主体で組まれた。
2年生は試合の要所で、ワンポイントという形でしか出場していない。
特に主将のセナと副主将の十文字はほとんどベンチで、ずっと作戦のサインを出していた。
それが3年生はすでに引退しており、2年生部員は極端に少ない泥門デビルバッツの春の戦略。
手の内を隠し、1年生を強化し、新しい戦術をいくつか試す。
つまりこの大会の勝ちよりも秋の大会、つまりクリスマスボウルへの道を優先したのだった。

ほとんど1年生だけで東京代表になれたってすごいことだよ、とセナは笑った。
秋に勝てばいいんだって、と十文字たちも励ましてくれた。
それでもやっぱり負けたのは悔しい。

試合翌日は雨だった。
放課後の部活は試合の反省会だけで終了した。
あの神龍寺を相手に戦ったのだ。疲れも筋肉痛も取れていない。
みんな、ゆっくり身体を休めてね、とセナが締めくくり、解散となった。
だがその後、1年生たちは誰も帰宅することなく、道具を出して自主練習を始めたのだった。
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