ひなあられ
ええと、あとはマルコくんのコーラ。。。
あ、必ず瓶って書いてある。ただでさえもう重くて限界なのに。
セナはカゴを抱えてため息をついた。
セナは世界大会のためにアメリカにいる。
散歩がてら外出しようとしたら、他のメンバーに大量の買い物を頼まれた。
かくしてセナはおやつや飲み物などの品目をぎっしりと書き込まれたメモを手に出かけてきた。
最後はヒル魔の無糖ガムだ。
だがガムが並んでいる棚を眺め回しても、あの見慣れたパッケージはない。
そもそも日本のコンビニでさえ置いている店が少ないのだ。
店員さんに聞いてみよう。
えーと英語で。ノーシュガーガムで通じるかなぁ?
そんなことを考えながら恐る恐るレジに向かうセナは。
途中であるものを見つけて、思わず顔を綻ばせた。
ひなあられ。そっかひな祭り。アメリカでも売ってるんだ。
セナはそれを手に取って感慨にふける。
鈴音もまもりもこの遠征に同行している。
実際に試合に出るわけでもないのに尽くしてくれる彼女たちのために。
セナはひなあられの袋もカゴに放り込んだ。
はい、これ。
買ってきたものを皆に配り終えた後。
セナはホテルの廊下で鈴音を見つけて、それを差し出した。
うわぁ、ありがとう。今年は諦めてたのよ、ひなあられ。
鈴音の弾けるような笑顔にセナも破顔する。
んで、糞チビ。俺の無糖ガムは?
後ろから声をかけられて、セナはハッとする。
ひなあられでテンションが上がって、すっかり忘れてた。
そして恐る恐る振り返ったセナはマシンガンを構えたヒル魔の姿を見つけて、震え上がった。
ひなあられだって。
世界大会の最中の大変な時なのに、私やまも姉にまで気を使ってくれるなんて。
セナとヒル魔の攻防を横目に見ながら、鈴音は微笑する。
セナが今、誰を好きなのかわかってる。それが鈴音ではないことも。
でも鈴音はこういうセナの優しさは好きだ。
チャンスはまだあると思う。諦めない。
ふと気づくと銃声が止んでいる。
どうやらセナは光速の走で逃げ切ったようだ。
残されたヒル魔に向かって、鈴音はニッコリと笑いかけた。
今日のところは私の勝ちだよ。妖ー兄。
今日は楽しいひな祭り。女の子だけでお祝いしよう。
背後でヒル魔の忌々しげな舌打ちが聞こえたが、知らない振りで。
鈴音はひなあられの袋を抱えて、部屋に向かった。
【終】
あ、必ず瓶って書いてある。ただでさえもう重くて限界なのに。
セナはカゴを抱えてため息をついた。
セナは世界大会のためにアメリカにいる。
散歩がてら外出しようとしたら、他のメンバーに大量の買い物を頼まれた。
かくしてセナはおやつや飲み物などの品目をぎっしりと書き込まれたメモを手に出かけてきた。
最後はヒル魔の無糖ガムだ。
だがガムが並んでいる棚を眺め回しても、あの見慣れたパッケージはない。
そもそも日本のコンビニでさえ置いている店が少ないのだ。
店員さんに聞いてみよう。
えーと英語で。ノーシュガーガムで通じるかなぁ?
そんなことを考えながら恐る恐るレジに向かうセナは。
途中であるものを見つけて、思わず顔を綻ばせた。
ひなあられ。そっかひな祭り。アメリカでも売ってるんだ。
セナはそれを手に取って感慨にふける。
鈴音もまもりもこの遠征に同行している。
実際に試合に出るわけでもないのに尽くしてくれる彼女たちのために。
セナはひなあられの袋もカゴに放り込んだ。
はい、これ。
買ってきたものを皆に配り終えた後。
セナはホテルの廊下で鈴音を見つけて、それを差し出した。
うわぁ、ありがとう。今年は諦めてたのよ、ひなあられ。
鈴音の弾けるような笑顔にセナも破顔する。
んで、糞チビ。俺の無糖ガムは?
後ろから声をかけられて、セナはハッとする。
ひなあられでテンションが上がって、すっかり忘れてた。
そして恐る恐る振り返ったセナはマシンガンを構えたヒル魔の姿を見つけて、震え上がった。
ひなあられだって。
世界大会の最中の大変な時なのに、私やまも姉にまで気を使ってくれるなんて。
セナとヒル魔の攻防を横目に見ながら、鈴音は微笑する。
セナが今、誰を好きなのかわかってる。それが鈴音ではないことも。
でも鈴音はこういうセナの優しさは好きだ。
チャンスはまだあると思う。諦めない。
ふと気づくと銃声が止んでいる。
どうやらセナは光速の走で逃げ切ったようだ。
残されたヒル魔に向かって、鈴音はニッコリと笑いかけた。
今日のところは私の勝ちだよ。妖ー兄。
今日は楽しいひな祭り。女の子だけでお祝いしよう。
背後でヒル魔の忌々しげな舌打ちが聞こえたが、知らない振りで。
鈴音はひなあられの袋を抱えて、部屋に向かった。
【終】
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