銀色の欠片

盤戸戦でアイシールド21の正体を明かしてから、セナの人気はすごい。
フィールドで見せる光速の走。可愛らしい顔立ちと小さな身体。
そのギャップが受けるのだろう、とヒル魔は思っている。

関東大会で勝ち進むたびに、増えていくファン。
クリスマスボウルで勝利した後、その数はさらに増えた。
そしてその日も。セナはまた女子生徒に呼び出されて告白されていた。

僕なんかにそんなに言ってくれてありがとう。ごめんなさい。
セナはいつも不自然なほどの丁寧さで、相手に感謝し、詫びる。
基本的に生真面目で律儀で、自分がヒーローなどという自覚がないのだ。
ヒル魔はいつもそんなセナを何も言わずに見守ってきた。

それは本当にいつものことだった。
なのにその日に限って、何故かヒル魔をひどく苛立たせていた。
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