ノートルダムの夜

12月20日、朝10時。
セナの携帯電話には、続々とメールが届く。
メールはアメフトを通して知り合った仲間たちからのもの。
簡潔に用件だけのメールもあれば、近況をていねいに綴ったもの。
絵文字で飾られたものや、写真がついているものもある。
すべてのメールには「誕生日、おめでとう」と書かれていた。
そうか、日本は今ちょうど日付が変わったんだ。
大量のメール受信に驚いたセナは、それらを読んで納得する。

ノートルダムへの留学中のセナは、18歳の誕生日をアメリカで迎える。
本当は少しだけでも一時帰国したかった。
誕生日のことだけではない。
後輩たちのクリスマスボウルをスタジアムで生で見たい。
そして大学でプレーする先輩たちの試合も見たい。

でもただでさえ短い留学期間、しかも大学受験のために1回は帰国しなくてはならない。
それに本場で少しでも多く練習したいし、その合間に受験勉強の時間もひねり出さなくてはいけない。
どう考えても年内の帰国は無理だった。
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