エメラルドの巫女と愛すべき仲間たち
神官がそんなに険しい顔をしてはいけません。
美しいエメラルドの瞳の巫女が、困ったような顔をしている。
だが神官と呼ばれた男の不機嫌そうな表情は、緩む気配もなかった。
かつてこの国に、怪盗サーガと呼ばれる盗賊がいた。
彼は富める者、特に悪徳で私腹を肥やした者からしか盗まない。
そして盗み取った金品は、貧しい者たちに分け与えるのだ。
だがこの国に神官と巫女が現れたことで、姿を消した。
政治が正しく行なわれるようになって、食うに困るような困窮者がいなくなったからだ。
怪盗サーガは、義賊としての役目を終えたのだ。
この国の人々はそんな風に思っていた。
だが最近また怪盗サーガを名乗る盗賊が現れた。
彼らは盗みのスタイルを大きく変えている。
以前は警備の隙をつき、その裏をかく頭脳戦を主としていた。
無駄な怪我人も出すことなく、盗みだけを見事にやってのけている。
だが最近現れた盗賊は、正反対だ。
力技の荒っぽいやり方で、人を傷つけることも何とも思っていない強引さだ。
ったく、ふざけやがって。
神官こと高野政宗は、王宮内の神への祈りを捧げる部屋でらしからぬ悪態をついた。
人々は新たな怪盗サーガの出現に恐怖している。
その手口があまりにも残忍だからだ。
高野はそのことに強い怒りを感じていた。
これと狙いを定めると、手段を選ばず持っていく。
相手が金持ちだろうが、貧乏だろうがおかまいなしだ。
盗品も金や貴金属などに限定していない。
さほど価値がなさそうな生活用品まで持ち去っていく。
中にはなんと小さな子供まで持っていかれた家もあったのだ。
神官がそんなに険しい顔をしてはいけません。
美しいエメラルドの瞳の巫女が、困ったような顔をしている。
だが神官と呼ばれた男の不機嫌そうな表情は、緩む気配もなかった。
巫女にはその理由がよくわかる。
この高野こそ初代怪盗サーガのリーダーだったからだ。
その頃、この国は一部の王族と貴族だけが豊かな生活をしていた。
他の多くの国民は皆、その日暮らしの生活で餓死者も多かった。
そんな正義感から来る憤りが怪盗サーガ誕生の理由だった。
だからその名を汚された怒りで、高野の表情は強張っている。
巫女は心を預けた相手の願いに共鳴し、それを叶える力がある。
その相手こそ高野であり、神官を名乗る所以だ。
当然怪盗サーガの捕縛を強く願ったが、それは叶わなかった。
巫女は曇りのない心で願ったことしか、聞き届けられない。
私怨がこもった祈りには共鳴できないのだ。
自分で捕まえるしかなさそうだ。
高野はポツリとそう呟いた。
実を言うと、もうずっと神官として大人しくしていた。
そろそろひと暴れしてやりたいと思っていた。
慎重にして下さいね。
巫女は諦めたようなため息まじりに、そう言った。
エメラルド色の瞳は、この男が言い出したら聞かないことをよく知っている。
美しいエメラルドの瞳の巫女が、困ったような顔をしている。
だが神官と呼ばれた男の不機嫌そうな表情は、緩む気配もなかった。
かつてこの国に、怪盗サーガと呼ばれる盗賊がいた。
彼は富める者、特に悪徳で私腹を肥やした者からしか盗まない。
そして盗み取った金品は、貧しい者たちに分け与えるのだ。
だがこの国に神官と巫女が現れたことで、姿を消した。
政治が正しく行なわれるようになって、食うに困るような困窮者がいなくなったからだ。
怪盗サーガは、義賊としての役目を終えたのだ。
この国の人々はそんな風に思っていた。
だが最近また怪盗サーガを名乗る盗賊が現れた。
彼らは盗みのスタイルを大きく変えている。
以前は警備の隙をつき、その裏をかく頭脳戦を主としていた。
無駄な怪我人も出すことなく、盗みだけを見事にやってのけている。
だが最近現れた盗賊は、正反対だ。
力技の荒っぽいやり方で、人を傷つけることも何とも思っていない強引さだ。
ったく、ふざけやがって。
神官こと高野政宗は、王宮内の神への祈りを捧げる部屋でらしからぬ悪態をついた。
人々は新たな怪盗サーガの出現に恐怖している。
その手口があまりにも残忍だからだ。
高野はそのことに強い怒りを感じていた。
これと狙いを定めると、手段を選ばず持っていく。
相手が金持ちだろうが、貧乏だろうがおかまいなしだ。
盗品も金や貴金属などに限定していない。
さほど価値がなさそうな生活用品まで持ち去っていく。
中にはなんと小さな子供まで持っていかれた家もあったのだ。
神官がそんなに険しい顔をしてはいけません。
美しいエメラルドの瞳の巫女が、困ったような顔をしている。
だが神官と呼ばれた男の不機嫌そうな表情は、緩む気配もなかった。
巫女にはその理由がよくわかる。
この高野こそ初代怪盗サーガのリーダーだったからだ。
その頃、この国は一部の王族と貴族だけが豊かな生活をしていた。
他の多くの国民は皆、その日暮らしの生活で餓死者も多かった。
そんな正義感から来る憤りが怪盗サーガ誕生の理由だった。
だからその名を汚された怒りで、高野の表情は強張っている。
巫女は心を預けた相手の願いに共鳴し、それを叶える力がある。
その相手こそ高野であり、神官を名乗る所以だ。
当然怪盗サーガの捕縛を強く願ったが、それは叶わなかった。
巫女は曇りのない心で願ったことしか、聞き届けられない。
私怨がこもった祈りには共鳴できないのだ。
自分で捕まえるしかなさそうだ。
高野はポツリとそう呟いた。
実を言うと、もうずっと神官として大人しくしていた。
そろそろひと暴れしてやりたいと思っていた。
慎重にして下さいね。
巫女は諦めたようなため息まじりに、そう言った。
エメラルド色の瞳は、この男が言い出したら聞かないことをよく知っている。
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