グレてやる

ヒル魔さん。
セナの呼びかけに「ああ?」と答えるヒル魔の声は、かなりの眠気を含んでいた。
おそらくセナ以外の人間は聞いたこともないであろう穏やかな声だ。

2回目の挑戦であるクリスマスボウルまでは、セナの方が多忙だった。
ヒル魔たちの学年が去って、デビルバッツが弱くなったなどと言われたくない。
練習、データの分析、作戦の立案。
寝る時間以外はすべてアメフト一色、クリスマスボウル一直線だった。

対して部を引退したヒル魔は、時間には余裕があった。
アメフトについては、相談には乗ってくれたし、必要とあらば練習の手伝いをしてくれたりした。
だが決してセナたちのやり方に口を出すことはなかった。
ヒル魔は黙々と自主トレをしつつ、次のステージへの準備をしているようだった。

そんなヒル魔が、しばしばセナを求めることがあった。
疲れているから、眠いから、許してとセナは本気で拒否したのだが、敵うはずもない。
結局あられもない姿にされて、暴かれて、貪られて。
ヒル魔なりに一応気を使っているようで、そういうのは練習がない日の前夜に限定されてはいた。
だが結局クリスマスボウルまで、セナはいつも疲れていたような気がする。
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