猛暑日のサンタクロース
猛暑なんて、大っ嫌いだ!!
吉野はベットに寝転び、声を上げた。
返事をしてくれるはずの恋人は、今はいない。
この夏の猛暑と吉野千秋の恋愛事情には、一見何の因果関係もなさそうである。
だが実は大ありだった。
吉野は独り暮らしのアパートの部屋で、悶々とした時間を過ごしている。
恋人の羽鳥芳雪は、今日もピザの配達員のアルバイトに勤しんでいた。
この時期は意外と注文が多いそうだ。
理由は簡単、猛暑日の食事の支度はしんどいからだ。
しかも今年は異常気象というのか、いきなり雨が降り出したり、強風や雷も多い。
買い物に行こうとしたら、豪雨なんていうのも珍しくない。
そんなわけで「今日はピザにしましょう」というお母さん、絶賛増殖中。
羽鳥を始め、ピザの宅配バイトは大忙しだ。
正直言って、心配ではある。
強風や豪雨など、悪天候でのバイクの運転は大変だ。
それに万が一、羽鳥のバイクが落雷にあったら。
そもそも猛暑日に外で働くだけで、熱中症になってしまうかもしれない。
もう少し、バイトを減らしたら?
心配になった吉野は、羽鳥にそう言った事がある。
だけど羽鳥は「大丈夫」と答えるだけだった。
運転には充分注意するし、水分補給も忘れない。
羽鳥はそれを約束して「心配してくれて嬉しい」と笑っていた。
羽鳥はどうやら何か買いたい物があるらしい。
バイトの日数と時間を計算して「今月もう少し」などと言っていた。
目標金額が決まっていて、それに向かって働いているようだ。
猛暑の中でも、一生懸命な羽鳥はカッコいいと思う。
それにしても退屈だ。
吉野は恋人がいない時間を持て余していた。
どこかに出かけるにしても、さしたる目的もなくこの猛暑の中、歩くのは嫌だ。
自分も何かバイトをしようかと思ったが、それも否。
体力にあまり自信がないのに猛暑が加われば、簡単に倒れてしまうだろう。
ではこの悶々とした気持ちはどうしたらいいのだろう。
恋人と会える時間は減っている。
たまにどちらかの部屋で一緒の夜を過ごしても、羽鳥は疲れている。
ぶっちゃけ夜の「アレ」は大問題だった。
回数は減ってるし、たまに「する」ときも、時間が短い。
羽鳥曰く、暑いのだから体力温存。
だけど吉野の身体は、明らかに不完全燃焼だ。
やりたい盛りというほど若くはないが、暑いからやめるなんていうほど枯れてもいない。
どうしてくれる。この欲求不満を。
自分で「する」ことも試みたが、恋人との情事を経験した後では無理だ。
瞬間身体の熱を放出できても、その後が虚しい。
羽鳥と「する」ときほど燃えないし、恋人がいるのにと思うと馬鹿らしくなる。
実は俺って、人並み外れていやらしいのかな。
吉野はため息をつくと、目を閉じた。
考えてもどうにもならない時には、不貞寝するに限る。
吉野はベットに寝転び、声を上げた。
返事をしてくれるはずの恋人は、今はいない。
この夏の猛暑と吉野千秋の恋愛事情には、一見何の因果関係もなさそうである。
だが実は大ありだった。
吉野は独り暮らしのアパートの部屋で、悶々とした時間を過ごしている。
恋人の羽鳥芳雪は、今日もピザの配達員のアルバイトに勤しんでいた。
この時期は意外と注文が多いそうだ。
理由は簡単、猛暑日の食事の支度はしんどいからだ。
しかも今年は異常気象というのか、いきなり雨が降り出したり、強風や雷も多い。
買い物に行こうとしたら、豪雨なんていうのも珍しくない。
そんなわけで「今日はピザにしましょう」というお母さん、絶賛増殖中。
羽鳥を始め、ピザの宅配バイトは大忙しだ。
正直言って、心配ではある。
強風や豪雨など、悪天候でのバイクの運転は大変だ。
それに万が一、羽鳥のバイクが落雷にあったら。
そもそも猛暑日に外で働くだけで、熱中症になってしまうかもしれない。
もう少し、バイトを減らしたら?
心配になった吉野は、羽鳥にそう言った事がある。
だけど羽鳥は「大丈夫」と答えるだけだった。
運転には充分注意するし、水分補給も忘れない。
羽鳥はそれを約束して「心配してくれて嬉しい」と笑っていた。
羽鳥はどうやら何か買いたい物があるらしい。
バイトの日数と時間を計算して「今月もう少し」などと言っていた。
目標金額が決まっていて、それに向かって働いているようだ。
猛暑の中でも、一生懸命な羽鳥はカッコいいと思う。
それにしても退屈だ。
吉野は恋人がいない時間を持て余していた。
どこかに出かけるにしても、さしたる目的もなくこの猛暑の中、歩くのは嫌だ。
自分も何かバイトをしようかと思ったが、それも否。
体力にあまり自信がないのに猛暑が加われば、簡単に倒れてしまうだろう。
ではこの悶々とした気持ちはどうしたらいいのだろう。
恋人と会える時間は減っている。
たまにどちらかの部屋で一緒の夜を過ごしても、羽鳥は疲れている。
ぶっちゃけ夜の「アレ」は大問題だった。
回数は減ってるし、たまに「する」ときも、時間が短い。
羽鳥曰く、暑いのだから体力温存。
だけど吉野の身体は、明らかに不完全燃焼だ。
やりたい盛りというほど若くはないが、暑いからやめるなんていうほど枯れてもいない。
どうしてくれる。この欲求不満を。
自分で「する」ことも試みたが、恋人との情事を経験した後では無理だ。
瞬間身体の熱を放出できても、その後が虚しい。
羽鳥と「する」ときほど燃えないし、恋人がいるのにと思うと馬鹿らしくなる。
実は俺って、人並み外れていやらしいのかな。
吉野はため息をつくと、目を閉じた。
考えてもどうにもならない時には、不貞寝するに限る。
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