シュークリームトリック
これ、皆で食べようと思って~♪
栗田は満面の笑みで大量のシュークリームを入れた箱をカジノテーブルにどさりと置いた。
「すごい数ですね。どうしたんですか?」
セナは紅茶を入れながら、聞いた。
マネージャーのまもりと形ばかりとはいえ主務であるセナが皆の分の飲み物を用意している。
「檀家さんからいただいたんだ。半分くらいは僕が食べちゃったんだけど。残りを持ってきたんだ。」
1つ1つが大きくてボリュームがあるシュークリーム。これだけで数十個はありそうなんだけど。半分かぁ。。。
セナは改めて栗田の底なし胃袋に呆然とする。
練習前の部室は、午後のお茶会と化した。
皆が楽しげにシュークリームを口に運びながら談笑する。
ただ一人ヒル魔だけは甘い匂いに顔を顰めながら、皆と離れた場所でノートパソコンを叩いていた。
部室の改装だとヒル魔に呼ばれたムサシが、大工姿で訪れたとき。
ちょうど部室から出てくるセナと出くわした。
「ムサシさん。こんにちは。シュークリームありますよ。」
ニコニコと笑うセナの口の端にクリームが付いているのを見て苦笑する。
じゃ、ヒル魔さん。先に練習に行きますね~とセナはグラウンドに出て行った。
部室に残っていたのはヒル魔だけだった。他の部員はもう練習に出ている。
今まであのチビと二人だったのか。不意にムサシの心に悪戯心が湧いてくる。
「顔にクリームついてるぞ、ヒル魔」
ヒル魔の顔に微かに狼狽の色が浮かんだ。
でも事も無げに、あ?と言いながら左頬を長い指で拭う。
「顔としか言わなかったのに、よくそこだってわかったな。」
ヒル魔がポカンとした表情になった。クリームなど最初からついていないのだ。
シュークリームなど絶対に口にする筈のないヒル魔の今の行動の意味に。
ムサシが吹き出す。ヒル魔は顔を顰めて眉根を寄せた。
部員たちは部室から漏れ聞こえてくるムサシの大きな笑い声に首を傾げた。
【終】
栗田は満面の笑みで大量のシュークリームを入れた箱をカジノテーブルにどさりと置いた。
「すごい数ですね。どうしたんですか?」
セナは紅茶を入れながら、聞いた。
マネージャーのまもりと形ばかりとはいえ主務であるセナが皆の分の飲み物を用意している。
「檀家さんからいただいたんだ。半分くらいは僕が食べちゃったんだけど。残りを持ってきたんだ。」
1つ1つが大きくてボリュームがあるシュークリーム。これだけで数十個はありそうなんだけど。半分かぁ。。。
セナは改めて栗田の底なし胃袋に呆然とする。
練習前の部室は、午後のお茶会と化した。
皆が楽しげにシュークリームを口に運びながら談笑する。
ただ一人ヒル魔だけは甘い匂いに顔を顰めながら、皆と離れた場所でノートパソコンを叩いていた。
部室の改装だとヒル魔に呼ばれたムサシが、大工姿で訪れたとき。
ちょうど部室から出てくるセナと出くわした。
「ムサシさん。こんにちは。シュークリームありますよ。」
ニコニコと笑うセナの口の端にクリームが付いているのを見て苦笑する。
じゃ、ヒル魔さん。先に練習に行きますね~とセナはグラウンドに出て行った。
部室に残っていたのはヒル魔だけだった。他の部員はもう練習に出ている。
今まであのチビと二人だったのか。不意にムサシの心に悪戯心が湧いてくる。
「顔にクリームついてるぞ、ヒル魔」
ヒル魔の顔に微かに狼狽の色が浮かんだ。
でも事も無げに、あ?と言いながら左頬を長い指で拭う。
「顔としか言わなかったのに、よくそこだってわかったな。」
ヒル魔がポカンとした表情になった。クリームなど最初からついていないのだ。
シュークリームなど絶対に口にする筈のないヒル魔の今の行動の意味に。
ムサシが吹き出す。ヒル魔は顔を顰めて眉根を寄せた。
部員たちは部室から漏れ聞こえてくるムサシの大きな笑い声に首を傾げた。
【終】
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