テイスティング

さぁ、ど~れだ♪
鈴音が歌うようにそう宣言する。

並べられた3つの紙コップ。
中味はいずれもコーヒーで、量もまったく同じものだ。
同じコーヒー豆を同量使っているから、色も香りも違いがわからない。
カジノテーブルで例によってノートパソコンを操作していたヒル魔が、片眉を上げた。

ヒル魔は無造作に右端のカップを取り、ガブリと一口飲む。
次に真ん中、最後に左端。
3つのカップで同じ所作を繰り返したヒル魔は、最後のカップを取って「これだ」と笑う。

すごい!やっぱり違うんだ。
鈴音とまもりは顔を見合わせて、驚きの表情を浮かべた。
ヒル魔はそ知らぬ顔で、選んだコーヒーを飲み干した。
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