HAPPY NEW YEAR!!

何でこんなに寂しいんだろう。
まるで何か大きな穴でも開いてしまったような喪失感だ。
高野はぼんやりとそう思う。

元日の朝、高野政宗は1人で自宅マンションに戻ってきた。
恋人はつい先程まで一緒にいた。
年をまたぎながらキスをして身体をつなげた後、朝早くから初詣。
2人で並んで手を合わせて、今年1年幸せに過ごせるようにと祈った。
そして恋人は、そのまま実家へ向かった。

律は最初、実家に帰らないと言っていたのだ。
新しい年の始まりは、2人でずっと一緒に過ごしたいと。
だけど高野は帰るようにと説得したのだった。

高野だって、本当は律と一緒に過ごしたい。
こんなに長く仕事が休めることは早々ないのだ。
べったりまったりいちゃいちゃとじゃれあいたい。

だけど律の実家の両親から、律に再三にわたって連絡が来たことは知っている。
正月くらいは顔を出せ、戻って来いと。
特に律の母親は昨年、体調を崩して入院したりしている。
だから元気な顔を見せて来いと言った。
高野自身は両親との縁が薄いから、律には両親と疎遠にさせたくなかったのだ。

今までは年末年始はほとんど1人で過ごしていた。
横澤と身体の関係があった時期には、2人でいたこともある。
だが友人に戻ってからはそんなこともなくなった。
だから1人にはもう慣れた。
慣れていたはずなのに。
何でこんなに寂しいんだろうと、心の底から思う。
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